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終末のデッドマン  作者: 大隅スミヲ
ひとびとのせんたく
30/74

Police officer(4)

 久しぶりに港湾署内に緊張感が漂っていた。


 署内にいる人間は全員3階の大会議室に集められた。

 普段、この大会議室は捜査本部が設置されたりする場所である。


 中央正面には港湾署長と、その横に座る竹原副署長。向かい合う形で署員たちが座っていた。


「署内に常備してあった食料が少なくなってきている。そこで諸君には、食料奪還作戦を遂行してもらいたい。もし、作戦の最中に非感染者を発見したら、非感染者の保護も忘れないようにお願いする」


 署長がマイクを使って話をする。食料奪還作戦と名付けた計画は、港湾署内に立てこもるようになった当初から立案していた計画だった。

 署内には災害時を想定した非常食が保管庫にあったが、災害の想定はたったの一週間だけであった。

 これは災害時の想定であり、まさかこのような形で署内に立てこもることになるとは思ってもいないことだった。


 世の中の物流はストップしている。

 最終的に残っている食料を非感染者たちが奪い合う形となってしまうが、背に腹は代えられなかった。

 それに今のうちにスーパーマーケットやショッピングモールをデッドマンたちから奪い返しておけば、保護した非感染者たちの生活スペースとして活用することも出来るのではないかと考えられていた。


 作戦としては、巨大なスピーカーを積んだ警察バスで大音量を流し、デッドマンたちを引き付けておき、その間に手薄となったスーパーマーケットやショッピングモールを奪還して、安全地帯とするというものであった。


「この作戦は各地の警察や自衛隊でも行われており、その成果があったという報告を受けている。成功は君たちの手に掛かっている。頼んだぞ」

 竹原副署長による後押しの言葉もあり、署員たちはやるしかないという気持ちになっていた。


 デッドマンたちが音に敏感であるという情報は、日本政府からもたらされた情報であった。

 実際に署員たちも、大きな音に反応するデッドマンたちの様子を何度も見ており、この作戦は成功すると確信していた。


 目標とする場所は、お台場にある大型ショッピングモールだった。

 警察署からショッピングモールまでは大通りをまっすぐ300メートルほど進むだけだが、ここを制圧できれば、かなり有効活用できるようになるはずだ。それに食料もまだ残っているだろう。ただ、ショッピングモールには無数のデッドマンたちがいることがわかっている。


 時おりパトロールに出て、ショッピングモールを外から偵察したりしていたが、ショッピングモール内をうろうろするデッドマンたちの姿を何度も見て来た。


「みんな、生きて戻ってきてくれ」

 その言葉に背中を押されるようにして、署員たちは自分の配置につく準備をはじめた。

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