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7話 オークション

フィルはオマール商会のオークションの時間まで屋台で羊肉の串焼きやホットドッグ、サンドイッチを買って食べる。

自分のお金で自分の好きなだけ食べれるのはフィルにとって気分が良かった。


王都レライアの城下町はたくさんの屋台で賑わい、広場の噴水近くで人が集まり食事をしている。中には大道芸をする者もいて、活気に溢れていた。


こっから見える城の地下では死にものぐるいで訓練をしてる子供達がいる。頑張っても強くなれない訓練生が実際に死んでいる者もいると思うと天国と地獄のようにフィルには思えた。


無論フィルにとっては強くなれる訓練に加え、戦闘に関わる知識を授かる有難い環境であり、地獄とは思ってはいなかったのだが。


そうこうしているうちにオークションの時間が近くなっていた為、オマール商会のオークション会場へと向かう。



会場につくと色んな人が居た。貴族、貴族の使いと思われる執事、商人、冒険者、ただの見物客等様々だ。


「レディースエーーンドジェントルメーーーン!」


スーツに仮面を被った怪しい司会進行らしき者が言う。声をそれ程張り上げてないにも関わらずその声は辺り一体に響く。拡声の魔道具を使っているようだった。


「よくぞお集まり頂きました! 今月の商品はちょっとすごいですよ! 是非ともその目で見て! 感じて! 購入してって下さい!」


拍手喝采が生まれる。


「今日の商品は〜〜〜ぁぁぁ! ........コイツらだ!」


そう司会進行が言うとリストが貼り出される。


☆ドラゴンキラー

☆マジックテント

☆魔封じの札✕10

☆ブルーバードの卵

☆ダンジョン産の未開封の宝箱

☆マジックシールド

☆身代わり人形

☆世界樹の雫

☆コンタクト水晶✕2

☆シルバーキャットの子供

☆マジックポーチ



貼り出された瞬間ざわめきが生まれ、先程よりも凄い拍手喝采が鳴る。驚きの声や興奮する人達の声が聞こえてきた。


それもそうだろう、最後のオークションの品がマジックポーチである。マジックポーチはダンジョンでしか見つからない超貴重品だ。


ポーチに見た目以上のたくさんの物が入る為、マジックポーチがあれば物資の運搬も楽になる。


しかし、、フィルも欲しいが手持ちがまず足りないだろう。金貨4枚と銀貨59枚程ではまず購入出来る気がしない。


だがそれ以外の品も凄く良い物に思えた。

そう思ったフィルはカタログを銅貨5枚で買った。

順に見ていこう。




・ドラゴンキラー。ドラゴンに対して強力な魔武器のようだ。ドラゴン以外に対しても強力な武器らしいがフィルには緋月がある為不要だ。



・マジックテント。普通のテントではなく、入ると適度な温度管理がされたそれなりに広い部屋が広がっている。キッチンもあり野営には持ってこいのアイテムだ。


(テント自体持ち運べないかな、マジックバックとか手に入ってからなら欲しいかも)



・魔封じの札。貼った相手の魔力を封じる事が出来る。敵を縛り上げたあとにこの札を使い生け捕りに出来たりする。身動きを封じる術を得意とする者は戦闘中にもこの札を使える。


(これは欲しい。戦闘でも使えそうですし、捕縛しないと行けない時とかに役立ちそうです)



・ブルーバードの卵。孵化した際に上手く行けば従魔に出来る。ブルーバードは危険な魔物が生息する森によくいる為入手が困難。

幸せを呼ぶ鳥とされている為、贈り物としても喜ばれる。


(動物は飼う気はない為これは不要だ。でも美味しかったりするのかな........?)



・ダンジョン産の未開封の宝箱。宝箱はそれこそ当たりがピンキリらしい。しかし当たればそれこそマジックポーチ以上の品が入ってる可能性もある。


(面白そうですね)



・マジックシールド。魔術等の攻撃を跳ね返す盾。

普通の物理攻撃にも十分な防御力を誇る。

鋼や鉄の盾よりは軽い。


(便利だが盾はあまり性格に合わない........というより魔装を発動しないと緋月ですら充分重いから、盾まで持ってられないですね)



・身代わり人形。保持者の生命の危険が及ぶ被害を受けた時、代わりに人形がダメージを引き受けてくれる人形だ。


(こんな物があるんですか........殺したと思ったらこれで生きてる可能性もあるんですね......)



・世界樹の雫。使用すると重傷でも治す神秘の雫。体力や魔力も回復する。ガラスの容器とソフトケース付き。


(あ、ガラスの容器とソフトケースが欲しいですね。薬屋とかいけばあるでしょうか? 世界樹の雫はそもそもいくらで売れるんでしょう?)


