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太陽と月  作者: 高槻博
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ただ1人行動力のない僕

違和感の感じる静かさを感じていた僕の予感は悲しくも的中してしまった。朝礼が終わり、1時間目は本来グラウンドで体育祭のクラス練習の時間ではあったが、あいにくの雨模様なので教室での話し合い等になった。競技の振り分けも終わっており、話し合うことといったらクラス全員で行われるリレーの順番決めくらいだ。僕は彼女や雨宮さん、八雲くんと休み時間、1時間目はそれで決まりかななんて話をしていたけれど題材に挙げられたのは別物だった。


題材は最後に行われるフォークダンスについてだった。

僕は彼女の誘いもあり、ペアーが決まっていたけれど、決まっているペアー全てを解消し、クジで決め直すというものだった。実行委員である恩田くんがその案をあげ、多数決で決まることになった。多数決の結果は僕の予想だにしない結果となった。狙いは恩田くんが僕と彼女をペアーにさせないためであることは分かっていたけれど、ペアー解消反対に手を挙げた人数はまさかの4人だ。しかもその4人は僕、彼女、雨宮さん、八雲くんだ。多数決をとる前から仕組まれていることは容易にわかった。けれど彼女はこれに猛反対する。


「この人数はおかしいでしょ!」


けれど恩田くんは何食わぬ顔で彼女の意見を否定する。


「おかしくないよ。これが結果でしょ?」


「おかしい!だって後藤くんと理沙ちゃんとか付き合ってて、2人で踊るって決まってたのに理由もなしに、賛成の方に手をあげるなんて変でしょ!」


「いかなる理由があろうと結果は賛成36票に変わりはないでしょ?」


彼女のいう後藤くんと理沙さんが誰だかは分からなかったけど、こうなってしまえば、普段登校の予鈴ギリギリにくる中心メンバーである彼らが僕らより早くきていた理由は早く登校して自分らの立場を利用してクラス全体に圧をかけていたとしか思えなくなってしまう。たかが体育祭、たかがフォークダンスにそこまでするかとは思ってしまうまたけれど、彼からしたらされぞ体育祭、されぞフォークダンスなのかもしれない。僕はそのやり取りを黙って見ていたけれど彼女は噴火寸前だ。きっと彼女は僕が話したことない人と踊ることになったりするのが可哀想だからこんなにも激怒してくれているんだろう。そう思った。


「ねぇ、もういいよ、ありがとう。」


僕は僕のために怒ってくれている彼女を制止した。


「は?なにが?太陽くんがよくても私がよくないから!」


もう僕には彼女の考えていることがさっぱりわからない。最近少しわかってきたかななんて思っていたけれど思い過ごしのようだ。


「もうやってられない!」


彼女は不貞腐れながら教室を後にした。それを黙って雨宮さんが追いかけていった。言葉にしてはいなかったけれど雨宮さんの恩田くんを見る目はとても鋭く怒りのこもった目だった。もう1人の反対者である八雲くんはと思い、視線を移す。八雲くんは周りのクラスメイトと大差ない表情のまま立ち上がり、その場を去っていった。そして僕はというと立ち上がる勇気も彼女を追いかける勇気も恩田くんに反論する勇気もなく、ただ彼女のいない席を見ながら座っていることしか出来なかった。彼女は恩田くんに激怒し、雨宮さんは彼女を思い追いかけ、八雲くんは自分の意見をしっかり持って教室から出ていった。僕は恩田くんの意見に不満を感じながら、自分に被害が及ぶことを恐れ、教室にいるという中途半端な行動をしている自分が恥ずかしくなった。

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