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太陽と月  作者: 高槻博
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僕の心の中の罪悪感は破裂しそう

初めて仮病を使った次の日の今日の学校も同じく仮病で欠席した。昨日は雪ちゃんと図書室で日が沈む頃まで勉強し、家の近くまで送っていった。今日僕と会ったことは彼女にも雨宮さんにも言わないでほしいというと雪ちゃんに言うと快諾してくれた。


家に帰ると玄関には練習終わりであろう泥だらけのユニフォームを着た、八雲くんの姿があった。僕は学校でのこともあり、逃げるようにその場から去っていった。それから何のあてもなく、そこらをフラフラしていると11時を回ろうとしていたので流石にもう居ないだろうと自宅アパートに帰ると先ほどと変わらぬ姿で玄関の家に立っていた。その時点で次の日も学校を休むことを決めていた僕は別に急いで帰ることもないかと思い、再び自分の家を後にした。日もまたいだ頃、3度目の正直で自宅を訪れると流石に八雲くんの姿はなかった。きっとあの時逃げてそのまま早退した僕を心配してきてくれたんだろう。練習終わりで疲れているにも関わらず夜分遅くまで僕を待ち続けていた彼に次会うときはどんな顔をすればいいのかと苦悩した。ましてや居るのを知っていて逃げましたなんて言ったら流石の彼でも僕を呆れ、蔑むだろううとも思った。


昨日とは打って変わって雲1つない快晴の今日はクラスのみんなで練習しているんだろうと思った。そう思うと不思議と罪悪感が生まれてきた。それでも行きたくないんだから仕方ない、僕が居ても居なくても変わらない、仮病は今日まで明日からはちゃんと行く、と自分の心に言い聞かせ少しでも罪悪感を打ち消そうとした。


昨夜何のあてもなく、フラフラしている際、珍しく雨宮さんからLINEが来ていたが僕はその時学校のことを考えたくないと思っていたので、スマホの電源を落とした。そのことを今思い出した僕は何気ない気持ちでスマホに電源を入れた。ある程度起動すると電源を切っていた間の全アプリの通知がなり始めた。僕はその通知の数を詳しくはLINEの通知の数を見て顔の血の気が一気に引いていった。普段は恩田くんなんかにとてつもない視線を向けるなど怖い一面を持っているが、何も害を与えてこない人なんかには、これ以上ないくらい優しい雨宮さんがLINEの文を見るだけで明らかに怒っているのがわかった。僕が電源を落とした頃に来ていた通知は【どうして何も言わないで帰っちゃったの?】とか【月が荒れてて大変だったんだよ!】とかそんな感じだった。だけどメッセージを送るにつれ、言葉遣いは目に見えるほど荒くなっていた。だけどその文の内容や送信されてきた時間を見ると怒っているのではなく心配をしてくれていることがすぐにわかった。そのことがわかり、一瞬ホッとしたけれど1時間に1度は夜も朝も昼の今も送られてきていて、雨宮さんが全然寝ていないことがわかってしまい、最初より血の気が引いていった。恐る恐る返信すると瞬く間に既読がつき、【今家だよね。大人しくそこにいろ。】と脅迫まがいのメッセージが送られてきた。それからそこまで時間のしないうちに僕の家のインターホンが1度鳴った。そのインターホンの音は他の人が聞けばいつもと変わらない音に聞こえるだろうけど、僕にとってはいつもより何音も低く暗い音に聞こえた。

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