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13話 初調べ

 俺は姉さんがいなくなった後の部屋の後片付けから始めた。チャーハンの食器・レンゲ・ポッキーの袋と箱、一番最後のくらいゴミ箱に捨ててくれよ。

 だがそんな愚痴をこんな誰もいない部屋で言っても寂しいだけなので、黙々と片付けを始める。

『女の子とは絶対戦わないで欲しいの』

 どうしてもこの一言が俺の頭から離れない。女の子が強いってことは今や常識、男から女に喧嘩を吹っかけようなんて考えるバカはいないだろう。

 だけど姉さんは俺に忠告してきた。まるでいつか俺が女の子と戦うと思われているのだろうか。確かにあそこにいた頃はよくしてたと言われていたけどな。

 少し前の事を思い出しながら、お皿を下げてるととある物が視界に入った。

「あ、忘れてた」

 それは私立疾水学院関係の物がたくさん入ってる箱だった。そういえば宅急便で届いてたけど、引っ越しの最中に来たから開ける暇がなかったんだった。あの学校の事を知りたかったし、後で開けてみるとしよう。

 そして調味料や、使わなかった材料を元の所に戻している途中で気がつく。

「あれ? ここに入れておいた気がするんだけどな」

 デザートとして冷蔵庫に入れておいたお菓子が消えている。どこにやったっけな?

「まさか……!」

 色々な事を考えていると一つの答えにたどり着いた。

「やはりか……」

 ゴミ箱を漁ると俺が求めていたお菓子の袋が出てきた。

 ここからわかる結果、それは姉さんはあのポッキーを食べる前にこれを食べたということ。

「姉さんは俺の冷蔵庫専用のハリケーンか」

 冷蔵庫の中身にあるもん全て胃の中へ吸いこんでいく。ハリケーンのように突然現れ、ハリケーンのように去っていく。姫矢姉さん……化け物か。

 今後は冷蔵庫に南京錠でもつけるか、と真剣に考えながら皿洗いや洗濯などした。両親と暮らしている時は全然やんなかった事を今は当たり前のようにしなければいけない。一人暮らしの唯一の苦労である。

 少し洗濯に苦戦しながらも、やっと部屋に戻ってゆっくりできる。

 だが俺にはやらないといけない事がある。俺はほったらかしにされていた箱を取り出して、机に置いた。少し緊張しながらも、ガムテープを剥がして中を見た。

「色々入ってるなぁ」

 パンフレット・学校のバッジ・・生徒手帳など学校で必要な物がたくさん入っていた。とりあえず中にあるものをすべて取り出す。

その中から、手始めにパンフレットを読むことにした。一通りパラパラ見てみると、一見どこにでもありそうな学校のパンフレット。だけどちゃんと読むとそうではなかった。

 一年間の行事案内の欄にみた事のない行事がいくつかある。特に「獲戦祭」ってなんだよ。すごい気になる。

 授業についてもおかしい。まずは体育、何でやるスポーツが剣道・柔道・空手・合気道・フェンシングなど一般の学校じゃやらないスポーツばっかなんだ。サッカーぐらい入れろよ。

 さらに特選科は普通科より、必修科目の数が少ない。国も認めているらしいのだが、その代わりに「特練」とか何をするかも想像できない授業がある。

 だが俺の知りたい肝心な事がこのパンフレットには書いていない。知りたい事とは、

「護衛執事とコードネームってどこだ?」

 俺が今一番知りたい言葉について、このパンフレットにはいくら見返しても載っていないのだ。

 これ以上このパンフレットには有力な情報は載ってないと判断した俺は生徒手帳に手を伸ばす。

(うわぁ)

 なんと文字が多い生徒手帳のこと、本を読んでるような気がする。

 生徒手帳には、学校の創立からの歴史・身だしなみ・校則について書いてあるが、いくつか驚くべき点がある。

 まず校則がおかしい。授業などに一秒でも遅刻すると欠席扱いになる。さらに教室のドアには鍵が付いてるらしく、チャイムが鳴ると同時に自動的に閉まるとのこと。すなわち、廊下で遊んで授業が始まると教室に入れなくなる。どんな考えしてるんだこの学校、まぁ俺の通う学校だけどね。さらに殺傷能力の低い武器なら所持可能って? 学校で何したいの?

