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三話

 機械人の所有者になるために、コクピットに搭乗しようとして、ふと疑問に思った。


どうして若様と呼ばれているのかと。


君世は何でもないことの様に答えた。



 「若様は若様なのじゃ。」



と言われても答えになってない。


僕は両親のアンドロイドにも若と呼ばれているので、そういうものとして諦める事にした。

 

そんな事は置いておき機械人の所有者になるために、君世と共にコクピットに搭乗する。



 コクピットは腹部に有り搭乗するには、右足の踵から腰に掛けてついている梯子を登って搭乗する。


 家には機械人専用のガレージが有り、機械人の梯子を登らずに、搭乗する事が出来るが、今ガレージには機械人は入って無い。


だから梯子を登って搭乗するのだが、興奮していて、思ったように登れない。


すると下から君世が、



 「早う登るのじゃ。」



そう言って急かして来る。


僕は慌てて梯子を登っていった。


登っている最中に冷静になり、よくよく考えると50メートルの機械人のコクピットに搭乗するのに、梯子を登っているのは可怪しい。


何故玄関に機械人がいるのだろうか。


ガレージに入れてくれれば、ガレージ内に有るエレベーターでコクピットまで行けるのに。


まぁこんな機会二度と無いと思うと梯子を登る気にもなれる。


梯子を登り切り、コクピットの右側に有るレバーを引くと背中側のコクピットハッチが開きコクピットの中に入れる様になる。


僕はゆっくりとコクピットの中に入り中を見渡した。


 中は空洞になっており人が三人ぐらい入れる空間が有る。


座る所が二箇所有り、空間の前側つまり顔面が有る方に僕が座りその後ろに君世が座る。


機械人は座って操縦する物だ。


前側の座る場所付近に操縦レバーが有り、後ろ側の座る場所付近に補助レバーがある。


操縦レバーも補助レバーも球体の上部に棒状のレバーが設置して有る。


足元にはペダルが有りこれは、ブースターユニットを装備した時に、ブーストしたりする為にある。


ブースターユニットが無い今は必要無い。


機械人のコクピットは機械人の目から入って来る情報を、コクピット内の前側全体に付いているモニターで確認しながら操縦する。


機械人は人間と一緒で目で見える範囲しか見えない。


真後ろなんかは機械人の顔を横に向けないと見えない。


 歩く走るなどの操作はレバーで行なう。


前の座席付近の左に有る球体上部のレバーは、下半身を動かす事が出来る。


前側に押し込んで、前進したり横や手前に押し込む事によって、横移動や後ろ歩きが可能だ。


前の座席付近の右に有る球体上部のレバーは、上半身を動かす事が出来る。


前側に押し込む事で下を、手前に押し込む事で上を、左右に押し込む事で左右を見渡したり、腕を動かしたり上半身を丸めたり出来る。


レバーには左右それぞれの前側に四個、天辺に一個の左右合わせて十個のボタンがある。


それぞれのボタンを押す事で、しゃがんだり物を掴んだり出来る。


レバーに付いているボタンに、どの様な行動をさせるかは人それぞれ。


ボタンを複数同時に押す事で、また違う行動をとったりする事も出来る。


戦闘用なら戦闘用の行動をそれぞれのボタンに、登録して戦闘している。


ボタンを押して行動させるのは、オート操縦だ。




 後ろ側の立つ場所の少し前には小型モニターがある。


そのモニターには、機械人の詳細情報や外部スキャン情報などが映っており、その情報を観ながらレバーを動かして、操縦補助を行なう。


アンドロイドが操縦補助、つまりオートの部分を動かす事になる。


オートにしすぎると、アンドロイドの負担が増える。



 完全マニュアル化とはボタンに登録してある行動または、登録して無い行動をマニュアルで行なう事である。


それは左右のレバーをミリ単位で絶えず動かす事によって実現する。


左右どちらかのレバーが1ミリでもずれると、機械人は制御を失い暴れ出す。


そこにボタンを押す事も加わるので全然簡単じゃない。


一般的には完全マニュアル化で操縦するのは、狂気の沙汰と言われている。


完全マニュアルはアンドロイドがやっているオートの部分も、自分でしないといけないからだ。


でも僕は訓練所の理不尽な機械人を相手にする事によって、ある程度マニュアルで操縦出来る様になった。


アンドロイドの負担はかなり無くなるし、マニュアル操縦する事によって、機械人がより複雑な動きをする様になる。



 機械人の所有者になるには、血を与える事と全身スキャンをする事でなれる。


これをするまでは、機械人は誰でも操縦出来るので必ずやっておかねばならない。


ちなみにアンドロイドの時と違って、血はごっそり持ってかれるので、今日一日は安静にしておくべきだ。


左右のボタンを全部同時に長押しする。


すると全身スキャンが開始されそれが終わると、血の採取に入る。


ごっそり持ってかれると言っても意識を失うまで取られるわけじゃない。



 天井から採血用の機械が降りて来る。


それに手を置きしばらく待つ。


待っている間君世が話し掛けてきた。



 「若様はやはり操縦者に成りたいのかぇ?」



そう言われたので僕は、頷く事にした。


すると君世はクスクスと笑いながら、



「そうかそうか。其れでこそ若様じゃ。」



と言った。


僕は意味が分からなかったが褒められているのだと思う事にした。


 そんな事をしている内に、所有者登録が完了した。



 【メインシステム再起動】



【メインシステム起動完了】



そんなアナウンスが流れてコクピット内が明るくなった。


これで正式にこの機械人の所有者になった。


