7話 ~シェリルの私服~
掲載設定ミスってた★ミ
「結局、休日の部活はどこに行くんですの?」
シェリルが、脱線した会話を元に戻すまでそのことをすっかりと忘れていた。
と言っても、俺はこの部が何をする部なのかまだよく分からないので提案しようがない。
「だから、適当な娯楽施設に行けば先生も納得すると言っているだろう...」
「じゃあ、いつもの映画館でいいですわね」
なんか、いつの間にか映画に行くことになっていた。
「映画に行くのか。いつものってどこの映画館だ?」
「この校舎から見えるじゃないか。あそこだ」
椎名からそう言われ、見渡すと確かに映画館っぽい建物が目についた。
「なるほど。学校のあんな近くに映画館があったのか」
「貴様はあの映画館に行ったことないのか?」
「そもそも映画自体行ったことないんだよな...ぼっちって映画見る機会とかないし」
「映画はいいぞ。明日は私のお勧めを紹介してやろう。精々感動して涙を流すがいい」
椎名って映画とか見るのか。
さっき映画嫌いって言ってなかったかな。
あ、それは「友情を媒体にした」映画か...
「む、それでは明日も4時起きというわけか...」
「え、早くないか? 学校の近くなんだからいつもの時間でいいだろ」
何で活動場所が学校の激近なのにそんなに早く起きる必要があるんだ。
「私は、家から学校まで3時間かかるのだ...」
「ええ!?」
遠っ!?
もっと近くのとこ受ければ良かったのに!?
「バス乗れば50分程度で着くのだがな...私はバスに乗ると乗り物酔いと人酔いで、5分くらいで吐きそうになる。自転車は体力の問題で無理だ。だから毎日徒歩通学というわけだ」
「たしかに、バスで50分かかる道のりを歩いてたらそんくらいかかるか...」
「わたくしは毎日自家用のヘリで送り迎えされてますわよ」
「うん。墜落して死ねばいいのに」
「何故ですのー!?」
「どうだ~そろそろ下校時刻だが場所は決まったか~?」
不意に、後ろのドアが開け放たれ、橘教師が顔を出す。
...何故学校内で煙草咥えてんの?
「明日は映画館に行こうと思います」
「そうか~。先生は休日来れないから楽しんで来いよ~」
「あれ、先生同伴じゃないなら行かなくてもバレないんじゃね?」
「無駄よ。本当にその日その場所に居たのかっていう証拠品の提示を求められるから。映画にいく場合は映画の半券とかを提出しなければならないわ」
「...無駄に徹底してるな」
「当たり前だ。今、会社で求められる人材の第一位になるほどコミュニケーション能力というのは大切なのだよ。勉強勉強」
「......終わったのなら帰ります。さようなら」
黒崎さんが無愛想にそう言って、教室を後にした。
黒崎さんって表情もテンションもいつもあんなに低いのか...
「じゃあわたくしも帰らせていただきますわね。明日の準備もありますので」
「そうだな。私も早く帰らないと睡眠時間を確保できん」
それぞれ、キリのいいところで帰り今日の活動は終了した。
「如月。お前、明日は精々大変なことになるぞ?」
ニヤニヤした橘先生の不気味な笑顔にもの凄い恐怖を感じた。
大変ってどう大変なんだよ...
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「ふう、着いたぜ」
次の日の午前9時前。
約束の時間ピッタリ5分前。
俺はその映画館に到着した。
5分前というのに、まだ誰も到着していないようだった。
「んー、早く来すぎたってわけでもないが、流石に一人くらいはいると思ったぞ...」
「あら、約束の時間前なのに早いですわね。もういらしてたんですの?」
天使がそこにいた。
透き通る白い肌に似合う水色のワンピース。
大胆にあけられた胸元から覗く、豊満なバスト。
鮮やかな金色の髪からは、上品さがにじみ出ている。
「...天使」
「どうしましたの?」
「あ、ああ。シェリルか。よう」
くそう。橘め。
大変とはこういうことだったのか。
「あ、あの...流石にパーカーはないと思いますの...」
そして、俺のファッションセンスをダメ出しされた。