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太陽と月  作者: 高槻博
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人の本質とは

「あんたも今ここにいるってことは早退してきたの?」


「練習もあるし、ちょっと家に用事があるって無理言って昼休み抜け出してきただけだわ。」


「そう。じゃああんたは先学校帰ってていいよ。」


「お前は?」


「もう1匹の手のかかるうじ虫を回収しに行かないと。」


「あーまぁ夜科のことだしそのうちケロっとして顔出すんじゃねぇの?」


「思いたったが吉日。でしょ?」


「まぁな。その辺は任せるわ。日向がいればなんとかなんだろ。」


当たり前のようにトントンと会話を進めていったけれどあれからどうなったかすらもわからない僕は黙って聞くことしかできなかった。そして八雲くんはそう言えると僕の家を後にした。1度謝罪はしたものの、もう1度後でちゃんと謝らなきゃいけないと思った。


「よし。じゃあ日向くんはとりあえず着替えて!」


「僕はとりあえずどうすればいいの。」


「だから着替えて!」


「あ、うん。」


僕のこの時のどうすればというのはその先の話だったけれど別に後から聞けば良い話なので言われた通り着替えた。今日登校するきのなかった僕は私服に着替えた。


「よし。じゃあどこから回ろうか。」


「え?」


「ん?どこから回ろう?」


「言われるがままに着替えといてあれなんだけど、あれからどうなったのかも、今どうなってるのかもさっぱりなんだけど。」


「あはは笑、それもそうだね。」


かなり深刻な状況を予想していた僕だけれど思ったことのほどでもなく、簡単にいうとわざわざ目立った行動をとってしまったから僕が怒っていると思ったから、謝ろうと思っていたけれど僕が帰ってしまったもんだから怒ってるを通り越して嫌われたと思ってしまったとのことだった。究極的に言えば僕が彼女に君のことを嫌ってないよと伝えるだけで万事解決というわけだ。雨宮さんから事の経緯を聞いてやっと先ほどの八雲くんの発言の意味がわかった。


「それで月は今日学校を休んでて連絡がついておりません。ということでどうしましょうか?ってお話です!」


「とりあえず彼女の家に行ってみようか?」


「うん。それも私が1番だと思う。」


とりあえず彼女の家に向かうことになったのだけれど正直足取りが重い。自分が思ってることを言葉という形にして出すことが難しいと知っているので何といえばいいかわからないし、何より会わす顔がない。僕からしてみたら雨宮さんとも八雲くんとも普通に話せていること自体奇跡であると思っている。だからと言ってなあなあにするつもりない。


「大丈夫。月は怒ってないよ。月に会いに行くのが怖いなら私が引っ張ってあげるし、話すのが難しいなら私が間に入ってあげるし、逃げ出そうとしたら縛り上げてでも止めてあげる。」


「縛られるのはごめんだね。逃げないように善処するよ」


「そ、よろしい。」


「ありがとう。」


「ん?なにが?笑」


「いや、支えてもらってばかりだなと。」


「どういたしまして。まぁ日向くん風に言うならば私も損得勘定に従ってるだけだよ笑。月は親友だからね、いつまでも落ち込まれてても迷惑だしさ。なにより日向くんと月が仲良く話してるのをみていたいんだよ私は。だからそこまでかしこまる必要なしでーす。」


「ありがとう。雨宮さん。」


「だからかしこまらなくていいって!!笑」


「言葉にしないとわからない、そう教えてくれたのは雨宮さんでしょ?僕は思ってることを伝えただけだよ。」


「わぁ!!惚れちゃうドキンときたー。爆笑爆笑」


冗談交じりに言う雨宮さんをみて足についた鉛がとれたようにも感じた。


「雨宮さんにはもっと素敵な人がお似合いだよ。」


「そんな褒めておだててもなにもでてこないよ?笑」


「思ったことが褒め言葉なだけだよ。」


そうして私服の僕とジャージの雨宮さんは僕の家を後にした。

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