嵐が家に上がる
休み明けの月曜日の今日、いつもより少し遅れて登校した僕が教室に入ると案の定、教室には多くの人がいたので、机の中に入れるのが目撃されるとあとあと面倒なので諦めて下駄箱の中に入れることにした。
運よく、その日は彼女に絡まれることなく、その日を終えた僕は最寄りのスーパーで買い物をしていると、身に覚えのある人が目に入った。
雨宮さんだ。
僕は咄嗟に身を隠そうとしたが、雨宮さんの母であろう人物が「あれ、雫の同じ制服の子がいるわよー。」と言った。
雨宮さんは普段とは違うテンションで「あれぇ、日向くんじゃん。」と、こちらに歩みを寄せてきた。
雨宮さんが僕のことを手招きしてきたので、観念してゆっくり近づくと、僕より明らかに速いスピードで距離を詰め、耳打ちをしてきた。
「月、今日ノートを大事そうに抱えてホームルームが終わるなり、さっさと帰っていったよ?あれ、交換ノートなんでしょ?」
僕は彼女のことを心の中で他の人よりは信用していたのだろう。
いくら、親友の雨宮さんとはいえ、ノートのことを話すとは思ってもなかった。
それも半分脅しで始められたものなのに。
雨宮さんはそんな僕の顔を見て、クスクスと笑っている。
「一応、月のために言っておくけど、本人からは何も聞いてないからね?もちろんノートのことに限らず、日向くんのことは何も聞いてないし、教えてもくれないよ。ただ、ノートのことは私の直感。日向くんには悪いけれどカマかけてみたら明らかに表情変えちゃうんだもの。笑」
元来、人のことを信用していな僕だが、雨宮さんなら、それくらいのことやってのけてしまいそうだし、僕も彼女もおそらく雨宮さんにとって読みやすい性格なんだろうと思った。
そんな人の心を読む力を僕にも力を僕にも分けて欲しいとも思った。そしたら僕は今以上に目立たず穏便に暮らせることだろう。
「月は時折騒がしくて面倒なところもあるだろうけど仲良くしてあげてね?太陽くんと話すようになってから一段と楽しそうだから!」
騒がしいのはいつもだし、基本的に面倒だと思ったけれど、それを親友の彼女に言うのはどうかと思ったので心の中に留める。
雨宮さんは僕の返答を待たずして、その場を去っていった。
自分の家のアパートにつき、2階へ上がると、玄関の前には交換ノートの相手である彼女の姿があった。
「どうしたの、家の鍵でも忘れた?忘れても僕の家に来るのは良くないよ。」
僕は冗談ののりでそう言うと彼女は鋭い目つきでこちらを睨む。
なぜだかはわからないけれどどうやら彼女の地雷を踏んでしまったのだろうか。そう思った。
「サイテー!!」
その睨んだ目つきを変わらず僕に向けたまま、怒号をあげてきた。
同じアパートにの人に変な誤解をされてしまうと思ったので、恐る恐る彼女に家に上がるように合図すると、意外にもすんなりその指示に応じた。