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太陽と月  作者: 高槻博
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人を騙す嘘でも人は傷つき優しい嘘でも人は傷つく。

図書室に行くと彼女は机に伏せて爆睡をしていた。

テストが返されたことで緊張の糸が切れたようで休み時間も暇さえあれば寝てる様子だった。特別急ぐ用もないので僕は彼女のアホヅラを拝みながら起きるのを小説でも読んで待つとにした。普通ならものの数分で目を覚ましそうなものだが、彼女はピクリともしない。僕は日頃バカにされてるので、たまにはバカにしてやろうとそのアホヅラを写真に収めることにした。


パシャリ。


無音の中でのシャッター音は図書室に結構な音で響いた。その音にもピクリともせず、スーピースーピーと寝息を立てながらぐっすり寝ている。僕はマッタリしながら、黙ってれば女子力もありそうで可愛いのにと考えてると急にガクンと音を立てて目覚めた。


「びっくりした。」


「うわ!太陽くんいたの!起こしてよ!びっくりしたぁ。」


「君が気持ちよさそうに寝てるもんだから起こしたら機嫌悪くなるだろうと思ってね。」


「それ正解!それにしても恥ずかしいな〜男子に寝顔見られるとか。」


「そ。」


「ていうか私なんでこんなとこで寝てるんだ?

ていうか太陽くん今日ノート入れてないでしょ!

ていうか今日図書室集合かけたけどなんかあった!?

ていうか私テストの点数めっちゃよかったの!」


「ていうかってそんな多く言う人初めて見たよ。」


「私も初めて言ったもん笑それくらい太陽くんと話したいことがあったんだよ!まともに話すの久しぶりだし、今日太陽くんから連絡こなくても私から誘うつもりだったし!」


彼女は起きるなり騒々しく騒ぎだした。図書室に誰もいなかったから注意することもされることもなかったが、もし誰がいたならば追い出されるくらいの声量で話していた。


「君がここで寝てるのは僕を待ってたからじゃない?ノート入れてない。集合かけた理由は今から言う。そりゃあよかったね。」


「そんな一気に喋らないでよ!学年20位入ったらちゃんと私の言うこと1つ聞くんだよ!!」


君の方が一気に喋ったでしょ。ってツッコミたかったが、彼女のボケにいちいち突っ込んでたらラチがあかないので、目を瞑る。


「言うことは約束通り聞く。それで今日呼んだのはノートの話。」


僕の雰囲気が変わったのを察してか彼女もふわふわした寝ぼけた顔から引き締まった顔になる。彼女が寝ている間もどうやったら上手く誤魔化しながら伝えられるだろうと考えていたが、結局何も思いつくことはなかった。


「今日ノート入れてないことなんだけどもう僕たちLINEも持ってるし、ノートで連絡取る必要ないよね?一回中断しよう。」


そう言うと彼女の顔はムッとした顔になった。


「太陽くん立って。」


「はい?」


「起立してっていってんの。」


僕は言われるがままに立ち上がると彼女が一歩また一歩と僕に近づいてくる。僕は彼女の足並みに合わせて一歩また一歩と下がっていく。どんどん壁に向かって下がっていったが、とうとう壁際にまで追い詰められ、逃げる場所を失う。


「太陽くん。」


「はい。」


「私たち友達だよね?」


「はい。」


「私は友達につかれる嘘が1番嫌いなの。例えそれが私や他の誰かを傷つけないためのものであったとしても。言いたくないなら言いたくないって言えないなら言えないっていって欲しい。」


「ごめん。確かにつまらない嘘だね。理由は言えないけどノートは一時的に中断してほしい。別に交換ノートを続けたくないとかそう言うわけでは断じてないから。」


「私は今気分がいいので許してあげましょう。それに嘘つくならもっと上手くつきなよ!下手すぎ!バカなのアホなのマヌケなの!?笑」


「ありがとう。でもそれは貶しすぎでしょ。この顔の君の方がマヌケづらしてると思うけど。」


僕がそういって彼女の寝顔写真を見せつけると無理矢理スマートフォンを強奪してこようとした。


「ピチピチのJKを盗撮するなんて変態!スケベ!ムッツリ!」


「あ、それで思い出した。どうやら僕は君と雨宮さんの弱味を握って脅すことで仲良くしてると思われてるらしいよ。」


「ほんとに!?ウケるんだけど!太陽くんに私たちを脅す勇気なんてないでしょー。あ、今脅されてるわ!まぁ太陽くん誰にも見せないだろうし寂しくなったらそれ見て元気だしな!」


「どっから僕が誰にも見せない自信が湧いてくるの。」


「私は太陽くんを信頼してるもの!信頼を裏切るようなことしないでね!誰にも見せないこと!」


「わかったよ。」


そこまでその写真を大事にしたいとかそう言うわけでもないし、意地でも消したくないと言う訳でもないが、彼女が無茶なことを言ってきたときの抑止剤にでもなるんじゃないかと思って所持していたかった。けれどこんな前面に信頼を押されると抑止剤に使うのでさえ恥だ。


「じゃあ約束だよ!約束定番の指切りだ!」


そういって年柄もなく小指を出してきた。


「高校生にもなってそんなことしないよ。」


僕がそういうと無理矢理僕の小指を結んできた。


「これからは私たちの間で嘘はつかないこと!例えそれがお互いを傷つけないための優しいものでも。あと私のセクシィな寝顔も晒さないこと!破ったら腹パンチ!指切った!」


一方的に指切りをされると彼女は僕の顔を見て大爆笑してきた。


「太陽くん!顔真っ赤!照れすぎぃ!」


このとき彼女に言われる前から自分の頰が赤くなり熱くなってることを自覚していた僕は否定できるわけもなく、照れてる認定をしてしまった。







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