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十一話

 宇宙船に戻って来たら荒瀬さんが出迎えてくれた。



 「上世君大丈夫ですか?。」



 そう言って来たので僕は三機共無力化しておいた事を伝える。



 「成る程流石と言った所でしょうか。」



 「ブースターユニットを装備した機械人を三機共無力化するのは簡単ではありません。」



 「遠距離から見ていましたが彼等の練度は高く、それらをものともしない上世君は凄まじい。」



 荒瀬さんの額には汗が出ていた。


 別に襲ったりしないからそこまで緊張しなくてもいいけど。


 まぁそれよりも早く此処から脱出しよう。



 「っ!! そうでしたね。」



 「名本と真上と山本は上世君が無力化した機械人のパイロットを確保。」



 「上世君は先に宇宙船に入っておいて下さい。」



 「私は周囲の警戒をします。」



 「最も今の五分で地凪の機械人が解放軍の機械人を抑える事が出来た様ですので、心配は余り無いですが。」



 僕はその話を聞きながら宇宙船に搭乗した。




 宇宙船の中に入れば機械人に搭乗しておく必要は無い。


 僕は君世と共に機械人から降りる。



 「若様お見事なのじゃ。」



 「これはご褒美を奮発しなければならぬのじゃ。」



 僕はそれを聞いてそう言えばそうだったなと思い出した。


 


