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太陽と月  作者: 高槻博
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真夏の暑い屋外と暖かい雰囲気の屋内

「ほら、なんかいうことないの?」


雨宮さんの言葉で我に返ったように彼女は開いた口を閉じた。


「こんにちは?ありがとう。」


やはり我に返ってまではいないようだ。魂が抜けたかのようにふわふわと片言で話し出した。


「違う!感想!」


ここで本当に正気の戻ったようでいつものテンションで話し出した。


「あ、不法侵入。119番に電話しなきゃ!」


「違うでしょ!求めてるのは感想!日向くんもなんか言ってよ!」


「君のお母さんにも雪ちゃんにも許可を取ってるから不法侵入じゃないよ。あと119番は救急車だよ。警察じゃない。そんくらい覚えときなよ。一般常識。」


「日向くんも目の付け所が違う!」


そんな僕たちの会話のどこが面白いのかはわからなかったが、雪ちゃんは楽しそうに笑っていた。


「あ、感想ね!本当にびっくりしたの一言に尽きる!寿命半分持ってかれた!」


「お姉ちゃん半分も寿命持ってかれたら一大事だよ。」


「あら、ほんと孫の顔が見られなくなっちゃう!」


「まず結婚して子供産まないと孫の顔は拝めないでしょ。諦めな。」


「親友の誕生日になんて辛辣なことを言うの!諦めたら試合終了!」


「いつから試合なんて始まってたのよ。」


「私は人生という超ハードな試合の真っ最中!」


「そしたらみんな試合中だよ。」


「あ、うっかりしてた!」


あまりの2人の仲の良さに僕と雪ちゃんはすっかり蚊帳の外になってしまった。


「私お姉ちゃんと雫姉のこういう会話聞いてるの楽しくて好きなんですよ。」


蚊帳の外になってしまった仲間の雪ちゃんは2人を眺めながら僕にだけ聞こえるようにそう言った。


「僕も好きとまではいかないけれど嫌いじゃいよ。」


「太陽さんも素直じゃないですね笑」


「どういうこと?」


「そんな微笑ましそうな表情してるのに好きとは言わないんだなぁと思いまして!」


「素直じゃないというか僕も自分自身の心境を理解してないんだよね。最近は言われてそうかもって思うこととかよくあるし。」


「鈍チンさんなんですね。」


「おそらくね。」


「はいはい、お2人さん仲間はずれにしないで私たちも混ぜて!!」


「ほら、太陽くんもこっち来なよ!え!!!ていうかなんで太陽くん私の誕生日知ってるの?」


今更ではあるが彼女はいきなり聞いてきた。


「いや普通に。」


「雫が教えたのか!ファインプレイ!」


「私は教えてないよ。確かに誘いはしたけれど誕生日なのは知ってたよ?」


「なんですごい!!」


「いや、教えてもらったメールアドレスの最後の方の数字に0824って書いてあったからもしかしたらとね。」


「家族にも友達にも祝われて私が幸せものだ!今日本で1番幸せな自信あるぞ!」


「じゃあ、今から世界で1番幸せにしてあげる。」


「待って心の準備が!」


そう言ってなんの心の準備かわからないが、彼女は深呼吸をして自分のペースで心の準備をし出した。


「よし、オッケー!」


「いや、今の準備何笑」


さすが雨宮さん、彼女の奇行を見逃さない。同時にその行為に疑問を抱いてたのが自分だけじゃないと少し安堵する。


「いや、日本一幸せでこんな興奮しちゃうんだから世界一なら心の準備をしとかなきゃと!」


彼女らしい言い分に僕たちはなんとなく奇行の意味を理解することができた。


「ていうことで月には私たちからプレゼントがあります!」


「おーーーー!私世界で1番幸せだ!!!」


「いやまだ早い。」


そこにいた3人とも同じ心境だったようで3人のツッコミが綺麗に重なってしまった。

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