行き過ぎた愛情と僕の悩みのタネ
一度戻ったはずの公園を通り過ぎるとクラスメートで僕のことを敵視している少年Aこと恩田くんとすれ違った。
僕の妙な胸騒ぎの原因はこれなのかと心のなかで自問自答する。
「やぁ日向くん今日はよく会うね。暗くなるまで何をしていたの?」
「少し友達と会っていただけだよ。」
「へぇ。日向くんに遊ぶ友達なんて居たんだ。教室でもいつも一人だからね意外だよ。」
恩田くんはクラスでは優しくて明るい人気者的存在だが僕に対しては見ての通りひどい対応だ。
それは単純に地味な僕のことが嫌いなのか、友達のいない僕を見下しているからなのか、彼女といることの多い僕を嫌っているのか、それともその全てか。
僕が前に進むと決めた以上、友達を作ることは必須なんだろうが、僕は彼に友達になってもらう気は毛ほども起きなかった。
「僕は帰るよ。君も気をつけて。」
僕がそう言ってその場をさろうとすると彼は口元でボソボソと呟いた。彼は僕に聞こえないように言ったのだろうけど、周りの音もなかったせいか僕の耳には確かに届いてしまった。
「月といたのは知ってるんだよ。」
彼は確かにそう言った。
僕は聞こえないふりをして立ちさったが、僕や彼女が思ってる以上に彼は危険な人だと思った。
家に帰りお風呂の湯船に浸かっていると普段は学校でも家でも一人なのに周りが静かに感じた。さっきまで人といたからだろうが、その静かさは僕に僅かながら寂しさらしきものを与えてきた。
お風呂から上がり、携帯を手にした僕は珍しくLINEの通知がいくつかきていることに気づいた。
内容は彼女からのメッセージ、彼女が登録していた雨宮さんからの通知、あとは雪ちゃんと恩田くんからの友達追加による者だった。
僕にしては忙しい通知の中で他の通知を忘れてしまうほどのものが恩田くんからの友達追加だ。その追加が彼の好意によるものでないことがわかってる僕にとってこれほど嫌なものはない。
それと同時に今日公園で彼が呟いていた言葉がすごく気がかりになった。
偶然見かけたのか、あとをつけてきたのかはわからないが、いずれにせよ行き過ぎた愛情は只々恐怖でしかないと感じた。そんなことに悩みながらも眠気が来た僕は眠る体勢に入り、彼のことは考えないようにしていたが、今後悩みのタネになることを確信していた僕は中々寝付くことができなかった。




