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太陽と月  作者: 高槻博
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肝心なのは物より気持ち。

1ヶ月以上あった夏休みももう終盤で残り10日を切っていた。休みの間もほとんど用事がなかった僕は夏休みの課題などとうの昔に終えていた。そんな僕は都会の駅の近くに来ていた。


「おはよう!待った?」


集合時間の5分前に到着した雨宮さんは制服姿の時とは雰囲気がまた違い、女性らしさとはこういう人のことを言うんだろうと感じさせた。


「僕も今来たとこ。」


「そ!じゃあ行こ。」


「どこに行くの?」


「あ、言ってなかったっけ、ショッピングモール!」


昨日珍しく雨宮さんから連絡が入り、僕の予定の有無を聞いた後、駅前に集合ということになった。なぜ雨宮さんが急遽僕を誘うまたかはわからないが、おそらく深い意味はないだろうと思った。今ごろ宿題に追われているであろうことが予想のつく彼女が遊べないから暇つぶしといった辺りだろうか?


「今日は急にどうしたの?」


「今度月が誕生日だからね〜プレゼントでも選びに行こうかと!日向くんも選んだっていったら喜びそうだしね。」


実は彼女の誕生日にはなんとなくあてがあった。

初めてノートを交換した時アドレスの数字に0824という数字のことだ。


「8月24日?」


「あ、そうそう!知ってたの?」


「いや、まぁうん。」


僕の煮え切らない返事を聞いても嫌な表情1つ出さない雨宮さんからは普段よりやる気に満ちている雰囲気があった。親友のプレゼント選びということで気合いを入れてきたんだろう。


そんなことはともかくさっきから強く感じるものがある。それは周りの視線だ。先日彼女と遊園地に行った時から感じていたことではあったが、彼女も雨宮さんも容姿がいいため、やけに目立つ。それをどちらも自覚してないと来たもんだから厄介極まりない。基本的に僕は周りの目を気なしないタイプなので問題ないが、他の男ならきっとそうもいかないだろう。


「そこで相談なんだけど月のプレゼント何がいいと思う?」


彼女が欲しいものなんて考えたこともないのでハードルが高かった。そもそも人様にプレゼントあげたこともない僕には無理だろう。でも確信して言えることがある。


「彼女なら何あげても喜んでくれると思うけど。」


「それは間違いないね〜道端の石でも喜びそう。」


それはどうかと思ったけれど、恐らく嫌な顔はしないだろう。


「まぁ大事なのは気持ちだからね。物はオマケみたいなもんだよ。」


「おー日向くんも言うときは言うんだね。」


雨宮さんは感心したようにぱちぱちぱちと静かに拍手をしたが、そう素直に褒められるとなんだか虫酸が走る。


「ふーやっと着いたね。」


雨宮さんの声で顔をあげると、そこには大きな大きなショッピングモールがあった。


「大きいね。」


「え、来たことないの?」


「まぁうん。引っ越してきたばかりだしね。」


話すことに夢中になっていたが、周りを見渡すと大勢の人が歩き回っていて人酔いしそうだった。キョロキョロと見渡していると少年Aの姿が目に入り、視線を急いで戻したが姿はなかったので勘違いだと思い、大きなショッピングモールに入っていった。



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