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27話 隠されていた任命

 高校入学してからの初授業を受けて思った事、とにかく時間が長く感じた。

 理由は簡単で、授業始めは当たり前だが、その教科の先生を見るのも初めて。先鋭が俺たちを見るのも初めて。そんなだからどの学校の初めての授業での恒例な、先生の自己紹介と生徒の自己紹介をしていたのだ。

 顔を初めてお互い会わせるので、当たり前の行為なんだけど……先生を三回変えても、三回も同じクラスメイトの自己紹介を聞くのはさすがにしんどかった。

 自己紹介終わると、一年間どんな授業をするか、成績の点数配分などの説明で時間が過ぎていった。

 そのような同じ事を一時間目から三時間目までやっていたら、俺は精神的に疲れてしまった。

「じゃあ、次から授業に入るから、教科書とノート持ってくるように」

 三時間目の数学の授業が終了して、先生が教室から出た途端俺は。

「つか……れた」

 机に頭を打ちつけた。前日から引きずっている疲れと授業で新たなに出来た眠気が俺を襲って……。

「お……しょ……ぞ?」

 なんだ? 誰だ?

「こ……ら……い……なん――な」

 何言ってるんだ? てか、ここどこだ?

「ま……や……がな」

 なんしてんだ? あの人……。

「何寝てんの!」

 いきなり意識半分ない状況で突然、俺の頭に物が当たったような。

「だd$#%&、くぅー」

 俺の意識は完璧に復活して、頭に訪れた痛みも同時に完璧にやってきた。けっこ―痛い!

「ふん。そこでしばらく悶え苦しんでなさい」

 俺の視界には斬坂先生の後ろ姿が見えた。何故先生が休み時間に?答えはふと時計を見てわかった。とっくに休み時間を終了していたのだ。

「なぁんども、起こしたんだけどぉ。起きなかったんだぁ」

 後ろで雲雀が、震えている小さな声で謝ってきた。雲雀が悪いんじゃなくて、起きなかった俺が悪かった。そう言いたがったが、会話をしてしまうと再び、あの人が来るのではないかと思い、振り向かなかった。後で謝まろ。

「じゃあ、後は氷原に任せるから」

 先生は教壇には行かず、教壇の椅子が窓際に既に置いてあって、先生はそこに着席した。代わりに空いた教壇に立ったのは。

「今からクラスの会議を始めようと思います」

 我らのクラス代表のすみれさんだった。片手にUSBメモリを振り回しながら、教壇の前にどこかの女王様みたいに威風堂々とそこに立っていた。

「今日はこのクラスの委員会のメンバーを決めたいです」

 すみれさんは俺らに背中を向けて、USBメモリーを電子黒板に挿した。電子黒板はUSBのデータを読み込み、そのデータが写し出された。

 そこには多くの委員会の名前が書かれていて、メンバーの場所は空白になっている。

「では、まず顔を伏せてくれ。そして自分でやってみたい委員会が呼ばれたら、手を挙げてくれ」

 顔を上げたままだと、お友達と一緒に事前に決めて、手を組んで仲良しで固まる恐れがある。それにさらに周りは気を使って辞退する恐れもある。

 それなら、自分が一番やりたい事をそんなの関係なしで、できるような環境を作る。ある意味で彼女らしいっちゃ彼女らしいか。

 どんどん委員会の名前が呼ばれていく。だけど、どこで誰が手を挙げているかがわからない。俺が事前に決めておいた委員会が呼ばれるのを静かに待つ。

「では、保健委員会をやりたい者は挙手」

俺は右手をそっと挙げた。学習・身体面全てにおいて、男子より女子の方が優れている。それならそこら辺に関係なくできる保健委員会に目をつけていた。

 俺以外いないでくれ。心の片隅でそう思いながら、手を上げ続けた。今、集計でもしているのだろうか。そんなに人がいるのか?

「ん? なぜ成川が保健委員会で手を挙げているんだ?」

 沈黙で支配されている教室に先生の声が響き渡る。ちゃっかり、俺が保健委員会で手を挙げている事を暴露しているし、あの童顔先生。

「あ、ホントですね」

 なんかわからんが、ものすごく嫌な予感がする。わからない。でもその証拠に、体中か冷たい汗が流れ出ている。

 ――コツン・コツン・コツン。

 確実に足音が俺に近づいている様な気がする。俺は必死に祈った。俺の所に来ないで、と。

 だがその願いは、神が嘲笑うかのように無視されたのか、俺の肩に温かい手がのった。

「おい、起きて」

 抵抗しようかなと、一瞬だけ頭をよぎったが、これも授業であり俺一人のために迷惑かける訳にもいかない。

 頭をそっと起こし、すみれさんの顔を見て、一つ訊く。

「なんで俺、保健委員会で手を挙げるのがおかしいんですか?」

「それは、あなたがクラス副代表に決まっているじゃない」

 さらっと、そして爽やかに俺の知らない事実を言ってくれた。なんと俺、成川刀破はこのクラスのクラス副代表になっていたのだ。

「言い忘れていた? ほら、私の護衛執事だから。そのまま副代表にしちゃおっかなって」

 副代表という重要な座を軽々しい理由で決めているんだ、この人。

「そんなこと一言も聞いてないんですけど!」

「あら? 先生に連絡しておいて頼んでおいたんですけど」

 すみれさんの目が斬坂先生に向く。その先生は、あ! やっべ。そんな文字が顔に書かれていた。連絡の一つぐらい忘れないでくださいよ。

 俺の知らない間に、勝手に、さらに重要なポジションに置かれた俺。拒否したいけど、それを許さないのが。

「そういう訳だから、あなたは今から私の代わりに集計しなさい」

 この人。彼女が命令口調で言ってきた。こういう時はたいていい訳すると、ロクな事が起きないので。たった数日でそう思わせるあの人は、いろんな意味ですごい。

「わかりました」

 色々言いたい事はあるが、俺は黙って自分の席を立ち、教壇に向かう。その途中で、佐多がクスクスと笑いを必死に我慢しているのが見えたので、思いっきり椅子の底を蹴ってやった。

 俺の男子らしい平穏な平和はいつになったら見れるのだろう。教壇に行きながらふと思ったが、すみれさんと目があってすぐに消えた。


こんいちは。りょーすけです。今回はクラスの委員会決めですね。まぁこれから、この委員会の人たちもできるだけ出していきたいなと思っております。

 次回は少しのんびりした話? にして見たいと思います。

 よろしくお願いします。

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