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太陽と月  作者: 高槻博
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尊敬と憧れと愛情と心配

僕と雨宮さんと雪ちゃんが僕の自宅に到着し、玄関のドアを開けると彼女が待ち構えていた。


「もう雪ちゃんのバカ!!」


「ほんとごめん。」


彼女は雪ちゃんに抱きついて離れない。


「私も悪かったし許してあげる。」


「ありがとう。それよりお姉ちゃん近い離れて。」


雨宮さん宅を出るときは彼女に会いたくて仕方ない様子だった雪ちゃんもご対面するといつものツンデレモードに入ってしまったようで中々素直になれてないことが僕ですらわかった。


「ダーメ。離れたらまた雪いなくなっちゃうでしょ?家出少女のヤンキー娘なんだから笑」


彼女は雪ちゃんと対照的に直球勝負で感情を素直にぶつけているようだった。


「2人ともベタベタしてるのはいいけどここ人の家。あと別に言いたくないなら言わなくていいけど月と雪ちゃんはなんで喧嘩したの?」


そこは僕も気になっていたところだが、中々踏み込めずにいた。2人とも別に隠すつもりもないようなので、とりあえず僕の家に入り、彼女が説明しだした。


口下手な彼女は長々と説明をしたが、喧嘩の内容は雪ちゃんの受験のことに関してだそうだ。彼女は受験の際に私立を受けずに県立1本でこの高校に入ってきたようで雪ちゃんも県立1本で僕らと同じ高校を志望しようとしているらしい。もちろん受かる自信があり、県立を第1希望にするならば何の問題もないのだろうけど、物事に100パーセントはない。万が一落ちてしまったとき高校を探すのに苦労することになってしまう。彼女は雪ちゃんに県立1本で行くことの危険性を語り私立も受験するよう強く言ったらしい。雪ちゃんにしたらお姉ちゃんは県立1本なのに私はダメな意味がわからないと揉めてしまったようだ。喧嘩の訳を話し終えると彼女と雪ちゃんで受験のことを話し合いだした。


「話し合うのは構わないけどみんな帰らなくていいの?もう日暮れてるよ。」


もう家に連絡したと雨宮さん、親2人が旅行中だから大丈夫。喧嘩のことも内緒にしてほしいと彼女と雪ちゃん。事情が事情ということもあり話し合うことになったが、僕はここで話し合う必要はあるんだろうかとは疑問に思った。


話し合いは時間にして1時間ほど行われた。彼女は自分の経験の上で私立も受けられるなら受けた方がいいと強く語った。しかし雪ちゃんは県立1本で行くと頑なに意見を変えなかった。のちに僕と雨宮さんは雪ちゃんから意見を頑なに変えない理由として「いつか絶対にお姉ちゃんと違う道を歩むことになるけど今は大好きなお姉ちゃんの後を追っていたい。お姉ちゃんが県立1本で受けたらなら私もそうしたかった。」と聞いた。頑なに意見を変えない雪ちゃんに対して彼女が折れ、全面的に協力することになった。その流れで勉強のできる僕や雨宮さんが教えられるときは雪ちゃんに勉強を教えるという流れにもなった。面倒だとは少々思ったけど嫌ではなかった。


話し合いも終わり皆仲睦まじく帰って行き、先ほどまで喧嘩していたとは思えないほどだった。今回の喧嘩にどちらが悪いとかは一切なく、彼女は雪ちゃんを心配し、雪ちゃんは彼女のことを大好きだからこそ起きたもので僕から見たら起こるべくして起こるものだと思った。それと同時に妹思いの彼女のため、強い思いを持ち、姉思いの雪ちゃんのために微力ながら力を貸し、なんとしても合格させてあげたいと思った。

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