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忘れ物(千鶴)

作者: 狼花

「お母さん、今度はちゃんとお土産持って帰ってきてよね」

「はいはい、わかってるわよ」

タクシーを呼び出して清盛と二人でご飯をたべに行くことになった。


「それじゃ、家のことは任せて楽しんでください」

清盛の奧さんが桃花と遊んでくれるので家のことは考えずにのんびりできる。


 「何が何でも私の分の焼き鳥とか美味しいもの持って帰ってきてよね。去年は電車の中に忘れてきたんだから」

タクシーに乗り込んでからも桃花の催促は続く。


「もう、わかったから。きちんと買って来るわよ」

私はお酒を飲むと物覚えが悪くなるらしく去年、

電車の中でお土産を忘れてしまったので桃花はしつこく言って来る…。


 「はっは、姉貴も酒飲むと頭悪くなるんだな、」

「うるさいわね。誰にだって失敗くらいあるでしょう」

「今年は何を忘れるんだろうな。携帯か?財布か?やっぱ桃花のいうようにお土産か?」

軽快に笑う清盛は携帯でどこの飲み屋に行こうかと調べている。


 タクシーを降りて、電車に乗り。

居酒屋が立ち並ぶ飲屋街に到着。

「とりあえず。魚介、酒、焼き鳥。姉貴どこ行く?」

ひとえに飲み屋といっても”ここ”はこのお店しかないという一般にいうところの1押しのメニューというものが存在する。

取り扱ってるお酒があったり、なかったり。

居酒屋の雰囲気でにぎやかだったり、落ち着いていたりという居心地の良さの違いは1つ1つのお店で違いがあるものだ。


 「気分的に鍋かしらね」

「ああ、それもいいな。俺は焼肉の気分だったけど、久々に湯豆腐食べたくなってきた」

そんな流れで始まって。

もつ鍋から始まり、焼き鳥、バー、大衆食堂と回って行き。

一件回ってはお土産を買いお互いに持たせあったり、つまみ食いする清盛を叩いたり、楽しく飲み歩いた。


 そして帰りの電車ではお互い心地よい眠りについてウトウトしてしまう。

『〇〇駅、〇〇駅』

列車のアナウンスがなりハッと気づいて。

急いで電車を降りる。

・・・ 携帯、ある。 財布、ある。 お土産、ある よかった今回は何も忘れてない ・・・


 清盛と桃花に散々言われていたのでホッとする私。

「さ、行くわよ。きよ、も、り?」

ピーーーーーー

まさかと思い私が振り返ると同時に列車の警笛が鳴りドアが閉まる、

しまったドアの向こう側では清盛が気持ちよさそうに眠っている姿がどんどん横に進み見えなくなった。


 出かける前の清盛の言葉と高笑いを思い出す。

 

「今年は何を忘れるんだろうな。携帯か?財布か?やっぱ桃花のいうようにお土産か?」


  

 今回は弟を忘れたのだった…

 


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