 身だしなみも少しでも規定を破られていると、どこであろうか制裁を加えると記されている。制裁って何だよ? もう少し柔らかい表現の仕方を、ここの先生は考えつかなかったのか?

(読めば読むほど、この学校は訳分からんな。俺の通う学校なのに)

 普通の高校とは違うとは、心のどこかで理解してるつもりだったが、想像をはるかに越えている。

 そんな感想を心に持ちながら、読んでると目的の一つが見つかった。その他の欄に、とても小さく記されていた

・sbs(Serve the master butler system)……主従関係が強くなったこの社会で、生徒たちが対応できるように作られたもシステムである。基本生徒たちでお互いの同意・又は何らかの方法で勝負を行い、主従関係を完成させる事。なおこれは強制ではない。それでもこのシステムを使用する時は、生徒情報管理室にプリントに判を押し提出すること。その後のルールは主人となった者が負けた者(護衛執事)と名称すると共に決める事。なお万が一の事が起きても、当学校は一切責任を負わない。

「…………」

 何も考えたくなかった。考えたら負けと俺の頭の中で思っているからだ。だがこれらをまとめないと、前に進めないと思う自分もいたので、思考を再開する。

 簡単に考えると、パシリとパシられる側を勝負で決めて学校がそれを公認するから、と言ってるのだろう。

「ふざけんなぁー!」

 一人だけの部屋に怒鳴り声が響く。だけどそうしなければ俺は気が狂いそうだった。

「なんて事をしてしまったんだ俺は……」

 護衛執事にそんな秘密が隠されていたなんて……護衛執事ってただのパシリの別名だったとは。もうハンコを押して提出したということは、手遅れだろう。解約する方法もあるのだろうが、すみれさんが許可するとは考えられん。

 さらにルールは自分達で決めろとあるが、男女だぞ? 俺の意見が通るとは考えられん。だから俺はすみれさんが一方的に決めたルールで、俺はそれに従わなければいけないのだろう。

 すみれさんが考えるルール――想像しない方がよさそうだな。

 嫌な形で護衛執事については理解した。そしてもうひとつの探し物を見つけることにした。

 「ここにも載ってないのか」

 コードネームも生徒手帳のどこかに書いてある、確信していたのだがハズレだったようだ。

「どこに書いてあるんだよ」

 コードネームがないと、今日みたいに校舎に行けない。今日は権崎さんだったけな、あの人がいたからよかったけど、あんなこと二度三度起きるようなことではない。

 そんな風に明日の事考えながら、ふとパンフレットなどが入っていた箱に目をやった。

「まだ中に何か入ってるな」

 それは小さな木箱だった。中に何にも入ってるかが想像できない程の木箱だった。色が似ていたから気付くなかった。とてもいい素材の木だな。どんなものが入ってるんだろうと期待しながら中を確認した。

 そこには一枚のカードが入っていた。

(生徒証明書かな)

 そこには布張りされた中の中央に、俺の写真は貼られていた一枚のカードが綺麗に収まっていた。

「あ……」

 そこに俺の二つ目の探し物があった。俺の名前の横に書かれていた。

〈成川刀破 cn 双刀の双侍〉

 双刀の双侍。これが俺、成川刀破が三年間あの学校で名乗るコードネームだった。

 


 



 こんにちは、希光りょーすけです。

 ここでやっと護衛執事についての説明・刀破のコードネームを書けました。党派もやっと護衛執事の意味をしてれよかったのか悪かったのか……。

 学校の行事も一つだけ書きましたがあれも後ほどのお話で書くつもりなので、楽しみにしていてください。

そして刀破のcnである双刀の双侍の読み方は、「そうとうのそうじ」少し特殊な読み方です。

 これからも他のキャラクターのcnもどんどん出していきたいと心の中では思っています。

 次回はこの翌日のお話です。では次回でまたお会いいたしましょう。では!


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