買う気はないが興味深々なフィルだった。



・コンタクト水晶×2。この水晶を持った相手とどんなに離れていても顔を見て会話をすることが出来る。

ソフトケース付き。


(これはレイ隊長が任務で使っていたものでしょう。遠い人と連絡が出来るのは便利ですが、連絡を取りたい相手がいないかな........)



・シルバーキャットの子供。珍しいモンスターの子供。愛玩動物として人気。


(ブルーバードと同じ理由で却下ですね、可愛いけど)



・マジックポーチ。このマジックポーチは時間停止の機能はないが、普通の一軒家分は入る。


(やっぱり便利すぎる........)





「皆様欲しい物の狙いは定められましたでしょうかー!? それではオークションを開催致します! ではドラゴンキラーからです! スタートは金貨1枚からです!」


........ドラゴンキラーは金貨3枚で落札された。

買い手は喜んでいる。

(相場より安く落札出来たんですかね?)



「では続きまして! マジックテントです! こちらはスタートは金貨2枚からです!」


「金貨2枚!」「金貨2枚と銀貨20!」「金貨2枚と銀貨50枚!」


どんどん上がっていく。

(どうするかなぁ。試しにやってみようかな........)


「金貨3枚」フィルが言う。


「はぁ、あんなガキが金貨3枚だと!?」とか

「本当に払えるのか?」とかとか野次が生まれる。


「おーっとー!? そこの少年が金貨3枚だー! これより上を払う者はいないのかー!?」


「金貨3枚と銀貨50!」「金貨3枚と銀貨80!」


........結局その後も金額は上がっていきマジックテントは金貨20枚で落札された。例え全財産だしても落とせなかった為仕方ない結果である。



「続いて魔封じの札です! こちらはスタートは銀貨50枚からです!」


(スタートが安い........案外そこまで貴重な物ではないんですかね?魔封じの札があれば色々面白い戦闘が出来そうですけど........よくよく考えたら相場が分からないのに手を出すのは危険ですね)


魔封じの札は金貨2枚と銀貨10枚で落札された。


(うーん、高いのか安いのかよく分からない)



ブルーバードの卵は金貨25枚だった。


(え、高い........。もしかして素材として高いのかな?)



そして........


「続きましてはダンジョン産の未開封の宝箱! 何が入っているかは開けてのお楽しみ! スタートは金貨1枚から!」


......................。


(何故か誰も手を挙げない........でももうこれくらいしか手に入りそうなのないですし......)


「金貨4枚と銀貨50枚」


フィルは手を挙げ沈黙を破った。


「おっとー! また少年が手を挙げたー! しかもいきなり金貨4枚と銀貨50枚!? これ以上出す者はいるのかぁ!?」


.............................


「いないようだー! 宝箱は少年が落札ー!」


フィルはオマール商会の者に間違いなく金貨4枚と銀貨50枚を渡すと宝箱を受け取る。今の手元には銀貨9枚程だけだ。

しかしフィルは食事は城に行けば出るし、依頼をこなせばまたお金なら入るだろうから問題なかった。最悪銀貨9枚あればフィルは充分しばらく暮らしていける。元々お金は今まで使う機会はなかった。


そしてフィルが宝箱を開けてみると........


(黒いローブ? これは?)


「な!?」


それを見たオマール商会の人間が驚いた。


「闇夜のローブじゃないか!」


司会の男が思わず叫ぶ。その声は拡声の魔道具のせいで凄く響いた。


「はぁ!!??」


一瞬遅れて、会場にいる人間が驚く。


(闇夜のローブ?誰か説明して欲しい........)


「これは凄い物なんですか?」フィルは司会進行に尋ねる。


「闇夜のローブを引き当てるとは少年は運が良いな!

闇夜のローブは魔力を込めると防御力が上がる!

誰が闇夜のローブを着て魔装を発動しても黒い魔力に覆われる為、夜に使うと闇に同化する!

そしてこれが凄い! 着ている間は自身の魔力の属性を持った上で闇属性の力を1つ使えるようになる秘宝だ!」


(そりゃ凄いですね........)


「普通に買うといくらくらいするんです?」


「金貨500枚以上はするだろうな! マジックバック以上の希少なアーティファクトだからな!

大外れかもしれない宝箱に金貨4枚と銀貨50枚を出した勇者に拍手を!」


そう司会進行が言うと拍手喝采が響く。


(恥ずかしいので辞めてください........)


フィルはとりあえず闇夜のローブを羽織ると、他の品の値段も気になったが、さっさとこの場から退散したい気持ちが勝り、フィルは会場を後にするのであった。


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