7.
『あ、そういえば、この間の小テスト、どうだったんだ?』
考えに耽っていると、突然鞄をつかまれてテストを見せるよう要求された。勉強家なラーシュは、最近、私の学力まで心配してくれる。
謹んで辞退させていただきたいという思いを頑張って伝えようとしたけれど、そんな遠回しな拒否は彼には通じないし、そもそも英語に変換できない。しぶしぶプリントを渡すと、彼はひどく真剣な表情をして顔を近づけてきた。
『小テストなら授業を聞いていればわかるだろ』
『わからなかったらなぜ復習しない? 日本の学生は怠けすぎじゃないか?』
『その状態でテストを受けて点数が悪いのは当たり前』
『もしかして将来を諦めているのか?』
『俺に謝ってどうする。自分のことだぞ。もっと真剣に……』
ラーシュの説教は延々と続いた。それはもう途中で「この人、やっぱりそんなにもてないかも」と思うくらいに。
――ラーシュは真面目だ。
それに正しい。
彼の行動が親切心からきていることは、ちゃんとわかっている。
でも、そういうところが日本では疎ましく思われるかもしれないと、忠告もできないくせに、私は少し心配していた。