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不思議な落書き

作者: 卯月匠

 ある朝、電車の高架下で落書きを見つけた。私以外の通行人も、黙ってその落書きを見つめていた。


 その落書きの周りに次々と人が集まり、じっと見つめている。試しに自分もその落書きを凝視してみたが、特に変わった感覚はなかった。それでも、しばらくしてから周りを見回すと、人々は微笑みを浮かべ、各々の目的地に向かって動き出していた。


 その日の帰り道、ふとその落書きのことを思い出し、もう一度確認してみた。そこにはもう何も描かれておらず、ただのコンクリートの壁が広がっているだけだった。


 次の日の朝、高架下を通るとき、また同じ場所に人々が集まっていた。興味本位で再び落書きがあった場所に行ってみると、今度は違う落書きが描かれていた。


 その落書きを見た瞬間、自分の中の何かが変わった。周囲の人々も自分も、違う人生を歩むことを決心したかのように、新たな一歩を踏み出していた。高架下を抜けた瞬間から、世界が少しだけ輝いて見えた。


 その日以来その高架下には、常に新しい落書きが描かれるようになった。そしてそれを見つめる人々は、皆一様に変わっていった。

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