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太陽と月  作者: 高槻博
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放課後①

屋上で放課後図書室で会う約束を一方的にされた僕は5時間目の授業を受ける。

放課後彼女に呼ばれたことは昼休み同様気乗りはしなかったが、昼休みほど嫌ではないのが自分の中で大きな疑問として残った。


普段、人と関わることの少ない僕は人と関わると非常に疲れる。慣れないことをすると疲れるのが人の性と言うものだ。そんな理由を頭の中で考え、僕は初めて授業中に居眠りをした。


寝ていると時間と言うものは本当に一瞬に感じて、僕が起床した頃には授業が終わっていた。

長い時間寝てしまったと、慌てて6時間目の用意をしてると雨宮さんが声をかけてきた。


「おはようございます。日向様。お掃除の時間でございますよ。」


僕は頭の中に?マークが浮かぶ。


「そ、そうじ?」


「そうだよ、掃除だよ?寝ぼけてるの?月を呼ぼうか?」


「それは勘弁して。」


「なら早く掃除場所に向かいなさーい!」


寝起きの頭で考えるに、どうやら僕は5時間目だけでなく、6時間目も通しで寝ていたらしい。

普通休み時間になると友達やらが起こし起こしに来たりするものだが、言うまでもなく僕にそんなイベントあるわけない。僕はやや急ぎ足で掃除場所へと向かっていった。


掃除を終え、各々放課後というフリーの時間に入っていくと、僕は1人図書室に向かっていった。図書室に足を運ぶと彼女はすでに待ち構えていた。


僕は長々と話すつもりはなかったので用件を聞き出そうとすると、彼女は僕にグッと近づいてきた。


「成長しよう!!!!!」


「は?」


僕は普段使わない言葉遣いが咄嗟に出てきた。それほど彼女のいっていることは唐突でつかめなかった。


「だから、成長しようっていってるの!」


「なんで。」


彼女はそんなこともわからないのかという僕を見つめ、口を開く。


「昼休みも言ったけれど、私は太陽くんに楽しい生活を送って欲しいの!1人でも楽しいことはあると思うけど、1人じゃ限度あると思うし。それに大人になったら人間関係で苦労することになるかもしれないし!」


僕を思って発言してくれてるのは嬉しいけれど、正直ここまで来ると鬱陶しいし、ただのありがた迷惑だ。そう思ったけれど、それを伝えるのが得策でないことくらい僕でもわかった。


「意味不明だよ。」


「えーわかりやすく言ったつもりなんだけれど!もしや太陽くんおバカさん?」


「今の会話でそういう流れになる時点で君の方が絶対に劣ってるよ。」


「ということで、太陽くんは成長します!」


「共感できるところは少ないけれど、僕が楽しく過ごすために人間の輪を広げなきゃいけないという君の理屈も大人になって苦労するという君の理屈もわかった。それでも成長なんてすぐできるもんじゃないし、無理にしようとも思ってない。そのために面倒ごとが起きでもしたら厄介だしね。」


「君が成長する気になれば私は全力で力を貸すから、戦力2倍だよ!」


「空回りして割る2になる気しかしないよ。」


「じゃあ、ここで今日1番のお知らせを発表しよう!太陽くん成長にあたって生活の中心に私、夜科月がお伴します!」


「あ、うん。する気ないけどね。」


「え、うそ、反応流石に薄くない?」


「そんなことない。君の発表相応の反応だと思うよ。」


「しょぼーん。。。。。。」


僕は彼女の言っていることが理解できていたわけではなかったが、なぜだか面白くなってクスッと笑ってしまった。

そうすると彼女は只でさえ近い距離をさらにグッと近づけてきた。


「笑った!太陽くんが笑った!楽しいってこと?やったね!」


彼女は小学生のようにピョンピョン跳ねて喜びを体全体で表している。


「水を差すようだけど、楽しいんじゃなくて少し面白かっただけだよ。」


「一緒でしょ!」


「全然違うよ。それに僕はそんな成長計画を受けるつもないからね。」


彼女は「ムムム。」と言って気難しそうな顔をしていた。







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