十三話
どういった書き方が読みやすいのか試行錯誤中。
僕達は安座間さんに案内された部屋に入って休んでいた。必要な物は全て揃っており快適だった。
僕はこれからの事を考える。まずは新しい相棒の空凪にいち早く慣れる事だ。多面型の上半身は始めてで、どういった事が出来る用になったのかの確認が必要だ。情報量がこれまで以上に多くなる事でより詳しく相手の事を知れるが、いらない情報も増えるので取捨選択が重要になってくる。
ふと考え事を止めて君世を見ると、目を瞑り何やら考え事をしていたので、話し掛けるのは止めておいた。改めて君世を見ると絶世の美女だと思い知る。僕のアンドロイドだというのにまだ君世に慣れていない。まぁゆっくりと慣れていけばいいだろうと思う。君世は僕から離れたりしないと何故か確信があった。
それからしばらくして君世が目を開けると、僕達は一緒に寝る事になった。僕は余り疲れていないが疲労は溜まっているからと君世が譲らない。僕は仕方なく君世と共にダブルサイズベッドに横になる。何故ベッド二つじゃなくてダブルサイズなのかと思ったが、アンドロイドと夜の営みをする人も多くその為にこういった配慮がされているのだろう。僕と君世はそんな事をする関係ではまだないが、いつかはそんな関係になれるだろうかと思いながら意識が落ちていった。
上世が眠りについた後、君世は起き上がり独り言を呟く。
「若様にはこれからも沢山闘ってもらわないといけないのじゃ。帝の為にそしてこの宇宙の秩序の為なのじゃ。」
「皇帝などいらぬのじゃ。帝がおればよいのじゃ。秩序を崩す者達を容赦なく殺すのじゃ。」
「そして何時の日にか妾は帝の元へ向かい、近衛兵になるのじゃ。」
「その為にも若様にはフルマニュアルで操縦できて、四方を認識可能な人間になってもらわないといけないのじゃ。」
「幅に連絡を入れてコクピットのモニターを弄ってもらい、若様が四方をモニターで確認出来る用にしてもらわないといけないのじゃ。」
そう言って君世は妖しく嗤った。
朝になり目が覚めると君世は起きており、僕に声をかけて来た。
「おはようなのじゃ若様。」
僕はそれに返事をしながらベッドから起き上がり、君世に安座間さんから何か連絡がないか確認する。
「安座間から連絡があって今日の昼過ぎに此方に来るのじゃ。」
「それよりも若様は疲れは取れたかぇ。無理は禁物なのじゃ。」
僕は疲れは取れたと言って時間を確認する。すると昼過ぎまで余り時間がない事に気づいて、何もする気が起きずに安座間さんが来るのを待っていた。その様子を君世は微笑んで見ていた。
昼過ぎに安座間さんが来て昨日の研究所にまた行く事になった。何でもお返しの準備が出来た事と、空凪の説明と武装の装備そしてこれからの事を話すらしい。僕としても空凪の事をよく知る事は生き残る為に必ずしておかねばならない事なので、昨日の今日で説明などを受ける事が出来るのは嬉しかった。
研究所に到着すると幅さんが出迎えてくれた。
「上世君よく休めたかな!!。今日はやる事がいっぱいだからね!!。」
「それに昨日連絡を受けた事もしっかりしておいたからね!!。」
そう言って幅さんは僕の手を引っ張って研究所の中に入る。僕は幅さんに何も連絡していないけれどと思ったが、君世が何事かを幅さんに頼んでいたのだろう。最も僕に内緒でやった事は余り良い気はしないけれど。
研究所内でまず僕のパイロットスーツを受け取る事になった。
「このパイロットスーツは最新型で装着者の安全を第一に考えて作られているんだ!!。真正面から機械人の銃弾を受けても大丈夫な程に高耐久で、トイレ機能も付いていてパイロットスーツを着たままでも生活が出来るのだ!!。」
「サイズも装着者に合わせてフィットする用になっているし、コクピット内のミナト粒子が尽きて衝撃がもろに来るようになっても生存率が今までのパイロットスーツに比べてはるかに高い!!。耐G性能も高くGが気にならないほどだ!!。」
「更に装着者を清潔に保つ機能も付いていて風呂に入る必要性がない!!。」
「どうだい地凪の技術力は凄まじいだろう!!。」
そうまくし立ててきた。何か凄いパイロットスーツなのは理解したけれど、何かデメリットがありそうで怖い。最新型とか言っているけれど僕を実験台にしようとしていないだろうな。その予感は的中した。
「若様がこれを装着する事は分かったのじゃが、本当に安全でありデメリットなど無いのじゃろうな?。あったら今の内に吐くのじゃ。」
「ん~~ん!! 上世君のアンドロイドは鋭いね!!。確かにデメリットは有るけれど、それを差し引いても高性能だと思うよ!!。」
「ちなみにデメリットは一度装着すると二度と脱げない事だね!!。でも脱げない事で出来無い事は夜の営みぐらいで他の事は出来るよ!!。」
