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衝撃に備えろ

これは砂塵が渦巻く世界に生まれ落ちた、1人の少女の物語。


宿命に翻弄されながらも生き抜くことを決めた、はかない命の鎮魂歌。

「これより第7分隊は、災厄の発生地点まで進軍を開始する。災厄の危険度はB+。魔人の襲来も予想される、心してかかるように。」

分隊長である八雲リナは、隊員に向け激を飛ばす。

決して大きな声ではないが、言葉の端々に殺気を感じる。

触発された隊員の士気は高まり、熱を帯びてきた。


災厄は、姿かたちを変え、魔法陣から襲来する。

時には竜や獣の形をした魔獣が町を襲い、昆虫の姿で田畑を食い荒らしたこともあった。

これらの危険度は、魔法陣から検出される魔力量で、ある程度予想することができる。

魔力量により、災厄の脅威レベルがランク付けされ、上位ランクはより強力な魔人種が出現する。


隊長は続けて作戦の詳細を説明した。

「斥候隊の情報から、災厄の襲来まで若干の猶予がある。現地到着次第、前衛は地形と陣形の確認を行ってくれ。今回は副隊長のカナメを筆頭に、フランツとアンジュが前衛を務める。転生者の2名は初陣だ。カナメ、よろしく頼むぞ。」

「了解。」

「続いて後衛は、私と狙撃班が固める。リンベル率いる解析班は後方支援だ。適情報の分析と共有を頼む。」

「りょーかい。」

「以上だ、各員、進軍開始!」


船から、数台のデザートバイクが砂埃を巻き上げながら出発していく。



今夜は満月。

月明かりのおかげで、いつもより遠くまで彼らの様子を見ることができた。

サキは、いつもの甲板から外を眺めている。

彼らと一緒に行けない不甲斐なさや不運を呪うよりも、無事を願う気持ちの方が強かった。



第7分隊は魔法陣の発生地点へ到着し、斥候隊と合流した。

魔法陣はいまだ休眠状態ではあるが、いつ災厄に発展してもおかしくない。

上空を走る天蓋の亀裂が、怪しい光をまとってこちらをのぞいている。


リンベル率いる解析班は、災厄発生地点から300メートルほど離れた高台に待機し、器材を設営した。

各隊員との通信環境の確認を行っている。

分隊長のリナ率いる後衛の狙撃班は、魔法陣を取り囲むように散開し、狙撃ポイントを入念にチェックする。

カナメ副隊長率いる前衛の3人は、地形を見回りながら、戦術の連携について話し合うことにした。


「俺が副隊長のカナメだ。改めて、よろしく頼む。」

「フランツだ。」

「アンジュです。よろしく。」

フランツとアンジュは、副隊長と握手を交わした。

副隊長は身長はさほど高くないものの、鍛えられた体は見事なもので、威圧感さえ感じるほどだ。

握手をした手のひらは、驚くほど硬く、分厚かった。


副隊長は続けて自身のスキルについて説明した。

「まず、それぞれのスキルについて、確認を取りたい。俺たち軍人は転生者と違って異能の力はない。その代わりにアーツと呼ばれる魔導具を装備し、災厄に対抗している。俺の扱うアーツは、この手甲だ。」

フランツは興味津々で身を乗り出し、副隊長のアーツをまじまじと眺めた。

「これがアーツか・・・。間近で見るのは初めてだ。」

「このアーツには打撃力と攻撃速度強化のバフが組み込まれていて、このアーツドライブに魔晶石を装填することで、攻撃属性を変えることができる。」

「どんな属性を扱えるんだ?」

「俺の戦術と相性がいいのは、状態異常だ。よく使うのは毒、麻痺、そして幻覚の付与。毒は蓄積ダメージ、麻痺は追撃に有効だったりする。ある程度の知能がある相手には、幻覚も効果的だ。」

