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太陽と月  作者: 高槻博
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リレーの結果はいかに!?

学校から帰り、家で休息を取っていると隣の住人からリコーダーの音が漏れてきた。それは体育祭や運動会のテーマソングとしてよく使われているもので懐かしくもなった。僕はしていないけれど他のクラスメイトは小学生の頃、テーマソングを替え歌にして歌っていたりしていた。何のひねりもない馬鹿げた歌だったので、当時は嫌悪していたが、今はそんなでもない。帰宅してから約2時間、シャワーに入ろうと何度か立ち上がろうとはしたが、筋肉痛のせいでなかなか立ち上がれずにいた。高校1年生がたかだが100メートル走でこんなになってしまうなんて我ながら情けない。


日中の暑さも嘘のようで日も沈みかけた今では少し肌寒いくらいだ。スズムシの音だけが僕の耳に鳴り響く。暑さを感じてる時に鳴かれたらおそらく苛立ちを覚えるだろうが、少し肌寒いくらいの今は何気に心地が良い。筋肉痛のせいで動き出せないのもあるが、スズムシの心地よい鳴き声のせいでもある。しかしそんな心地の良い時間はそう長くは続かないものであることを僕は思い知らされる。


インターホンの音が鳴ったので無理矢理重い体を持ち上げ玄関の覗き穴から来訪者が誰なのかを覗く。覗いた先には野球部の大きなエナメルバックを肩にかけた八雲くんの姿があった。思いがけない訪問ということもあり、条件反射のごとく扉を開けると彼もその勢いに驚いているようだった。


「びっくりした。勢いよくあけんなよ。」


「ごめん。でもびっくりしたのはこっちだよ。」


「いやー可哀想な日向を慰めてやろうっていう俺の配慮?優しい友達を持てて幸せものだな君は。」


冗談なのか本気なのかわからないが、彼のそんな戯言を華麗に受け流す。彼を優しいと思ってるとか思ってないとかの問題じゃなくて、ただただ反応に困ったからだ。


「おいコラ、シカトかよ、なんか恥ずいじゃねぇか!」


「あ、ごめん。それよりその手に持っている袋は何?」


彼の右手には透明なビニール袋に詰められたものが気になったは僕は素直に聞くことにした。


「ああ、これか。これはパーティーのための差し入れだよ。」


こんな学校終わりの平日にパーティーをやるなんてとんでもない体力の多さだ。若い者ならではと言われたらそれまでだけれど、同じ年の僕には到底できることではない。まずやろうという発想に至らない。


「大変なんだね。羽目を外しすぎないようにね。」


「なんで他人事なんだよ!まずは俺とお前で残念会だよ!」


「はい?誰と?」


「日向と。」


「どこで?」


「この家で。」


「いつ?」


「今日。今から。」


「どうして?」


「日向の傷を癒すため?」


「僕のメンタルはそこまでヤワじゃないから大丈夫だよ。」


「ていうのは大義名分で、」


「本音は?」


「なんとなく?」


「なおさら帰って。」


本音はもちろん論外だし、大義名分にしろ、僕に起こった出来事に関してはそこまで傷ついてはない。嫌じゃなかったと言ったら嘘になるだろうけど今さら悲しんでも仕方ないことだと割り切っていることだったから。




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