表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/43

8話 防具を揃える

オークション会場でもう少し暇を潰せたらグランの防具屋に直に防具を取りに行けたのだが........黒時計で時刻を確認すると、まだ14時半くらいだった。


(夕方以降ってことは16時以降ですよね........あと1時間半どうするかなぁ)


そんなことを考えながらフィルは歩いていると、尾行されてることに気がつく。


オークション会場に来る前は尾行はされていなかったことを考えると、オークション会場を出てから尾行されてる事になる。


(闇夜のローブ狙いですかね........? ずっと尾行されるとうざいし暇つぶしには丁度いいですね)


フィルは敢えて誰もいない路地裏に入っていく。


すると、


「失礼します、闇夜のローブを落札した少年とお見受けします。率直に申しますと、闇夜のローブを譲っていただけないでしょうか?」


初老の執事っぽい男だった。丁寧な言い回しだが、「いいえ」とは言わせない殺気をこちらに放ちながら言っている辺り脅しているつもりなのだろう。


「嫌です」


フィルは淡々と答える。


「........主の命令では殺しても構わないと言われてますが?」


「........別にこっちもあなたを殺しても構わないんですよ」


そう言うとフィルは魔装を発動する。


「!?」


(あ、本当に魔装が黒くなっている........)


フィルは一瞬で執事の後ろに回ると首に緋月を軽くあてる。


「動いたり叫んだり抵抗したら殺します、嘘をつけば勿論殺します、分かったら振り向かずに頷いてください」


執事は少年とは思えぬ殺気に冷や汗をかきながら頷く。


「あなたの主は誰ですか?」


「........主の事は話せません。」


(あ、嘘はついてないけど質問にも答えてない。どうしますかね........)


フィルは「とりあえず」と言いながら執事の右腕を緋月で切り落とす。


「ぐあっ!」


「質問を変えます。魔封じの札と世界樹の雫ってアイテムがオークションでありましたが、あれの相場の金額を知ってたら教えてください」


「? 魔封じの札は1枚で大体銀貨25枚ってところです。しかし10枚纏めて売ってる店は中々無いでしょう。世界樹の雫は大体金貨20枚ですね。重症でも治せるアイテムです。状況によってはもっと高く売れるスペックがある為持っておいて損はないアイテムですね。持ってれば自分がいざと言う時に使用できます」


執事はなんでそんなことを聞くのか疑問に思うのだった。


(ふむふむ、魔封じの札は意外と安いけど纏めて手に入れる事が難しい。世界樹の雫は金貨20枚ですか........)


「聞きたいことはもうありません。あなたの魂は何色ですかね........?」


フィルはそう言うと緋月で執事の男の首を切り蒼炎で灰にする。


執事の魂は黒かった........。


(残念........外れですね........)


それでもフィルは気になっていたことが分かり、闇夜のローブの性能も少しだが実験出来て満足していた。


初老の執事はオマール商会に雇われている専属の殺し屋であり、闇夜のローブを落札したのが少年ということで、殺して奪おうとしたのである。

しかし、まさかその少年がイオニア国で最も有名な抹殺部隊の者とは思わなかったのだった。




夕方までまだ時間があった為、フィルは薬屋に向かった。


「いらっしゃい」


おばあさんが笑顔で迎えてくれた。初めて個人経営の店ですぐに客として対応して貰えた。


「小さいガラスの容器と、それが割れないようにソフトケースが欲しいのですが」


「おや、薬屋で薬を買わずに容器やケースだけとは珍しいお客様ねぇ」


ひひひと笑いながらおばあさんは店の奥に行き、まさに欲しいサイズのガラスの容器と、高級感のある小さい筆箱サイズのソフトケースを持ってきてくれた。


「このガラスとケースは高級な薬を入れるものだから少し値が張るんだけど大丈夫かい?ケースとガラスの容器で銀貨4枚だよ」


フィルが欲したこの容器とケースは世界樹の雫を入れる為のガラスの容器と、割れないようにするソフトケースだ。

確かにポーションを買ったわけでもないのに、容器やケースに銀貨4枚は高いが、、用途を考えると必要経費だろう。


「その金額で大丈夫です、また来ますね」


「あいよ、またおいで」


そう言うとひひひと笑うおばあさんだった。


(笑い方は不気味だけど気さくな雰囲気の優しいおばあさんですね........こういう方が綺麗な魂をしてるんですかね........?)