「幻覚はどうやって使うの?」

アンジュは目を丸くしながら質問した。

「打撃リーチに幻覚を乗せて相手の防御を防ぎ、急所を狙ったり、隊員配置の幻覚を見せて攪乱を行ったりできる。」

「絶対タイマンはしたくない相手だな。」

「ただし、発動には条件がある。魔晶石を発動させたうえで打撃を与える必要があり、相手によって適性も異なってくる。」

「じゃあ、戦闘中で一番効く状態異常を見極めてる感じか?」

「その通りだ。確実な効果を発揮するまで多少の時間はかかるが、その分を攻撃速度のバフでカバーしている。」

「持久戦と近接特化のアタッカーね。」

「そんな印象だ。次はフランツ、説明を頼む。」


「俺たち転生者は、知っての通り異能を扱う。異能の発現方法は転生者によって違うが、俺の場合は、圧力そのものをコントロールすることができる。」

「圧力?」

「まあ、見せた方が早いか。」


フランツが下に手をかざした瞬間、地面がゆっくりと押され、手形の跡が付いた。

「俺の能力は、圧力の放出だ。内容はシンプルだが、用途は広い。放出は面や点、線形、自身が想像できる形ならどんなものでも可能だ。攻撃自体に圧力を上乗せすることもできるし、面で放出すれば瞬間的な防御も可能だ。」

「その能力に縛りは?」

「もちろんある。圧力を放出できる範囲は、自身が明確に認識できる距離までだ。放出時の形にもよるが、いまのところ、ざっと10m。これが平均射程だ。放出面積が大きいほど距離は短くなる。」

「点であれば、何メートルまで行けるの?」

「うーん、50mくらいだな。対象を明確に認識できればな。」

「圧力の大きさはどの程度なんだ?」

「自身が作り出せる圧力であれば、その形態の変化も可能だ。圧力の性質上、放出した際の面積を制御して小さく絞れば、その分、圧力自体も強くなる。」

「それでフランツは刀を使うの?」

「まあそうだな。俺の武器は刀だ。線形の圧力を点に絞れば、より遠くまで強力な力を飛ばせる。これで作れる線形の圧力は特に大きい。抜刀時の最大圧力であれば、RPGくらいなら無傷で跳ね返せる。」

「あーるぴーじー?ゲーム?」

「ソ連の・・・、まあ、めっちゃ強いって訳だ。」

「後半の話はよくわからんが、短中距離の剣撃アタッカーという認識で間違いないか?」

「それで構わん。」

「最後に、アンジュだ。」


「私は守りよ。この通り・・・」 ッガン

アンジュは背負っていた巨大な盾を地面に降ろした。

「この盾は、あくまで自身の力をイメージしやすくするためのもので、私の異能の本質は、力の流れを変えることにあるわ。」

「盾で攻撃を受け流すってことか?」

「そうね。私自身、もしくは自身が装備したものが受けた攻撃の力の向きを変えることができるの。受け流すこともできるし、反射させることもできる。」

「どこまでの力に対応できる?」

「自身の体や装備が壊れない程度であれば、対応可能よ。受け流しであれば、自身が受ける力は小さくなるから、もっぱらこの手段を取ることになるわ。反射であれば相手に攻撃することも可能だけど、その際の衝撃は全て自身で受けることになるからね。」

「諸刃の剣って訳だな。物理以外の攻撃はどうだ?」

「まだやったことが無いから、何とも言えないわ。炎や流水とかは、力の向きを変えるって意味では同じだから、多分できると思う。でも雷撃は分からないな・・・。想像が付かない。」

「相手によっては、難しい局面はあるな。」



「よし、これで全員分出そろった訳だが・・・。副隊長、俺とアンジュは初戦からいきなり実践だ。このタイミングでの実践投入に少し疑問も感じている。勝算はあるのか?」

フランツは副隊長に向けて率直に質問を投げてみた。

「現場も人手不足でな。上の意図は分からんが、これも命令だ。勝算はもちろんある。後衛には、あの分隊長が控えている。俺たちはただ、目の前の敵を撃つことに全力を出せばいい。」

「あの分隊長、そんなに強いのか?」

「今日、まさにこれから、身をもって知ることになるさ。」


「話を戻そう。戦術連携についてだが、まずは俺が初手を打ち込み相手を引き付ける。撹乱しながら立ち回り、隙を見てフランツが中距離から追撃。強撃の受けやフォローはアンジュに任せたい。」

「了解。」

「状況に合わせて、俺とフランツがスイッチ。状態異常が効いてきた辺りでフランツが止めを刺してくれ。攻撃威力は君の方に分がある。」

「了解だ。」

その後は、地形の確認や後衛との連携方法について話し合った。



そして、夜明けの少し前、事態が動く。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

初めて書いた小説です。


皆様に楽しんでいただけるような作品に仕上げたいです!

ド素人のつたない文章ですが、ぜひ、皆様のご意見・ご感想をお聞かせください。


よろしくお願いします!

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