10.
ラーシュに嫌がらせした犯人を見つける。
そうすることが、勝手に心を読んでいた私のせめてもの罪滅ぼしだと思った。
それが終わったら、秘密がばれるより先に彼の前から姿を消すのだ。今度こそ。
そう決心した私は、同じ日の夕方、あの声を聞いたバス停でしばらく張ってみた。帰りも同じバス停から帰るだろうと思ったからだけれど、登校時間と違って下校時間は人によってだいぶ違う。ダメもととはいえ、収穫なしという結果にため息をつく。
コンビニに向かいながら、作戦を練り直す。
やはり、朝の方が確実だろう。きっと、同じ時間、同じルートで登校してくる。
気温によっては心の声が聞こえるかもしれないし、その方が犯人も見つけやすいはず。
とりあえず、明日の朝もこのバス停の前で見張りをすることに決め、コンビニの前に立った。
(でも、それで犯人がわかったら、ラーシュとはもう……)
無意識に、再度ため息をついた。自分で決めたことなのに、いざそれが間近に迫ったら、先延ばしにしたくてたまらなくなる。
考え事に気を取られていたせいか、私と入れ違いに店を出ていく人と肩がぶつかった。ラーシュと同じ制服を着た三人組の男子生徒だった。
「あ、すみません……」
とっさに謝ったのだが、彼らは私の存在に気づかず、一塊になって話に夢中になっている。
「……と、あいつ、ふてぶてしい……。ガイジンってすげえ神経……」
「……次、どうする……、明日……か?」
(……えっ?)
私ははっとして立ち止まった。
この声。そして、ガイジンという言葉。
間違いない。彼らが、ラーシュを泥棒に仕立て上げたのだ。
でも、どうしたらいいのだろう。
星のささやきが聞こえるには、まだ気温が高すぎる。気温が十分に下がるまで、彼らが待ってくれるわけもない。
事実、彼らは店を出てしまった。私は店内で焦り続ける。
彼らの前に出て、顔だけでも確かめておこうか。でも、その先は?
「明日」という単語にひっかかった。悠長なことをしていたら、明日、また何かされるのかもしれない……!
――気が付くと私は、三人組の一番後ろにいる男子の腕をつかんで叫んでいた。




