表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小樽殺人事件  作者: 健司
1/7

貝塚一樹の取材ファイル 1

プロローグ


 小樽日和山灯台の灯りは、規則正しく夏の日本海を照らし出していた。風もなくただ繰り返される波の音と、月の光。静かな夏の夜であった。やがて灯台の灯りは、まるでスローモーションのように、断崖から落ちていくひとつの影を浮かび上がらせた。影は鈍い音とともに砂浜に落ち、また静かな夜に戻った。


第1章 小樽へ

 1

 待ち合わせの駅前に、貝塚一樹が車を止めてからすでに10分。ルームミラー越しに、こずえが大きな旅行かばんを引きずってくるのが、やっと見えてきた。一樹が車を降りて、トランクを開けたところに、息を弾ませたこずえがたどりついた。

 「ごめんなさい、遅くなって。」

上目遣いにこずえが一樹を見た。一樹が笑いながら言った。

 「いつものことだろう、慣れているよ。」

 「そんなことないよ。今日はでがけにチャッピーがまとわりついてきて。」

 「自分の大切な犬までワルモノにするか、とんでもないやつだ。」

 「でもチャッピーが。」

 「もういいよ、分かったから。それよりずいぶん大きなかばんだな。入るのかこの小さな車のトランクに。」

一樹の車は黒くて、小さな軽自動車だ。

 「何とかなるでしょ。ほら閉めてみて。」

一樹が言われたままにすると、ハッチバックは鈍い音をたてながらも、なんとか閉まった。

 握り締めたこぶしの親指をたてながら、こずえが言った。

 「出発進行!」 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