頼りにされることとパシリの瀬戸際
「とりあえず入ったら?」
ベランダの窓を開け、小学生に問うと『しまった!バレてしまった!』という顔を全員がとったが小学生とは純粋なもので本当にバレてないと思ったんだろう。別にとって食うわけでもないのに、今から何をされるんだろうと言わんばかりの顔で怯えながら周りをキョロキョロと見渡している。
「別に怒ったりしてるわけじゃないんだから楽にしてていいよ?君たちのおかげで僕たちは仲直りできたんだ。ありがとね。」
僕が優しく小学生にお礼を言うと全員の表情がぱぁーっと明るくなった。こんな僕だけれど好かれるかは別の話だけれど子供と遊ぶのが好きだったりする。
「太陽くん。ま、さ、か。」
「なに。」
「ロリコン?」
言い方でこんなに変わってしまうものだ。ロリコンと子供好きは似ているが全くもって違う。
「そんなこと言ったらロリコンになっちゃうと思うけど。」
「私も子供好きだけど、ロリコンじゃないよ!」
「なら僕も違うよ。」
「ねぇねぇお姉ちゃんロリコンってなぁーに?」
「うんうん。純粋無垢な君たちは知らなくていいことなのよ。」
「じゃあママに聞くねぇ!」
ただ単純に興味本位でそう言ってるのか、それとも母親に聞いちゃいけないことだとわかっていて、僕らが制止するのを待っているのか。子供の考えていることは大人以上にわからないものだ。
「コラコラ。ダメだよ。そんなこと聞いたらあのお兄ちゃんが君たちのこと食べちゃうんだよ?」
彼女の嘘100%の発言を間に受けて子供たちは一気に青ざめていった。
「嘘をつかないでよ。」
僕がソッと耳打ちをするけれど虚言を吐きまくる彼女は止まらない。
「でも、このお兄ちゃんは優しいからね、ロリコンと2度と口にしないなら食べたりしないらしいよ?約束できる?」
そう言うと子供たちは決心したようにコクリと頷いた。
そのあとは子供6人と彼女で指切りをし、団結力を高めていた。
「なんか食べる?」
僕がそう言うと子供たちは一斉にわいわいと騒ぎ出した。本当に僕のことを怖がってるのかを疑うくらいに。
「かき氷!!」
「わたあめ!!」
「アイス!!」
「チョコレート!」
「ドーナッツ!!」
「プリン!!!」
「クッキー!!」
小学生6人に対して、かき氷、わたあめ、アイス、チョコレート、ドーナッツ、プリン、クッキーと7つの意見が聞こえた。
「もう1回言ってくれる?」
「かき氷!」
「わたあめ!」
「アイス!」
「チョコレート!」
「ドーナッツ!」
「プリン!」
「クッキー!」
「君なにどさくさに紛れて贅沢言ってるの。」
「え!だってクッキー食べたいもん!私だって贅沢したぁーい!」
僕は確信した。人それぞれ子供を好きになる理由や子供に好かれる理由はあるだろう。その理由を見つけることは難しい。でも彼女が子供を好きな理由は自分と精神年齢が同じくらいだからで、好かれる理由も同じだと。
「じゃ、太陽くんよろしくね?」
「は?」
「だからおつかいよろしくね?笑」
暴君になりきった彼女は僕に全ての要望のおやつを買わせに行くつもりらしい。
「自宅警備は任せなサァーイ!ほらみんなもお願いしますしないと!」
「お願いしまーす!!」
何度も言うけれど僕は押されたら負けてしまうたちだ。
渋々おつかいをしに行くことを認めた。