「というかトイレとか風呂とかに入るとどうしても無防備になるけど、このパイロットスーツはトイレも風呂も入る必要が無いから無防備な時なんて無い!!。」
「ヘルメットまで付いているのに食事はどうするのじゃ?。一度装着したら脱げないのじゃろう。」
「その心配は無いね!!。ヘルメットの内部は栄養補給が出来るようになっていて一日に必要なあらゆる栄養が摂れるから心配無い!!。このパイロットスーツを装着すれば死ににくくなるよ!!。」
「それに宇宙空間に放り出されても活動可能なパイロットスーツだ!!。」
「変態なのじゃ。というかそのパイロットスーツを装着していると生けていると言えないのじゃ。」
「まぁ決めるのは上世君だから好きにしてもいいけどね!!。他にもパイロットスーツはあるけどもこれが一番高性能だよ!!。」
僕は迷わずにそのパイロットスーツを装着する事にした。生存率が上がるなら君世と夜の営みを出来なくなるくらい許容する。それに生きていればもっと闘っていられる。僕はどうやら戦闘が好きなようだ。まぁそうじゃなかったら訓練所の機械人相手に十年も闘っていないし解放軍との闘いは心踊っていたしな。
「若様本当によいのじゃ?。それを装着すると二度と脱げないのじゃ。」
何やら君世が焦っていたが僕はこれにすると決めた。すると幅さんが嬉しそうに、
「やはり上世君はそのパイロットスーツを装着してくれるか!!。いやぁよかった!!。誰も装着者になってくれないから心配していたんだよ!!。こんなにも高性能なのに皆、夜の営みが出来無いくらいで遠慮して!!。」
「幅それは生きている上で大事な事だよ。君や上世君みたいに夜の営みよりも大事な事が有るやつはいるけど、夜の営みが出来無い事に後悔せずに突き進む事が出来る奴は少ない。」
安座間さんが何か言っているが僕は別に戦闘狂じゃないし、君世と夜の営みが出来無い事よりも僕の生存率が上がる方が僕にとって重要なだけだから。
「若様それじゃなくて他のパイロットスーツにしないかぇ。」
何か君世がこのパイロットスーツを嫌がるが、もしかして僕と夜の営みが出来無くなる事を惜しんでいるのだろうか。まだご褒美も貰ってないしな。でもこのパイロットスーツの装着者になるメリットが君世との夜の営みよりも上なのだ。すまない。
パイロットスーツ名前は機械人用操縦服試作一七式と言うらしい。僕はそれを装着する。陰茎と肛門に生体管を挿し込んで装着するのだが違和感が凄い。今までこんな事した事ないからどうしたらいいのか戸惑う。
「あははははは!!。上世君試着室じゃなくてこの場で装着するんだね。まずは全裸になってその後に下半身に装着して生体管を挿し込んで、その後上半身に装着するという手順だよ!!。」
「上世君には羞恥心というものはないのかね。」
僕はそんな事どうでもよくて早く装着したかったから全裸になり装着していく。生体管を挿し込むのは手間取ってしまったが、無事に試作一七式を装着出来た。
外形は人類がまだ地球に居た時代の宇宙服に似ているけれど、全体的にスリムになっていてその上バックパックみたいな物が無くなっている。模様は幾何学模様であり、色は艶消しをした金色になっていて幾何学模様にそって紫の光が走る。ヘルメットは地球時代の宇宙服のヘルメットをスリムにした感じで、外部からは僕の顔は見えないため表情が分からないようになっている。
「フフフフフ!!。似合っているよ上世君!!。それでこそ上世君だよ!!。」
「幅は上世君の事なんて知らないだろ。」
「そんな事は無いさ!!。試作機に搭乗し、試作服を装着するだけでも上世君の事が分かる!!。」
「相変わらず何言っているか分からないから、上世君は幅の事は無視したまえ。最も上世君も幅と同類かもしれないけどね。」
僕は君世の方を向いて姿を見せる。すると君世は少し焦りながら、
「似合うのじゃ若様。」
と言ってくれた。
「パイロットスーツで時間かかったけど地凪から上世君にお返しがある。」
そう言って安座間さんが合図すると研究所にジュビックオジサンと、あのブースターパックを装備していた機械人のパイロット三人組が入って来る。そして僕に向かって挨拶をして来た。
まずジュビックオジサンが、
「本日より上世様に機械人剣術を教える事になったファウストです。」
そして三人組が、
「機械人のブースターユニット装備時の機動操縦を教える事になったセイカンドです。」
「同じくサアウドです。」
「同じくフォオウスです。」
と自己紹介をしたが、何故か皆の瞳は死んでおりジュビックオジサンにいたっては名前も喋り方も違う。僕はそれを疑問に思ったが答えは幅さんから教えて貰った。
