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そして

わたしは顔がある街中をふらふら、漂う。


いつもは、男の顔を見ながら

評価つけながら歩いてた。

なのに、今は下を向いて歩いたまま。


見知らぬ男が声をかけてくる。


そこのかのじょー、学校やすんだの?

ねえ、一緒に遊びにいかない?


顔さえ見ずにそのままスルー。

前なら、まずは顔確認だったのに。


わたしの頭はあなたのことでいっぱい。


神様は意地悪だなって、最初は思った。


けど、それは間違いだって気づいた。

ちゃんとあなたに会えたんだから。


わたしはマネキンじゃない。

あなたはそれを教えてくれた。

あなたがほんとのわたしを

見つけてくれた。


わたしの心が苦しんでいる。

ひとの心を好きになるって

こんなに辛いんだ。


顔を好きになるときって

別れるとすぐに頭から消えていったよ。


この、わたしの心をどうしたらいいの?

あなたのせい、なんだからね。


あなたって、ほんとバカ。

死ぬ前にわたしに出会ってくれたら

よかったのにさ。


あれ・・・・

これって自分から告白してるみたい。

死んだ人間に告白って、なんかヘンな感じ。


でも、きっとあなたはこう言うんだろうな。


そのころの君じゃ、ぼくなんて

きみの目の中に入らず通り過ぎてたはずだよって。


今ならきっと大丈夫なのに。

今のわたしならこの顔のある世界でだって、

あなたをちゃんと見つけられるよ。


あなたは、わたしの恩人。

そして、初めて心の通じた相手。

わたし、あなたを一生忘れない。

つか、まだ信じれないんだよ。

あなたは、きっとどこかにいる

って思ってる自分がいるんだ。


そのとき、目の前で何かが光った。

フラッシュの光みたいに。

そして、その光は空に昇っていく。

キラキラと輝きながら・・・


やっぱり、いたんだ。



しばらく空を眺めていたとき、

プルルル、携帯が鳴った。


カレからだった。


ねえ、今日どうして学校休んでるのー?

どこか体調、悪いの?


変わらず、かわいた言葉。


ごめん。

わたし、好きな人できたから

じゃね。


ガチャと切った。


はぁーー、なんかすっきりした。


明日からはまた清楚でない

おしとやかでない、いつもの自分に戻れる。


この三日、夢みたいなことばかりだった。

でも、ぜんぶ現実だったんだ。


これだけ信じれないことが

続けて起こったんだから

絶対にない、って言葉なんか信じない。


さっきは、いたんだなんて

つい言ったけど・・・


あなたは今もどこかに、いるんだよね?


もう一度あのときのように

あなたと話をしたい。

あなたを抱きしめたい。


きっとまた、逢えるはず。

わたし、待ってるからね。


わたしは、空に向かって目を閉じた。

瞳の裏には、今も笑顔のあなたがいた。


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