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太陽と月  作者: 高槻博
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僕の謎のイラつきとみんなの行方

その授業の鐘と同時に僕は席を立ち、彼女らを探しに出た。彼女らが教室を出た後は中心メンバーのみが普段通りのテンションで他のクラスメイトは多数決を取る前よりも暗い雰囲気を纏い、ただ黙って座っていた。この静寂は中心メンバーへの怒りだったり、彼女の発言により罪悪感が生まれたものだと思った。けれどクラスメイトらには何の罪もない。僕がただの傍観者で他のクラスメイトと同じ立場に立たされたら間違いなく賛成の方に手を挙げていただろう。何かを得るには何かを捨てなきゃいけない。このクラスメイトは中心メンバーに悪く思われないように自分らの意見を捨てたに過ぎない。


僕は教室から出ると足取りを早めた。足取りを早めた理由は僕の中であまりにも不安要素が多いからだ。

まず彼女。何を考えているかはさっぱりだけど今までとは何か違う怒りを感じた。言葉では言い表せないんだけど。

次に雨宮さん。雨宮さんは何も言葉を発する事なく姿を消したが、その目には彼女以上の怒りを感じた。

そして最後に八雲くん。彼の表情から何を考えているかを汲み取ることは出来なかったたけど、恩田くんらに反抗の意思があることは見て取れた。何が心配かって八雲くんは恩田くんらと仲が良かったということだ。八雲くんは八雲くんなりに恩田くんらが間違っていると思っているから自分の正しいと思うことをしているに過ぎないんだろうけど恩田くんらからしたら面白くないと思う人がほとんどであろう。何が嫌だってたかが体育祭、たかがフォークダンスで友人関係が壊れることだ。そんなことで壊れるなら本当の友達じゃないって言われたらそれまでなんだろうけど。


僕が足早に歩いていると後ろから僕を呼ぶ声がしたので足を止め1度振り返る。そこには見知らぬ男女がいた。僕は呼ばれたのも気のせいかと思い、再び足を動かそうとすると再度僕を呼ぶ声がした。今度は勘違いではないと思い、体の向きも180度逆転させた。


「あの、どうかしました?」


「いや、さっきは悪かったなと思って。」


見知らぬ男女の男の人の方がそういった。僕は誰かに迷惑をかけた覚えはあってもかけられた覚えはない。それも彼の口ぶりからするに記憶に新しいうちのことだろうと思った。僕のキョトンとした表情を見かねてか。今度は女の人の方が口を開いた。


「あ、私、さっき月が言ってた理沙です。こっちが後藤です。」


「あ、はい。」


自己紹介をされ、やっと2人の素性がわかった。まさかクラスメイトだとは思いもしなかった。


「あの、私たち2人反対の方に意見変えちゃいました。」


「は?」


心の中で浮かんだ僕の2人への謎めいた行動に対しての反応が咄嗟に言葉に出てしまった。


「ん?どうかした?」


理沙と名乗るクラスメイトは何食わぬ顔で僕に問いかけてきた。


「何でもないです。じゃあ僕急いでるので。」


僕はその2人の制止を無視して足早にその場を去っていった。だって意味がわからないじゃないか。あの2人がぺア解消の案を反対の方に乗り換えたからと言って何かが変わるわけじゃない。確かに反対の票数は6票になったかもしれない。それでも賛成の意見が34票ということが覆ることはない。それならなぜあの2人は今になって意見を変えた?彼女がいうに2人は元々一緒に踊る予定だったんだろう。それでも恩田くんらの圧により、自分らの立場のためにペア解消案に賛成した。もし仮にあの2人が意見を反対にすることによって票数が逆転するというなら話は別だ。だけどそんなわけではない。僕が同じ立場に立ったときどうするだろうか?いや考えるまでもなかい。僕が意見を変えることはないだろう。だって僕からしたらあの2人の行動は無駄でしかない。何の意味も持たない行動にしか過ぎない。だって2人は意見を変えたことによって裏切り者扱いされていてもおかしくない。無駄というより不利益しか生んでいない。僕は彼女や雨宮さん、八雲くんを探すという本来の目的を忘れ、ただ無我夢中になって足早に歩いていた。するとまたしても僕を呼ぶ声がした。その声によって僕は我に返った。


「どうした日向、顔色悪いぞ・大丈夫か。」


そこにはどこから現れたかわからないが八雲くんの姿があった。

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