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太陽と月  作者: 高槻博
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観測史上最強の台風15号

夏休み最終日、外が明るくなってきた頃、強風の音で目が覚める。目覚めは最悪だったが2度寝出来る気が全くしなかったのでテレビをつける。この時間帯のテレビはニュースばかりだ。今日のニュースはどこのチャンネルも観測史上最強と呼び声の高い台風15号1色だ。まだ僕の居住区には台風が上陸していないにも関わらず雨風ともに酷く風でアパート本体が揺れている気さえした。そんなニュースを見ながらベットに置いてあるスマホを手に取ると何百件というLINEの通知で一杯だった。なんでこんなに荒れているのかと気になり、スマホを開くとクラスのグループでの会話が盛り上がっているようだった。クラスのグループが活動するなんてことは初めてなので、彼女に招待され参加していたことさえ忘れてしまっていた。どうせやることもないので暇を潰せればとトークの1番上に上がり、文章を読んでいく。今起きている人の中には僕と同じように雨風の音で起きてしまった人や昼夜逆転してしまっている人、宿題に追われている人が多いようだ。どんな理由で起きている人も皆、台風が明日だったら休校になるのにと意見を揃えていた。起きている人の中には彼女もいるようで時々トークに登場していた。そういえば誕生日の日の夜から彼女へ返信してないことを思い出し、僕は適当に言葉を選んで返信した。2度寝してしまっていることも考えたが、そんなことはなく返信もモノの数分できた。彼女は僕の返信には一切触れず、【太陽くんも起きてたんだね!おはよう!暇だし話そうよ!】と返信してきた。僕も少し暇を持て余していたので少しの間付き合うことにする。僕が承諾の返信をするとすぐさま着信がきた。


「もしもしおはよ!」


「おはよ。話すってLINEでか思ってたんだけど。」


「だって太陽くん返信遅いし、打つの遅いし話した方が早いじゃん!」


ぐうの音も出ない事実に僕は反論することなんてできやしない。


「それで君は宿題やらなくていいの?」


「宿題?そんなのとっくに終わってるよ!私は誕生日までに宿題終わらせるようにしてるの!今日は風の音で起きちゃった!」


「意外。」


「なにそれ失礼!元々だけど、最近は失礼さに輪がかかってきたね!」


「その発言の方が失礼だよ。」


「あはは笑、言えてる!」


それから30分ほど彼女と話した。特にこれといって内容の濃い話はしていないが、誕生日パーティーのことやスーパーで雪ちゃんと会ったことなどについて話した。彼女の家族も起床してきたということで電話を切った。時計を見るとまだ朝6時半ごろだったのでゴロゴロしようとベットにいると先ほどまでは雨風の音が気になっていたのに、うっかり2度寝してしまっていた。


2度寝から目覚めると時刻は朝9時だった。最初起床した時よりも雨風が強くなったいてニュースでも被害が相次いでいるので外出は危険なのでしないでくださいとのことだった。僕は数日前に買い物を済ましているので特に外に出る用事もなく朝食を食べた後に買ったばかりの小説を読んでいるといつの間にか時計は昼の3時を示しており、台風も僕の居住区に上陸していた。窓から外を眺めると今までに見たことのないような雨と人1人平気で吹き飛んでしまいそうな強風が吹いていた。


ピンポーン


僕の家の呼び鈴が鳴ったのでこんな台風どきに誰だと思いながら恐る恐る覗き穴を除くと彼女が立っていた。僕は慌てて扉を開けるとびしょびしょで明らかに様子のおかしい彼女の姿があった。僕が事情を聞く前に取り乱した表情で口を動かしだしたが要件を聞く前から只事ではないことが確信できた。

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