そうやって世界樹の雫の為の容器とケースを購入すると夕方近い時間になっていた為、グランの防具屋に向かった。




「おう、来たか! 調整終わってるぜ!........って! お前着てるの闇夜のローブじゃねえか! どうやってこの短時間で手に入れやがった!?」


「オークションで落札しました。未開封の宝箱から出てきたんですよ」


「........はぁ?あの(ろく)でもない宝箱を落札したのかお前。しかしそっから闇夜のローブが出るとは........運がいいとしか言えないな」


「碌でもない宝箱?」


「あの宝箱は毎月オマール商会は出品してるんだが今まではまともなものはなんもなかったことで有名なんだぜ」


(なるほど、だから誰も落札しようとしなかったのですね.......)


「そうなんですね、確かに色々運が良かったようです」


そういうとワイバーンのレザーアーマーにレザーブーツ、グレイトスパイダーのマント、帯刀ベルトを受け取りサイズを確認する。


問題なかった。それどころか身体によく馴染む。

緋月も帯刀ベルトにより問題なく腰に掛けられた。


(グレンさんは腕が良いんでしょうね。この店とオークションのことを教えてくれた騎士に感謝です)


「ありがとうございます、身体に馴染みます。あと追加なのですが、レザーポーチってありますか? これらを入れたいのですが」


そして黒時計と世界樹の雫を入れるケースと貨幣袋を取り出した。


「それくらいのサイズならこれで充分だな、馬の皮のポーチだ」


長方形のベルトに固定するタイプの黒いポーチだった。


「お前さん暗めの色の方が好きだろ?」


(色の好みまで考えて選んでくれるんですね。たしかに今まで購入したのも、今着てるものも全体的に暗めの色ですね........)


「否定は出来そうにないですね........銀貨残り4枚なんですが買えますか?」


「こいつはそんな高くねぇよ、銀貨2枚で大丈夫だ」


「それは良かったです」


フィルはそう言うと代金を渡す。


「本当にありがとうございました。また来ますねグレンさん」


「おうよ! また来な!」


本当に良い買い物を出来たと満足するフィルであった。残金は銀貨2枚と銅貨80枚程となり、一日でほぼ金貨6枚を使ったのは散財したと言える結果である。




フィルは城に戻ると部屋に直帰する。フィルの部屋の扉のポストには紙が入っていた。

紙には制服の修復が終わった旨と、明日の任務の説明の為に、夜の内にアーシャの部屋に来るよう書いてある。


とりあえず今ある最高の装備をしてみる。防具や武器は装備しないと意味ないし、部屋に緋月や闇夜のローブは置いとくのは少し怖いし勿体ないと考えたからだ。


世界樹の雫も生成し、ガラスの容器に入れ、割れないようにソフトケースに入れる。


普通の長袖

長ズボンに革ベルト

レザーポーチ

ワイバーンのレザーアーマー

ワイバーンのレザーブーツ

闇夜のローブ

帯刀ベルト

緋月


という装備になった。レザーポーチには世界樹の雫と黒時計と貨幣袋が入っている。レザーポーチは中に仕切りが3つあり、中でケースと黒時計と貨幣がぶつからないようになっていた。


ワイバーンのレザーアーマーはチョッキのような形な為、その上にローブを着ても気にならなかった。レザーアーマーは戦闘で傷つき安い肩や胴体を守れる面積はある為十分である。



そしてそのままアーシャの部屋に向かう。部屋の鍵も今まではポケットか貨幣袋に入れてたが、レザーポーチにしまい安心出来た。


アーシャの部屋につくフィルはとノックをする。


「あらフィル。随分様変わりしたわね........って、それ闇夜のローブ!?」


「はい、今日1日でオークションや防具屋で色々買えましたので」


「私もオークション行ってみたいんだけど任務で中々行けないのよ........あ、はい、修復された制服よ」


「ありがとうございます」


「じゃあ、続いて明日の任務の話。明日の対象はも盗賊団よ。メンバーは私とフィル。せっかく装備を整えたところ悪いんだけど、襲われたいから明日は商人を装って武装は無し。OK?」


買った防具の活躍は少し先になりそうだった........。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