 機械人から降り立った僕達を出迎えてくれた人が僕達を案内してくれる。


 どうやら特別待遇らしく司令室に通された。


 弥奈達は当然そこにはいなかった。


 艦長らしき人が僕に向かって挨拶して来た。



 「始めまして上世君。」



 「私がこの宇宙船の艦長を務める田村だ。」



 挨拶をしてくれた艦長は背が高く初老の男性だった。



 他の船員達は君世に釘付けだった。


 艦長はその様子を苦笑いしながら謝ってきた。



 「すまないな上世君。」



 「君のアンドロイドは船員達には目の毒らしい。」



 そう謝って来たが余り誠意を感じ無かった。


 現に君世も不快そうに艦長を見ていた。




 その様子は伝わっているのに皆ヘラヘラとしていて非常に不愉快だった。



 「なぁあんた上手い酒が有るんだが、今晩一緒にどうだい?。」



 と船員の一人が僕を無視して君世に話し掛ける。


 君世は不快そうに、



 「話し掛けるな下郎。」



 そう言って突き放す。


 だが周りはその反応に気を良くしてテンションが上がっている。


 僕は不愉快に思いながら皆に君世に近づくな話し掛けるなと言った。


 すると皆不機嫌になり僕に向かって口撃して来た。


 怒り手を出そうとする君世をなだめながらただ聞き流していた。




 僕が何の反応もしない事に腹を立てた一人が僕を殴りつけてきた。



 「すかしてんじゃねぇぞガキが。」



 「親の金で改造したアンドロイドでイキってんじゃねぇ。」



 「五大企業に逆らうとどうなるか教えてやろうか?。」



 と脅して来たが僕は何も感じ無かった。


 それよりも君世が今にも人殺しをしそうな感じがする方が気になる。


 僕は君世に大丈夫だと言って立ち上がる。


 その様子によけいに苛立ってしまった奴等が僕を取り囲む。


 僕は五大企業に所属しているだけで自分が強くなっている気でいるこいつらが滑稽で仕方なかった。




 だが現実問題こいつらを殺すのはまずいから君世には離れて貰って僕は殴られよう。


 そうと決まれば君世を僕の後ろに隠しというか君世がデカイので隠せないが、僕は殴られる準備をした。


 君世は僕のする事を察したようで大人しくしてくれた。


 最も怒髪天なのは感じられるが。




 それから僕は殴られ続けた。


 途中に君世に手を出そうとする奴は殴り飛ばして、それ以外は何もしなかった。


 殺す価値も無く喧嘩する価値も無い。


 そんな奴等に僕は何も感じ無かった。


 ただどうしてこの状況を終わらすか考えていた。


 するとそこに荒瀬さんがやって来た。



 「貴方達は何をしているのですか?。」



 そう言った荒瀬さんの声は冷え切っていた。


 一応手を止めたが皆ヘラヘラしっぱなしだった。


 荒瀬さんは何も言わず僕を連れて司令室から出ていった。




 「上世君彼奴等の事は放置しておいて下さい。」



 「艦長の一族は地凪で高い地位に就いているのでああも傲慢なのです。」



 「最も地凪にとって上世君の方が重要で、地位が高い事も理解出来無い阿呆ですが。」



 そう言う荒瀬さんは彼奴等の事を良く思って無いようだった。




 僕は荒瀬さん達が寝泊まりする部屋に案内されてそこで今後の事を話し合う。



 「まず君世君達は地凪の本社に行って貰います。」



 「ですが我々は本社に行く権利が無いので惑星タイルに向かい、そこで本社の者に引き渡します。」



 「それまでは我々と共に行動して貰います。」



 「解放軍ジュビックと三機パイロットも本社に向かいますので、そこは知っておいて下さい。」



 「だた人質達は私達と行動を共にするので本社には向かわずに惑星タイルにてお別れです。」



 「三機のパイロットはこれまた有名で企業の方も少なくない被害を受けているので、上世君の功績は相当のものになると思います。」



 「バトルアリーナの花形選手レベルと言ってもいいでしょう。」



 「上世君もバトルアリーナに出場する資格は十分あります。」



 「まぁ今後どうなるかは分かりませんが、少なくとも悪い様にはされないでしょう。」



 「地凪としても上世君は貴重な戦力ですから。」




 そんな話しをしている間に惑星タイルに到着した。


 ワープ技術は凄まじく惑星間どころか別の銀河系に行くのでさえ五分と掛からない。


 その代わりに五大企業の本社や帝が住まう惑星には中継地を介して向かわないと、一生辿りつけない様になっていて惑星タイルは地凪の本社惑星に繋がる中継地の一つだ。




 惑星タイルに降り立った僕達だが宇宙船から出る前に僕の機械人に君世と搭乗する。


 いきなり戦闘は無いと思うが絶対は無いので用心しておく事にする。


 何よりも機械人のコクピット内が落ち着いていられるからだ。


 僕はハッチが開いたと同時に出る事はせずに周りの様子をうかがう。


 最も君世に宇宙港の中には武装した機械人が複数いる事を教えて貰っていたので、大して動揺はしていないけれど。


 僕は機械人に搭乗しているが、荒瀬さん達は生身のまま降りて行ったので僕もそれに続く。




 宇宙船から降りてみると僕達を囲む様に機械人が並んでいる。


 その事に不満があるのか艦長が喚いていたが、武装した生身の人間に射殺されていた。


 僕はそれを機械人の中から見ていたが企業はすぐに殺すなと思ったが、僕も自分が生きる為なら殺すから同じか。


 艦長だけでなく船員達も同様に射殺されていく。


 何故殺されているのか分からないが、まぁ別にどうでもいい。


 まぁでもこれからどうなるか分からない以上、僕は生身の人間達が喋っている声を拾う事にした。




 「何故この者達を殺したのですか?。」



 「あぁそれは報告にあった訓練所の機械人を倒した少年の事を知っている人間を、生かしておくわけにはいかないからだ。」



 「でも艦長はそれなりの一族の者ですが。」



 「そんな事よりも少年の事を他企業に知られるのは遅い方がいい。」



 「何処で情報が漏れるか分からんからな。」



 「惑星タマは消滅させたとはいえ今ここにも生存者がいるからな。」



 「そう言う事だから荒瀬君達ここまでの移送ご苦労。」



 「後は我々が引き継ぐから君達はもう必要無い。」



 「っ!! 待って下さい。」



 「私達は地凪を裏切ったりしません。」



 「何を言っているんだ荒瀬君。」



 「私は少年とそのアンドロイド、そして解放軍幹部を連れて来いと言ったのであって、民間人を連れて来い等と言った覚えは無いが。」



 「これは少年を知っている人間を増やしただけならず、荒瀬君が言われた事も出来無い阿呆という事だが。」



 「これは裏切りだと思っているがどうだろうか。」



 「あの民間人は人質であって上世君が我々地凪を裏切らない様にする為の措置です!!。」



 「上世君は我々の言う事を聞かない可能性があるので人質を取ったまで!!。」



 「その事を判断するのは私達であって荒瀬君じゃ無い。」



 「言う事を聞かない可能性があるから人質を取ると言う事も理解できん。」



 「そのせいで我々地凪の印象が悪くなるとは考えなかったのかね?。」



 「それに荒瀬君は勝手に人質を取ってそれを報告しなかったからな。」



 「現場判断は大事だが報連相を疎かにする奴は信用できん。」



 「話しは以上だから死んで良し。」



 「っ! 待って下さ」



            バン



 話しが終わると荒瀬さんは事切れた。


 そんなに関わってないが随分呆気無かったな。


 それに続き荒瀬さんと共にいた人達も殺されていく。


 まるで連帯責任とでもいうように。




 僕はそれを黙ってコクピット内から見ていた。


 別に荒瀬さん達が死のうとどうでもいい。


 やはり僕は自分と君世の生存以外はどうでもいいらしい。


 人質達は丁重に扱われていた。


 何人か吐いていたけれども殺されはしないようだった。


 僕はそれを見ても何も感じ無かった。




 荒瀬さんと喋っていた男の人とジュビックオジサンが話しているが、興味無いから聞かなかった。


 あの三人組も運ばれて行った。




 全ての人を移動させた後に残るのは僕達と周りを囲む機械人と、荒瀬さんと喋っていた男の人のみになった。



 男の人が話しかけて来ているので、僕は話しを聞く事にする。



 「色々とすまないな上世君だったかな。」



 「我々は君達を歓迎しよう。」



 「周りの機械人を下げるからその後、コクピットから降りて来て欲しい。」



 そう言って男の人が合図を出すと直ぐに機械人達が下がって行った。


 僕はそれを見て機械人の片膝を付きコクピットから降りて行った。


 そういえば君世は一言も喋っていないが大丈夫だろうかと君世を見ると、凄く嬉しそうに悦んでいたので大丈夫そうだった。



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