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第6話 【ピッツァポテト】

 アリアが建てた家々は、到着した開拓民たちにとってまさに理想郷だった。彼女がネットショッピングで購入した家は、しっかりとしたベッドや柔らかな毛布が備えられており、初日から快適に眠れる環境が整っていた。


 また、電気・ガス・水道が通っていないため、こちらは使用できないと思っていたが、この世界で普段使用されている魔石で点けられる灯りや水の魔石に置き換わっており、生活に必要なものが一通り揃っていることが分かった。彼らの驚きと感謝の声がアリアの耳に届き、その表情は安堵に包まれていた。


 そして、すべての家にはお風呂まで完備されていた。普段は風呂がなく、川や簡易な桶で体を洗うことに慣れていた開拓民たちは、まさか自分たちの住む家に風呂があるとは思わなかったのだ。


 その知らせが広がると、村人たちの間で歓声が湧き上がり、皆が湯船に浸かる喜びをかみしめていた。温かいお湯に体を沈めることで、これまでの疲れがじんわりとほぐれていき、まるで楽園にいるようだと感動する者もいた。


 その夜、アリアは夕食をとり、食後のお風呂を楽しんだ後、自分の部屋に戻った。今日一日の疲れを感じつつも、眠る前にどうしても「ネットショッピング」のスキルを試したくなり、サイトを開いた。


 彼女の目がキラリと輝いたのは、前世で大好きだった「ピッツァポテト」があるか確認したいという気持ちからだった。


 検索欄に「ピッツァポテト」と打ち込むと、目の前に馴染み深いパッケージの画像が表示され、なんと20個入りの段ボールが購入可能だとわかった。アリアは興奮を抑えきれず、即座に購入ボタンを押した。目の前に現れた段ボールを見て、彼女はさらに胸を高鳴らせながら開封した。


 袋を開け、恐る恐る一枚つまんで口に入れると、サクッとした歯ごたえとともにピザ風味のチーズの濃厚な味わいが広がった。前世の記憶に鮮やかに蘇る味、そのままだ。思わず声に出して笑ってしまうほどの懐かしさに包まれ、しばらく夢中で食べ続けた。


 アリアはこの「ネットショッピング」のスキルに心から感謝し、これからもお菓子を定期的に楽しもうと密かに決意した。



 次の朝、まだ眠気の残る目をこすりながらも、開拓民たちは元気よく行動を開始した。今日は各自が役割分担をし、森の調査、畑作り、街の基盤整備に取り組むこととなっている。森の調査を行う者たちは、未知の領域に緊張した面持ちで、装備を整えつつ出発していった。


 ルークは井戸づくりや道路舗装の指揮をとり、アリアはその間に皆のための食事を用意することに決めた。


「さて、今日は前世で作り慣れていたカレーをみんなに作ってみましょうか。」


 そう言ってアリアは意気込んでネットショッピングを再び開き、カレーのルー、にんじん、牛肉、じゃがいもなどの材料を大量に購入した。


 大量に購入したものの、ネットショッピングに表示される自分の魔力の残量も十分あったため、多めに材料を買っても問題はなさそうだった。材料が目の前に出現すると、アリアは大きな包丁を取り出し、手際よく食材を切り分けていく。


 大きな鍋に肉や野菜を入れ、煮込み始め、沸騰した後、カレーのルーを入れてからしばらく経つと、しだいにカレーの香りが漂い始め、辺りにその濃厚な香りが広がった。初めて嗅ぐスパイスの香りに、開拓民たちは興味津々でアリアの周りに集まり始める。何が作られているのか、思わず口に出して聞く者も現れた。


「アリア様、一体これは何の料理なんですか?すごくおいしそうな香りがするのですが.........」


 アリアは笑顔で答える。


「これはカレーといって、とても美味しい料理なんですよ。もう少しで出来上がりますので、皆さん楽しみにしていてくださいね」


 彼女の笑顔とその言葉に、開拓民たちはますます期待を膨らませ、鍋の完成を待ち遠しく感じていた。アリアは鍋をかき混ぜながら、こうして異世界でも自分の料理を皆が楽しみにしてくれることに、少しだけ嬉しさを覚えていた。


 ところが、カレーがもうすぐ完成するという時、森に出発していた探索隊の一人が突然、凄まじい形相で駆け込んできた。その呼吸は荒く、額には汗がにじみ、恐怖に顔を引きつらせている。


「ど、どうかしましたか?何があったんですか?」


 アリアが心配そうに問いかけると、その男は息を整えようともせず、震える声で報告した。


「アリア様…森の中で、巨大なドラゴンを見ました!」


 その言葉に、周囲が静まり返った。アリアも一瞬で顔色を変え、心臓が強く鼓動するのを感じた。ドラゴンなど、まさか想像もしていなかった脅威がそこにあると知り、全員が言葉を失ってしまった。


「ドラゴン、ですって…?」


 アリアは唖然としながらも、冷静に状況を把握しようと努めた。しかし、心の中では、未知の地での開拓がどれほど厳しいものになるのか、改めて痛感せずにはいられなかった。

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