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太陽と月  作者: 高槻博
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この会に名前をつけるなら

僕の家のインターホンが鳴り、彼は「きたきた。」そういって玄関に向かっていく姿を見るに来訪してきた人物を知っているということだ。嫌な予感しかしなかった僕だけれど勘だけで動いて吉と出た試しがないのでここは大人しく様子を見ることにした。僕は玄関まで行く気もしなかったのでリビングで座っていると玄関から日も暮れ、暗くなっていく空とは裏腹に活気の良い生き生きとした声が聞こえてきた。僕の家を知っているクラスメイトなんて彼女と雨宮さんくらいだ。この2人がきたことは見るまでもなくわかった。


ん?2人は僕の家を知っているけど坊主頭の八雲くんはなぜここがわかったのか、そういった疑問が浮かんできたけれど、どうせ雨宮さんあたりに聞いたんだろうと勝手に自己完結してしまった。


「やっほぉー!お邪魔してるよ〜!」


彼女のテンションの高さは日時を問わない、雨の日も晴れの日も朝も昼も夜もそれはそれは元気だ。それは彼女の長所でもあり、時には短所としても現れる。けれど僕は彼女のそういった部分にはかなり助けられていると言えるだろう。もちろんそんなこと言った日には調子にのるだろうから、言わないけれど。


「やっほー。お邪魔〜!」


雨宮さんは彼女と比べるとクールなイメージだが、なんだか今日はいつもよりひとまわりほどテンションが高いことが僕でも見て取れた。


2人も八雲くんと同じようにお菓子やら飲み物やらを持参していたので僕の知らないところでパーティーを開くという計画が立てられていたことを悟った。無断でパーティーを称した謎の会に参加させられることはおろか、無断で開催地とされるなんて思いもしなかったけれど。


「お邪魔されてます。」


僕が2人の挨拶に返答すると彼女はニコリと笑った。何故だか照れくささを覚えた僕は目をそらしたけれど、それが彼女の鼻についたようで、そのあと少しだけ機嫌が悪かった。


会も終えた頃、時刻は9時半を過ぎていた。


「もうそろそろおひらきにしよーぜ!俺明日朝練もあるし。」


昼間走って、夜はこんなパーティーもどきをして、次の日朝練なんて僕には身体的にできっこないし、精神的にやろうとも思わない。こういった違いを見ると体育会系の彼との違いを思い知らされる。


「雫家まで距離あるけど大丈夫か?」


「月の家に泊まるから大丈夫〜」


「夜科の家は近いの?」


「歩いて行ける距離だよ。」


「そっけー。気をつけて行けよー。」


「そっちもねー。」


「おう。日向は2人のこと送ってけよー。」


「そうそう頼んだよ!こんな美女ふたりが夜な夜な歩いてたら不審者も放っておかないからね!太陽くんはボディガードね!」


たった1つのありふれた冗談を言う彼女だけどそれだけとても楽しそうだ。


「いやー、でも逆に日向くんが不審者に遭遇しちゃうかもよー。」


雨宮さんは冗談まじりでそんなことを言ったけれどフラグを立てているようで少しボディガードをするのが怖くなった。そんな僕の心配は取り越し苦労に終わり、何事もなく、家に到着していた。放課後すぐシャワーを浴びようとしてから結構な時間が経つけれど結局身体中バキバキの僕はシャワーを浴びることなく、ソファーで就寝してしまった。

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