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歩き始め

 暗い夜道。

少し冷えた空気を吸って、胸にためる。

苦しくなったくらいに、空へ静かに吐き出す。


「……あいたい」


 君に最後に会ったのはいつだったろうか。

桜が咲いていた頃だからもう半年は過ぎている。いつまでたっても君の存在は僕から消えてくれない。

僕は忘れたいのだろうか。それとも君にもう一度会いたいのか。それすらわからなくなるほど考えていた。

 あの日から僕は夜の散歩を始めた。

君の足跡を辿るように、毎日のように歩き回っている。時々、変なモノを見る。

キラキラ光る花や小さな人間のような生き物。この前は妖精のような生き物が二人、口喧嘩をしながら僕の顔の横を通りすぎて行った。

 そして、共通して言えるのが変なモノ達は僕のことを「ミタカ」と呼ぶこと。

どうしてなのかわからない。僕から声をかけようも、彼らには聞こえていないような反応しか返ってこない。お互いに存在を認識しているのに、声が伝わらないのだ。

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