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太陽と月  作者: 高槻博
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超時空的ぶっ飛びが見て取れる彼女

口に食パンを加えながら登校という僕の中では都市伝説級の行いをしながら彼女は颯爽と現れた。


「あいおううん!おあおー!」


何を言っているかさっぱりわからなかった僕が口を開くことはなかった。


「ちょっと月女子なんだからそんなことしない。汚いよ。」


雨宮さんが注意をすると食パンを勢いよく食べきった。


「失礼な!ちゃんと顔は洗ってきたよ!」


「そういうことを言ってるんじゃなくて。」


彼女の発言を聞くなり、雨宮さんは呆れた表情に変わった。


「あ、太陽くんおはよ!今日3回目だね!」


「いや。1回目だけど。」


彼女の超時空的頭のぶっ飛び方には僕なんかじゃついていけない。


「いや、3回目!」


「1回目だよ。月落ち着きな。」


雨宮さんも彼女のぶっ飛び方にはついていけてないようだ。


「そんな諸君達に説明してあげましょう!私は今日朝起きて2度寝しました!その時なんの夢かは忘れたけど雫と太陽くんに夢の中で挨拶したことはたしかに覚えています!それが1回目です!」


「ちょっと俺だけこのメンバーでハブられてて泣きそうなんだけど。」


八雲くんは口をとんがらせながらそう言った。


「あ、山田くんおはよ!大丈夫。安心して。山田くんは1回目の挨拶だから!」


「だから山田って誰だよ!安心どころか俺だけ除け者にされてる気がして不安しかねーわ!」


八雲くんはそう言ってるけど、彼女がふざけ半分で名前を間違えてることを知っているだろうからそこまで悩むことではない。夢に登場しなかったことに関しては何も言えないのだけれど。なんなら僕と入れ替わって欲しいくらいだ。


「それでも日向くんへの挨拶は2回目でしょ?」


「ちっちっち甘いよ雫。」


彼女は人差し指を立て左右に振りながら舌の音を3回鳴らした。澄ました顔で雨宮さんを否定する彼女は面白くもあり、少々イラつきもした。


「さっき私は食パンを加えながら太陽くんおはよう!と言ったんだよ!」


「そんなのわかるか。」


彼女が得意げに2回目の挨拶のくだりを言い終えると光の速さで雨宮さんが罵倒した。これに関しては僕も激しく同意だ。挨拶されている僕でさえ、またおかしなこと言ってるよ。程度にしか思っていなかった。


「あのーさっきから完全に俺蚊帳の外じゃないですか〜?拗ねちゃいますよー?拗ねるかんなー?いいんだなぁー?」


「少し黙れハゲ。」


「はい。申し訳ないでございます。」


朝からテンションがやけに高い八雲くんは雨宮さんに1撃で瞬殺された。


そんな光景を見て僕は何か言ったりするわけではないけれど、入学当初からは考えられない光景に心が和んだ。雨が本降りになってきた頃には学校につき、なんとかびしょ濡れにならずに済んだ。教室に入ると結構な人数が集まっていたけれどクラスの中心メンバーがいなかったからか、雨の音だけしか耳に入らないほど静寂な空間に包まれていた。

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