明日から機械人に搭乗して学校に通うと思うと、興奮が収まらない。


 今すぐにこの機械人で何処に行ってしまいたいが、先程採血したばかりだ。


あまり派手な事は出来無い。




 【オート操縦かマニュアル操縦か選択して下さい】




急にシステムが喋り出した。


そう言えば訓練用機械人も確認して来たな。


僕は迷わずマニュアル操縦を選択した。



 【マニュアル操縦に設定しました】



 【どの程度マニュアル操縦にしますか】



僕は迷った挙句、70%にしておく。



 【了解しました】



そうアナウンスされた。



 【ミナト粒子を散布します】



そう言ってミナト粒子を散布し始めた。


ミナト粒子はコクピット内に充満する事で、コクピット内に掛かる重力や衝撃などを和らげてくれる有り難い粒子だ。


粒子だから充満していても余り気にならない。


これが無いと機械人の操縦はとてもじゃないが出来無い。


重力や衝撃で搭乗者が死んでしまう。


そうならない為のミナト粒子だ。



 【ミナト粒子散布完了】



これで始めて機械人を操縦出来る。


散布完了まで五秒掛かるが戦闘中でも無い今は、何も問題は無い。


 いよいよ操縦してみる。


左右のレバーを動かし前進する。


すると、ドシン、ドシン、という音を立てながら前進する。


機械人を操縦するのは始めてじゃないが、それだけで感動した。


僕専用の機械人、これからはこれに搭乗して何処へでも行ける。


 だが今日は素直にガレージに向かい機械人をしまう。


僕用のしまう場合が有るのでそこにしまう。


コクピットから降りてエレベーターに乗り地上に向かう。



 「どうじゃ、少しは落ち着いたかぇ。」



君世が話し掛けて来た。


僕はそれに頷いた。



 「落ち着いたなら良いのじゃ。」



そう言った。



 「これからあの機械人をどういう風にしていくか、考えなければならんのじゃ。」



僕はその事をよく理解出来無かったが、疲れてそれどころじゃない。



 「今は良いのじゃ。休める時に休むのじゃ。」



そう言って僕を支えてくれた。


エレベーターが地上につき、僕は直ぐ様ガレージから出て、自室に向かった。


そして直ぐ様横になり休んだ。


君世は僕と同じ用に横になった。



 「お休みなのじゃ。若様。」



そう言ってくれた。


僕は直ぐ様眠りに落ちた。






 目が醒めると、両親がもう帰っている頃合いだった。


起き上がると、



 「もう起きるのかぇ。」



君世が問いかけて来た。


僕はそれに頷きリビングへ向かう。


そういえば昼飯を食べて無かったなと思った。


お腹はペコペコだった。



 「妾も行くのじゃ。」



君世も僕の後に付いて来た。


 リビングに着くと両親が晩飯の準備をしていた。


アズサとカケルも居て僕に挨拶をしてくれた。



 「「若もう少しで晩飯が出来上がりますよ。」」



その声で両親が僕達に気が付いた。



 「あら、今起こしに行こうとしていた所よ。」



「あ、あぁ、お、おはよう。」



母は何時もどうりだが、父の様子が可怪しい。


じゃっかん前屈みである。


そしてチラチラと君世の方を見ている。


母と君世はそんな父の様子を見て、心底軽蔑した視線を向けていた。


すると君世が、



 「そのような目で妾を見るな。下種。」



そう言った。


僕はびっくりした。


君世は僕に対しては凄く優しいのに、父に対してはとても厳しい。


母も



 「軽蔑するわ貴方。」



と、今までに無いくらい低い声だった。


僕はまたびっくりした。


母がこんな声を出すなんて今まで無かった。


すると父が、



 「す スマン。不愉快だったよな。」


と言った。


僕は謝る必要はないと思ったのは、僕が男だからだろうか。


そう思った。


 何はともあれ君世を両親に紹介しなければ、と思い口を開こうとしたら君世が、



 「この下種に妾を紹介する必要は無い。」



ときっぱり言ってしまった。


父は慌てて母の方を見たが、母は何も言わなかった。


父はしょんぼりして食卓に着いた。


その後皆食卓に着いてご飯を食べた。


母と君世は終始不機嫌だった。


 食事が終わった後、両親が僕にプレゼントをくれた。


機械人アップグレード一回無料券と、アンドロイド変更一回無料券だ。


これは政府から十五歳になる子供がいる親に配られる券だ。


それを僕に渡してくれた。


僕は何が貰えるか分かっていたけど、嬉しかった。


すると突然君世が、



 「アンドロイド変更券を妾に使う気かぇ」



そう挑発的に言ってきたので僕は、首をいきよいよく左右に振った。


すると、満足そうに



 「それなら良いのじゃ。」



と言った。


僕は君世の事が速くも好きになっていた。


だから外見や喋り方などを変更する気は無かった。


やるとしても外見などの変更じゃ無く、処理速度のアップグレードなどをするつもりだった。


僕は機械人のアップグレードをどうするか、考えていた。


すると母が、



 「今日は疲れたでしょうから、早めに寝なさい。」



その言葉に従って自室に戻り、明日に備えて寝る事にする。


 君世と共に自室へ向かっていたら君世が耳元で、



 「妾を性的な目で見ていいのは、若様だけなのじゃ。」



そう言った。


僕はゾクゾクっとした。


君世は愛おしげに僕を見た。


そして僕の部屋に向かっていった。


普通変更も何もしていないアンドロイドは、余り喋らないし、感情が余り無い。


これも報酬の内かと思うと、興奮して寝れそうに無かった。




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