2話 初命令
「降ろしてもいいかしら?」
片手で俺と自転車を支えてる綺麗な女性が訊いてきた。
「あ! はい。どうぞ」
言った途端に俺と自転車は地面に着地した。いきなり離したから、俺は準備できずにサドルが俺の魂を攻撃した。
「ぬ#$&’%’%$」
とても言葉では表せない悲鳴を出して、自転車から降りてかがんでしまった。そんくら痛いってこと。男ならわかってくれるはずだ!
だが、そこは我慢してなんとか立ち上がった。
「あの……」
「言いたい事があるのなら、はっきりと言いなさい」
水が氷に一瞬で変わるような冷たい言葉で俺に注意してきた。
「はい!」
思わず俺も大きな返事してしまった。女性との会話は初めて、少し緊張しながらも彼女に向かって、
「助けてくれてありがとうございました。今度何かお礼をさせてください」
上半身が地面と平行するぐらいのおじぎをしながら言った。俺なりに完壁なお礼だと思ってしまった。
そんな俺を見た彼女は、まるで初めて何かを見たような顔をしている。
「お礼をさせてください? そのために助けたんじゃない」
……いまいちなにを言ってたのか理解できなかった。
「え?」
心の中だけでは処理しきれず、声に出してしまった。それを聞き逃さなかった彼女ではなかった。
「そのままの意味を述べただけだけど、変かしら?」
いや少し変な気がするが、俺は一応聞いてみることにする。
「それはどういう意味でしょう?」
「自分で言ったことも忘れてるの?」
俺が少し前の事を思い出してみた。
言ってる。今言ったことの9回目ぐらい前に言ってる。
『なんでもするから助けてぇ――』
まさかこれを聞いて彼女は、
「そんなおいしいこと言ってる人、なかなかいないから助けたのよ」
すごいこと言ってるよ、この方。あれ? まさかと思いながら俺は聞いてみた。
「まさかですけど、俺がさっきの言葉言わなかったら、助けなかったんですか?」
「多分そうでしょうね」
即答された。なんかわからんがすごく心が痛む。
あれ? おかしいな――目が潤んできた。これは悲しみの涙じゃない。生きているという事実に喜ぶ涙だ。そうに決まってる。
こんな姿を女性の前では見せないと、俺は必死にこらえて。
「そうなんですか。じゃあ俺は何をしたらいいんですか?」
彼女は少し微笑みながら、指を指しながらこう言い放った。
「私のパシリになりなさい」
「…………」
「いえ。正確に言うと、私専用の護衛執事になりなさい」
護衛執事? 何かで見たような気がするがそれを思い出そうとする前に、質問が飛んできた。
「そういえば、あなたの名前はなんなの?」
「俺のですか? 俺は成川刀破です。あなたは?」
「私の名前は氷原すみれ。これからは私に付いてきなさい」
すみれ? こっちもなんかで聞き覚えがあるような……でもそれをまた思い出す前に。
「早くついてきなさい。あ、そうだわ。私の荷物を持ちなさい。」
「なんでですか?」
「あなたが執事だからよ」
なんてすばらしい理由だ。マリー・アントワネットもさぞかし驚くような返答の仕方。これは言い返しても無駄だと判断し、黙って荷物を持った。
そしてすみれさんの鞄を持った感想。
(重い! 何入ってるんだ? 女性ってこんな思いの持って毎日歩いてるのか)
重すぎるために、奇跡的に無傷だった自転車のかごに入れた。
その代わりに、かごに入れてた俺のバックを背負った。彼女のとは違って、俺の鞄はとっても軽い。なにせ筆箱しか入れてこなかったから。
そんな事を俺がしている間に、彼女は腕時計を見ていた。
「うーん、このままでは遅刻しちゃいそうだわ。あ、いい案が浮かんだわ。私をその自転車の後ろに乗せなさい」
とんでもない命令が聞こえたような気がする。ナポレオンも唖然とする命令の仕方だろう。
「この自転車は二人乗りのじゃないから無理ですよ」
「そこを何とかしなさい。執事でしょ」
これが女性というのか。こういう決まり文句で、男たちは命令を聞くのね。女は主人、男は奴隷、今の社会をこんな例えでされているが、わかるような気がする。俺もその一員にもう入ってしまったけど。
「わかりました。努力してみますよ。気を付けて乗ってください」
そうしたらすみれさんは、後ろの後輪のデッパリが出ている所につま先を乗っけた。
なんでこんなに二人乗り慣れているんだろ? 女子の間でもやってるのかな。
そんな小さな疑問を抱えながら、不安定ながらも2人を乗せた自転車は動き始めた。
後ろからとってもいい匂いが漂わせながら、学校に向かって自転車を走らせた。
どうも。希光りょーすけです。
ここからは、今の僕が引き継いて書いて行こうと思います
最近はラノベでお金が消えていってます(笑)
だからバイト始めました。始めた理由がなんとも・・・スキー用品買いたいからってもありますけど。
ラノベ読みながら書く。とってもおもしろいです(笑)
これからも書き続けようと思いますので、よろしくお願いします。