浮気の定義を巡る攻防
アリア、漫画版も大人気で嬉しい限りです
奥様奥様、ききました?
2月17日に2巻が発売されるんですってー
懐かしくなり、久しぶりにエピローグと書き下ろしを読みかえしたら、アリア、めっちゃ可愛いですね……
お話の時事系列は本編終了後、「ボタンを巡る攻防」よりもさらに後になります
よって、本編よりもアリアのデレが強めです!
デレすぎて解釈違いだったらかたじけない
その場合は大罪のせいです。王冠さん、仕事して!
「どこから浮気になるか教えてほしい!?」
アリアから驚きの声があがる
それはもう何度目になるかわからぬ「下町の視察同行」――つまり、ラウルが「デート」と呼び、アリアが「貨幣流通状況の確認作業」と言い張り、バルトが「いい加減にしろよおまえら」と嘆息する行為――の帰り道でのことだった。
「ああ、部下がその認識の違いで彼女と喧嘩したと言う話を聞いた」
なんだ、ラウルが浮気したのかと動揺して損した。
いや、なんでラウルの浮気で動揺するんだ、私。
こいつが浮気すると嫌なのか?そんなことはないはずだ。そもそも、私達まだ付き合っていないし!きっと、目の前の男がキャラに合わない単語を口にしたので驚いただけだ。間違いない。
少し落ちついたアリアは思う。
なるほど、「不倫」になると「配偶者がいる身で不貞行為を行うこと」と法に定義されているが、「浮気」の定義は人それぞれだ。
そのギャップでトラブルになる男女も多いときく。
(まあ、私の場合、裕福な独居老人を落として玉の輿に乗ったあとなら、生活が保証される限りそいつが他の女と2人っきりで食事に行こうが旅行に行こうが、全然オッケーだけどね。)
そう考えると、自分は浮気には相当に寛容なタイプだろうと、アリアは思った。
「で、なんでそんなこと私にきくのよ」
「無自覚のうちに、君に嫌な思いをさせるのは避けたい」
「んな!?なんでそうなんのよ!」
ラウルの言葉に動揺するアリア
まず私達、まだ付き合ってないでしょうが!
「仮定の話をしよう。私が、令嬢から事業の相談があるからと誘われて2人で食事に行ったとしたら、君は浮気になると思うか?」
アリアはその光景を思い浮かべた
……なんだろう、なんだか凄くむかついた
「浮気ね、それは」
「そうか」
「あったり前でしょ!そんなもん、女の方は絶対アンタに気があるわよ。男女2人で食事にいくとか、いつか恋愛に発展するどころか、もう女の方では恋愛が始まってるわ。浮気よ浮気!」
「わかった」
まったく、なにを言ってるんだコイツは。自分が女性にモテるのをもっと自覚してもらいたいものだ。仕事の話は仕事場で終わらせろ!
「次のケースだ。友人に誘われて歌劇鑑賞にいったら、知らないうちに友人が数人の令嬢も誘っていて、やむなく同席した場合はどうだろう」
アリアはその光景を思い浮かべた
なんだろう、なんだか凄くy
「浮気ね、それは」
「そうか」
「あったり前でしょ!そんなもん、女の方は絶対アンタに気があるわよ。その友人は仲介を頼まれてんの!一緒に歌劇鑑賞とか、デート以外の何者でもないじゃない。浮気よ浮気!」
「わかった」
まったく、なにを言ってるんだコイツは。自分が令嬢達からどれだけ人気があるのか、もっと自覚してもらいたいものだ。友人と遊びに行くなとは言わないが、同席する女がいないかくらい、行く前にきちんと確認しなさい!
「なら、女性を家まで送るのも浮気になってしまうかな」
アリアはその光景をry
「あったり前でしょ!そんなことされたら、女の方は絶対アンタのこと好きになるわよ!いつ女の方から求婚されてもおかしくないわ。浮気よ浮気!」
まったく、なにを言ってるんだコイツは。自分の魅力をもっと自覚してもらいたいものだ。聖騎士の頃に仕事で貴人を護衛していたとかなら、まあ仕方ないけど……でも、その場合も護衛は大勢でして、ラウルには女から距離をおいたところにいてほしい。
「そうか、よくわかった。2人で食事をするのも、歌劇を見に行くのも、家まで送るのも、君以外にはしないと約束しよう……さあ、家についたね。名残惜しいが今日も楽しかった、ありがとう。おやすみ。」
「な……」
そう言ってラウルは、絶句しているアリアの額にそっと口付けすると、スタスタと歩いて行ってしまった。
「な、なにあれ! 信じらんない、まるで私たちが付き合ってるみたいじゃない! なにあの傲慢! ちょっとバルト!あの勘違い野郎にブレスでもかましてやってよ!」
『やだよ』
すぐ傍らに蹲っていたバルトに呼びかけるか、相棒はてんでつれない。何せアリアとラウルは、最近いつもこんな感じなのだから
くあ、とあくびをしながら、彼はトカゲ姿に見合わぬアンニュイな様子で、顔を赤くしているアリアにこう呟いた。
『今日、2人で食事して、歌劇もみて、家まで送ってもらったのは誰だよ。どう考えても、おまえの分が悪いだろ、アリア……』
⭐︎⭐︎⭐︎
一年と数ヶ月前、アリアやラウルの活躍により、宝石に封じられていた七つの大罪は無事に浄化された。
だが、誘惑に負ける心、他人を見下す心、欲張る心、そんなほかの大罪とともに、嫉妬や怒りも、ごく自然に、誰の魂にも宿っている。
加えて、シャバには七つの大罪よりもよほど執念深くて、厄介な美徳まて゛あるのだ
――愛だとか好意、と、人々はそれを呼ぶ。
ときに嫉妬や怒りに蝕まれながらも、愛や好意と言った絆を信じて、男女の営みは続いてゆく。
もしかしたら、ガーネットをあしらった金の指輪がアリアの左薬指に嵌るような日も、近いうちに訪れるかもしれない
全国1億人の中村先生ファンの皆様。他の2次創作も書いているので、良かったらみてやって下さい(貪欲)↓
東の魔女のあとしまつ 2次創作
貴腐人ローザは陰から愛を見守りたい 2次創作
文系脳でごめんなさい 2次創作
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