14話 初外食
「双刀の双侍?」
コードネームはある程度の意味があって名乗る名前のはずである。でもこれには疑問があった。
「俺と一致するもんが一つもないような気が……」
そうこの名前で俺を連想できないのだ。まず「双刀」だが、俺の剣術は一刀流なのだ。だけどここに記されているのは「双刀」おそらくだが、二刀流の事を表してるのだろう。一体どんな方法でコードネームを決めているかは不明だが、前述のは間違いだったとしても、『双侍』に関しては、意味すらわからない。
そんな新たな疑問も生まれたけれど、この短時間で多くの事を学べ、判明した。こういう資料は本来、入学式前に読むのが当然なんだけどね。
――ぐぅ~
俺の腹の虫が美しく鳴り響いた。俺は家の時計に目をやる。
「もうこんな時間か」
時計は夕方の七時半を指していた。もう少しで夕食の時間であった。
(飯作るのだるいな)
姉さんの突撃訪問、学校についての調査をしてたら、時を忘れていて、飯の準備すらしていない。
(外で済ませるか)
一人暮らしを始めてからは俺は節約していたので、お金は少しばかり余裕なのだ。これが決め手となり、夕食は外と心の中の国会議事堂で可決された。
すぐにも外出したかったのだが、制服のままだということに気づき、急いで着替えて、部屋から出る。
Tシャツとパーカー、そしてジーパンとシンプルな格好で夜の街で足を踏み出した。
この町す教育都市・夢桜町は、基本的4つに分けられている。ザっと言うと男子エリアであるエリアE・教師エリアであるエリアT・女子エリアであるエリアE’・これらがすべて組み合わさっているエリアPでできている。これらをさらに細かくすると、16エリアに分ける事が出来る。
この町は言わば学生の町。大人がいたとしても、教師とかが大半で、残りは国家公務員とかで占められている。
外部の人はあまり出入りできないようになっているために、政府も口を出しにくく、この町は一つの国らしいという都市伝説まであると聞く。
そしてこの町は、夜となると三種類に分けられる。女子高生がにぎやかに騒ぐエリア・大人たちで賑わうエリア、そして男子学生達が静かにしているエリアできっちり分けられる。
もちろん俺がいる所は最後の方だけどね。俺の住んでるのはエリアEの3番地区。このエリアの人口は、男子学生でほぼ占められている。女性も住んでいるが、あまり見かけない。見たとしても、その後パシリに使われるのが運命である。
そんな静かな町で俺は、家の近所にある有名な牛丼チェーン店で飯を食べる事にした。
「いらっしゃいませ~」
お決まりのあいさつを聞いてから、空いてる席に座る。
「お、これは試作新商品か」
この町ではよく見る光景である。この町は学生が中心、流行を作るの学生だと勝手に信じてる会社のマーケティング。そのマーケティングのためにあるような町に企業から見えるらしく、市場に出す前にこの町で試作品を販売するのが定番となっている。
「グラタン牛丼……」
なんだこの微妙な商品は。インパクトはあるが、味には不安が覚える商品は。
(でも気になるな)
とある場所にボタンがあって「押すな」って書いてるが、ついつい押してしまうあの心理現象である。
その似た現象に襲われた俺は、結局この味に保証のないグラタン牛丼を頼む事にした。
「頼まなきゃよかった……気持ち悪」
俺は帰り道で同じことを何度も発していた。
あの後、普通の丼とは違う丼で登場して、上はチーズで中が見えない状態だった。俺は勇気を持って口の中に含んだ瞬間、後悔という言葉が頭の中に浮かんだ。
チーズ・クリームソースと牛丼のつゆが見事と絶賛できるほどにミスマッチしていて、口の中で革命が発生して、水でその革命を沈めた。それを一口するたびに繰り返していたので、お腹いっぱいなのである。
「さっさと帰って寝よう」
今の時間は八時半なのに、この周辺はとても静かである。俺が以前いた場所なら、この時間は賑やかだった。ゲーセンなどでたむろってた気がする。
俺はそのまま家に帰宅したのだが、帰宅した後は大変だった。グラタン牛丼が胃を攻撃したらしく、ひどい腹痛に襲われながらも、何回もトイレにお世話になりつつも、気合いで寝たのだった。
ピピピピ・ピピピピ・ピピピピ・トゥルルル・トゥルルルル・ジャリリリリリ
いつも通りに三つの目覚まし時計が俺に朝を伝えてくれる。そしていつも通りに顔を洗い、朝ごはんを食べて、昨日より早く部屋を出る。
俺は自転車に乗って、学校があるエリアPに向かってしばらくこいで、流水坂を下ってる時に見覚えのある奴がいた。
「おはよ、っと!」
ブレーキ使わずに坂を下りながら、見覚えのある奴の肩を思いっきり叩く。
「痛って! ん? なんだ刀破かよ」
俺の期待通りのリアクションをしてくれた人物は、俺の前の席に座っていた佐多だった。
「そうだよ、佐多は歩きで登校か?」
「ああ、借りてるマンションがこの近所だからな」
「お前エリアPに住んでるのか!」
ここらエリアPは学校が多く点在しているために、男女関係なく多くの学生が住んでいる。だがその家賃も半端じゃなく高いのだ。男女共に住むとなるとなおさらだ。
「俺の住んでるマンションの大家さんと母さんが知り合いで、安くしてもらったんだ」
あのお母さんに迫られたら、嫌でも妥協してしまうだろうな。大家さん、お気の毒さまだな。
「女子とかやっぱり近所にいるのか?」
男ならではの質問をして、
「いるんだよ! 近所にかわいい人もいるんだよ」
男らしい解答が返ってくる。
「いいな~俺もそういうとこに住みたいよ」
こんな男二人でくだらない話を繰り広げる。昔みたいに気軽に話せていい気分だ。
「なぁ刀破、その自転車の後ろに乗ってもいいか」
「これ二人乗りのじゃえねんだけど」
「そんな堅苦しい事言うなって」
佐多は俺の言うことを聞かずに、半強制的に俺の後ろに乗ってくる。なんかこういうのは懐かしい気分だ。
「早くいこーぜ」
「おう」
俺は友達を背中に乗せながら学校に向けてこぐ。昨日とは違い、後ろからいい匂いはしなかった。
こんにちは、希光リョースケです。
今回は町の説明になってしまった。予定が狂ってしまった。
エリアE・E'・T・Pの由来を。Eはeffort(努力)、E’はevolve(進化)、Tはteacher(教育者)、Pはpark(公園)と言う意味です。男は努力して刀破が住んでる町に来れたが、これからも努力しなくてはいけない。女性はこれからも未知なる進化をして人類に貢献する。教育者はその学生たちをいい方向に導く義務がある。公園は男女関係なく、楽しい所でなくてはいけない。こんな意味をつけてみました。
次回は学校での一日。とある女性がすみれさんと口喧嘩? をするお話。では