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太陽と月  作者: 高槻博
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僕と私のお出かけ前日の過ごし方。僕の場合

夏も中盤に入り暑さがピークに達する。クーラーも設置されてない僕の家にはただ強い日差しが差す。外にいようが家の中にいようが夏の太陽は僕の体力を蝕んでいく。そんな家の中にいるだけでバテバテの僕も今日は学校に用を足しにいかなければならなかった。午前中に行こうと思ってはいたが、なかなか重い腰をあげることができず午後からの出発となってしまった。学校まで20分というそこまで長い距離でもないのに額からは汗は垂れ落ち、ワイシャツまで染みているようだった。


正門を通り、校庭を見渡すと野球部が気合を入れて練習をしている。こんな暑さの中、見るだけで悲鳴をあげそうな練習をしている彼等を僕は素直に尊敬している。そんな中一際大きな声で声を出し目立っている選手がいた。教室で見た覚えがあるのでクラスメイトであることは間違えないだろうが、名前すら出てくることはなかった。彼女のいう成長をするならばまずクラスメイトの名前くらい覚えなければと1人頭を悩ました。


職員室に行く前に1度教室によると僕の悩みの種少年Aの姿があった。また何か面倒ごとを起こされるかとヒヤヒヤしたがそれは杞憂だった。学校での用も予想以上に早く終わり、本屋にでも寄って帰ろうかと考えてると正門で待ち伏せをしていたかのように少年Aの姿があった。


「あ、日向くんせっかく会ったんだしご飯でも食べていこうよ。」


「いや、僕これから用事が。」


「ほら、行くよ。」


地味な僕が強気に言い返せるわけもなく、彼にいわれるがまま近くのファミレスに連れ込まれた。こういう時に人生とは本当に理不尽だと思う。筋が通ってなかろうとどんな理由があろうと意見を通すのはいつだって強引な方だ。つまり僕の意見なんて彼にとってないに等しい物なんだろう。別に喉がカラカラなわけでもない、空腹なわけでもない、僕が嫌いな相手といる、そんな状況でファミレスによるなんて無駄な出費でしかない。何も頼まないわけにもいかないので、僕はドリンクバーのみ頼むと彼もドリンクバーのみを頼んだので、そこまで長居するつもりはないんだなと心底安心する。


「夏休みは何してるの?」


「小説を読んでるか勉強。」


「インドアだね笑月とは遊ばないの?」


本当は僕が何をしてるかなんて興味がないのに回りくどく彼女の行動を把握しようとしてるのが僕にでさえわかった。彼女とは明日テストの件の約束で出かけることになっている。僕もわざわざ油を撒きに行くような行為はしない。


「会ってないよ。」


そういうと意外にも僕の言葉を信じてくれたようで、顔が柔らかなった。僕が今がチャンスだと頼んだドリンクバーのお金を置いて用があるからと去っていった。正門で強引に連れ込まれた時とは打って変わって今度は驚けほどすんなり帰ることができた。おそらく聞きたいことが聞けたから僕の方は用無しだったんだろう。


それから本屋に立ち寄り小説を買ったのち、家に帰るとその頃には空も薄暗くなっていた。明日は彼女と出かけることになってはいるが、どこに行くなどは一切聞かされてなく、肝を冷やしている。いざ行くとなると気乗りしないかと思っていたが、特別そんなことも無くどちらかというと少しほんの少しだけ楽しみな自分がいた。彼女といると僕にとって白黒のつまらなく見えた景色が明るく色どった景色に見えるようになるからだ。こんなことを思うようになるなんて当然思ってなかったので僕も良くか悪くか心境に変化があったことだけは自覚した。


明日は集合時間が早いということもあり、早々に寝床に入ると彼女から楽しみで寝れないとの連絡が入った。僕はしっかり睡魔に襲われたいので僕は眠いから寝るよと一言返信し、快眠に入っていった。


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