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化身が生まれた日
そこからの毎日は、怒りが支配する毎日。明弘が何かをすれば、父が殴っては叱りつける毎日。「お前なんかいらなかったんだよ!そんなワガママな奴は」人並みを求めれば殴っては押さえつけられる。明弘の中にもう一人の明弘が出来た瞬間だった「明弘の化身」が生まれた瞬間だった。正義のヒーローなんていないし、生きるために必死に父の言いつけを守り、母の言いつけも守り、兄の言いつけだって守り、父が疲れてれば話しかけないし、殴られたら「疲れてたのに、父の怒りに触れる行動をした俺が悪い」と化身に言い聞かせ落ち着かせる。そんな毎日、心の拠り所は、テレビだった、芸能人が明るく振る舞うバライティーは大好きだった。でも、親が帰るときにはニュースに変えた。怒られるぞともう一人の僕が教えてくれるから。そんな頃には中学生になっていた。