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太陽と月  作者: 高槻博
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数年ぶりの遊園地と5色のジェットコースター

「太陽くん今日はどこ行きたい?」


「どこ行くかもう決めてるって言ってなかった?」


「決めてるよ!でも太陽くんがとてつもなく素晴らしい案を出したらそれを採用するつもり。」


「採用される気がしないからいいよ」


「わかんないじゃん!早く早く言ってみな!」


「図書室で読書。」


「却下!」


「ほらね。」


「ほらね。じゃないでしょ!どこが魅力的なポイントなの!?そんなの家でもできるじゃん!」


「そこまで言うんだから君の案を期待してるよ。」


「任せなさい!」


朝食を作ってもらい、食べ終わった僕たちは電車に乗って移動していた。目的地を早く教えて欲しいが、着いてからのお楽しみということで教えてはもらえなかった。電車にはおよそ1時間半ほど乗り続けたがその間、彼女の口が止まることはなかった。話し手に回る機会がほとんどなかったので楽ではあった。それにしても彼女はどんな話でも本当に楽しそうに話をする。内容が面白くない話でも楽しそうに話すものだから、とても場が和む。


電車から降り、駅から全体をみま渡すと視界に大きな観覧車が映ったので、行き先におおよその見当がついた。そんな僕の予想もバッチリ的中し、僕たちは遊園地に入場する。遊園地に最後に来たのは実の家族と数年前に1度だけでそれ以来の入場だった。恥ずかしながら僕のモチベーションは右肩上がりだ。


「どう??」


「ベタだね。でもすごく楽しみだ。」


最初の一言を聞いた後は顔をあからさまに曇らせたが、次の言葉を聞くと彼女の顔は一気に晴れていった。この言葉も彼女の顔行きを疑ったからなどではなく、単純に僕の本音だ。


「その一言に免じて1番最初のアトラクションは太陽くんに決めさせてあげよう!」


「赤色のジェットコースター」


赤、青、黄、緑、黒、5種類のジェットコースターのなかで1番近くにあるのを選んだ。


「太陽くん、絶対絶叫とか無理だと思ってた!」


「人を見た目で判断しちゃいけないよ。かなり好きだし、楽しみだ。」


内心そう思うことはあっても滅多に口に出すことがない僕が口に出すのだから、かなりテンションが高い証だ。


「よーし!全部制覇するぞーー!!」


どうやら彼女は見た目通り絶叫が好きなようで、テンションを急上昇させる。僕のテンションなんかの何倍も高くなっていった。珍しく方向性のあった僕たちは並んでる最中も妙にそわそわする。順番が来ると彼女は1番前に座るなり早く早くと手招きする。いつもならその子供のような行動に対して恥ずかしくなったりするもんだが、今回はそこまで気にならなかった。コースターが徐々に上に上がりだし、一気にスピードが上がった瞬間、彼女は僕の手を掴んで上に挙げた。特別嫌でもなかったし、この状況に水を差したくなかったので、存分に楽しんだ。並んでる時間は長くても乗ってしまうとものの数分です終わってしまうもんだ。それでも結構楽しかったと感傷に浸っていると彼女が今度は腕を掴んで引っ張り出した。


「何ボーッとしてるの次行くよ!次は青!」


周りの小さな子供より、はしゃいでるように見えたが、良く言えば若々しい彼女をみて彼女といれば絶対に暇することはないだろうと思いながら、引っ張られるがままに次のアトラクションへ走った。

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