「この解放軍のパイロット達は解放軍のあらゆる情報を抜き取った後、人格と記憶を消去して新しい人格と記憶をインストールして反乱出来無いようにした後、上世君の技術向上の為の贄になって貰ったのさ!!。」
流石企業やる事がえげつない。あの時に殺しておいた方が彼等の為になったのではないだろうか。そう思うが今更どうにもならないし、これからは僕の為に役立ってもらおう。ジュビックオジサンの剣技は凄かったし、三人組の操縦技術も高いから僕は不満は無い。強いて言えばジュビックオジサンとはもう軽口を言い合えない事だが、それは別にどうでもいいか。
「お返しのお披露目が済んだ事だし、上世君お待ちかねの空凪の武装などの話し合いをしようか!!。」
「空凪はいかなる場合でも対応出来るように開発された機械人で、その為に地凪の装備なら一部を除き全て装備可能だ!!。」
「また他企業の装備も使えるようになっており戦場で、敵の装備を拝借する事も可能!!。」
「それにより自身の装備が尽きても敵の装備で戦闘し生還する事が出来る!!。」
「更に動力には試作八式半永久機関を採用し一度動かせば、半永久的に活動可能の動力だ!!。」
「最もメンテナンスなどがあるから永遠に活動させられる訳じゃ無いけど!!。」
「でも補給無しで長期間活動可能な事にはかわりないから凄い動力で、戦場での動力切れが起こる心配はほぼ無い。!!。」
「半永久機関は戦闘用機械人には標準装備だけど、この空凪に搭載されている試作八式半永久機関は従来品よりもミナト粒子生成量が桁違いに多いから、機械人のミナト粒子を使う装備も強力なのを装備出来る!!。」
「ミナト粒子はこの半永久機関から生成されるエネルギーだけど、コクピット内に充満させられる量には限界がある!!。それに一度コクピット内のミナト粒子が尽きると再び充満させるには一度コクピットから降りてもう一度乗らないと補充されない為、少し減ったからって補充はできず戦闘中は補充出来無いと思ってくれ!!。」
「戦闘中はコクピット内にはミナト粒子は再度充満出来無いけど、粒子装備は機械人のミナト粒子が尽きない限り長時間使えるよ!!。」
「でも一度に生成できるミナト粒子はそれぞれの半永久機関で決まっていて、それ以上は生成出来無い!!。」
「だからミナト粒子を使う武装、例えば粒子装甲とかは機械人全体を覆うものと一部に発生させるものがあるけども、全体を覆うものはミナト粒子の消耗が激しいから長時間は使えない!!。」
「機械人のミナト粒子が尽きると動きが制限されて動かないから、ミナト粒子残量には注意が必要で高威力の粒子装備ばかり使う事は出来無い!!。」
「でも試作八式半永久機関は高威力の粒子装備ばかりでも、扱い方によっては機械人のミナト粒子が尽きないようになっていて継戦能力と殲滅能力が高い!!。」
「まぁ無理は禁物だけどね!!。」
「そして空凪の一番の機能たる感知装置は試作一八五式超性能感知装置、それが搭載されている!!。」
「この試作一八五式超性能感知装置はほぼ全ての情報を感知可能で、全方位の情報を感知して処理しコクピットに表示する!!。」
「その為にパイロットは膨大な量の情報を処理しなければならないが、分からない情報はないくらいには情報がある!!。」
「だから今までこの試作一八五式超性能感知装置を使用したパイロット達はもれなく廃人とかしているが、上世君はある程度の情報を遮断して使ってくれよ!!。」
「上世君に廃人になってもらっては僕が楽しめないからね!!。」
「そして昨日注文があった事だけど上世君の座席の所、丁度股の辺りにモニターを追加しておいた!!。」
「このモニターで背後の顔の視界から入る景色を見れるからね!!。」
「それから前面モニターを百八十度モニターにして左右の顔から入る外の景色も見れるようしたからね!!。」
「これで上世君には四方全ての景色が見れるよ!!。」
「その分やる事が多くなるけど大丈夫だろう!!。」
「ここまでで分からない事あるかい!!。」
と聞いて来たが、幅さんは僕達が口を挟む余地がないくらい一人で喋っていた。
「すまない。幅は一度喋り出すと止まらないんだ。」
安座間さんは苦労しているなと思った。
それに君世が幅さんに連絡していたのはモニターの事か。普通のパイロットは前面だけで、左右と後方の情報はアンドロイドが処理する筈だが僕に全てやれと。何をもって僕が大丈夫なのか問いただしたいな。でも君世には考えがあるからこうしたのだろうし、近衛兵はフルマニュアルかつ一人で操縦していると聞くからな。僕も出来るようになりたい。
聞きたいことは取り敢えず空凪を操縦してから質問しようか。早く僕の相棒に乗りたいからな。そして空凪に装備する武装の話しになった。
ほぼ幅さんが喋り続ける回