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太陽と月  作者: 高槻博
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地味で陰気なガリ勉の僕と性悪の王子様

土日の休み明け、月曜日になったので本来は登校時にノートを下駄箱なり、机の中なりに入れていたのだが、今日はそれも必要がなかった。僕たちの学校はテスト明けの次の月曜日に順位こそは出ないがテストの返却だけは全て行われる仕組みになっていた。なので今日は授業もなく、テスト返却が特別苦でもない僕の気持ちをほんの少しだけ上げてきた。最初に返されたテストは数学だった。うちの数学担当の先生は返却時に「次はもう少し頑張れよ。」「惜しかったな。」「今回はよく頑張ったな。」と生徒に声をかけていたので、頑張りに個人差があるとはいえ、ある程度の出来は容易にわかってしまっていた。こんなことを考察しているのはもちろん自分出来が悪くないことを確信しているからで、僕の名前が呼ばれ、テストを渡されると「満点です。」とテストを見る前から点数を発表された。その100点という点数に特別な喜びはなく、むしろ周りからはよく思われてない。


「日向だっけ?あいつ満点だって。」


「前もそうじゃなかった?」


「学年トップらしいよ。」


「友達もいない奴は勉強することしかやることないんじゃね?笑」


「寂しっ!でもなんかここ最近月とか雨宮と仲良くね?」


「そんなの二人の優しさだろ!クラスの美女トップ2が好意であんな地味なのとつるむわけないだろ。ご厚意だよ。それか変な弱みで脅されてるとか?」


「そしたら恩田助けてやれよ!お前に助けられたら2人ともメロメロになるんじゃね?」


「そう簡単になるわけないよ。それに日向くんといえど、そんな真似しないでしょ。」


そんな会話が僕の耳に丸聞こえで入ってきた。少し前なら他人からの評価なんて気にもともてなかったし、言われたところで烏合の衆の戯れで聞き流していた。しかし彼女と出会ってから周りの評価もほんの少しだけ気にするようになったが、僕は地味で陰気な友達のいないガリ勉キャラであること痛感させられた。悲しいことに僕を脅している彼が王子様のように祭り上げらていた。彼のタチの悪さを理解してるのは僕と雨宮さんくらいだ。


「はい!!!!!!!」


唐突に僕の耳に入ってきた声はクラス全体に響き渡り、クラス中が静まる。声の発信元は僕のすぐ隣の彼女からでどうやらテスト返却時の名前を呼ばれたことに対する返事のようだった。


「気合入ってるな。」


そう言った先生も笑ってはいたが、少し引き気味だった。しかし驚いたことに先生からの返却時のコメントが「よく頑張ったな。」というコメントだった。彼女は点数を見るなり、大騒ぎで雨宮さんの元に駆け寄っていった。しばらくして彼女の熱も冷めたようで自分の席の戻ってくると僕に向かった弾ける笑顔と92点の回答を向けながらピースをしてきた。僕がふざけ半分でお返しのように無表情で満点の回答用紙を向けるとピースを向けてきた右腕から消しゴムが飛んできた。そのあとの教科の点数は僕も知らなかったが、良い点数だったということは彼女の表情からダダ漏れだった。そんな僕も全ての教科高得点をとり我ながら少し満足していた。平均点も夏休み補習から免れるためか全体的に高くなっていた。


最後の英語のテスト返却も終わり、クラスの中には喜んでる人、悲しんでる人がいたが、彼女は喜んでいる人だったので、今なら機嫌がいいんじゃないかと初めて彼女にLINEをした。内容は放課後図書室に来て欲しいということだ。彼女は僕の通知にすぐさま反応し、グットポーズこちらに向けてきた後、了解!というスタンプでLINEでも返信してきた。彼女にノートのことについて真実を隠して伝えるために呼んだが、激怒することを想像している僕の気持ちは憂鬱の一言だった。



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