表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽と月  作者: 高槻博
2/123

突然の訪問

カーテンの隙間から差し込む朝日で僕は目覚める。

カーテンを開け、ベランダから空を見上げると一面に青空が広がっていた。


テレビをつけ、顔を洗う。袋から最後の一枚である食パンを手に取り苺ジャムを塗りながら今日の放課後はスーパーに寄らなければと考えていた。


ピンポーン


僕の家の呼び鈴が鳴った。僕の家の呼び鈴が鳴るのはセールスがほとんどだ。

こんな朝からセールスなんて迷惑なことだと思いながらドアの覗き穴を覗く。

しかしそこには誰の姿もない。イタズラだと思いながら僕はゆっくりドアを開ける。

するとドアの影から女子高生が飛び出してきた。


夜科月さんだ。


「おはよう!びっくりした?」


「なんで。」


「なんでとは?」


「なんでいるの?」


「一緒に登校するからだよ?」


「違くて、なんで僕と君が登校するのかってきいてるの。」


「私が登校したいと思ったからだよ?」


何を言ってるんだよ。という目で彼女は僕を見る。


当然のことだが、僕は彼女を知らなさすぎた。

彼女は友達もたくさんいるだろうし、容姿端麗だ。そのため彼氏だっているかもしれない。そんな彼女が僕なんかに話しかけてくるはずがない。それが僕の昨夜の見立てだ。


しかし現実彼女は何故だか僕の家に来ている。


くどいようだが、僕は彼女を知らなすぎた。

何を考えている、何を企んでいる。そんなことを考えても、人と関わることを避けている僕にわかるわけがない。


ふと、彼女の顔に視線をあてると酷く機嫌が悪そうにこちらを見ている。


「どうかした?」


「どうかした?じゃないでしょ!折角迎えに来てあげたのにおはようも言えないの!?」


白状しよう。

僕は内心彼女の考えていることに多少の興味はあった。それでも人と関わりたくないという僕の気持ちを凌駕することはない。


「おはよう。僕は君に迎えに来て欲しいなんて頼んだ記憶はないんだけど。」


彼女は僕の挨拶を聞くなり「下で待ってるね!」と階段を駆けていった。


人と関わらないとはいえ僕も人として最低限の礼儀は兼ね備えているつもりだ。

極力早く学校へ行く用意をする。


家の外に出ると彼女は顎が外れてしまうのではないかというくらい大きな口を開けてあくびをしている。


「口を押さえなよ。」僕がそういうと「うるさいよ。」と舌をベーしてきた。


彼女は僕の前を鼻歌をまじえながら、リズムの良いスキップで歩いている。


「月、なに1人でスキップしてるの?恥ずかしいからやめてよ。」


彼女にも負けないくらいの容姿を持つ子が静かに登場してきた。彼女の友人?だろうか。これで僕は解放される。そう思っていた。


「私を馬鹿にしてもらっちゃ困るよ。1人でいるときにスキップなんかしないよ!」


彼女がそういうと彼女の友人の視線がこちらを向く。

僕の顔をジッと細目で見続ける。こんな地味なやつと一緒に?とか思っているんだろう。


「知ってると思うけど私の新しいお友達の」


「日向太陽くんでしょ?」


彼女の紹介を遮る形で僕の名前を呼んだ。地味な僕の名前を知っているなんて珍しい。


「何驚いてるの?1週間もしたらクラスメイトの名前は覚えるよ。地味な僕の名前を知ってるなんて珍しいとか思ってるなら、それは月が常日頃、日向太陽くんがって騒いでるからね。」


「騒いでなんかない!じゃあ今度は太陽くんに私のお友達を紹介しよう。こちらは私の大親友の雨宮雫!スリーサイズは、、、」


言いかけたところで、彼女の友達の脇パンチが彼女の脇にめり込んだ。


「余計なこと言わなくていいから。ってことで、日向くん、よろしくねー。私のことも好きに呼んでくれていいから。」


「よろしくね、雨宮さん。」


「あーーーー!私の名前は呼んでくれないのに、雫の名前は呼ぶんだ。サイテー!」


彼女がそう騒いでいる横で雨宮さんは「私日直だから先行くね。」といって足早に歩き出した。


「私たちも行こっか!」


僕は彼女と登校したくなかったので、無視をした。


教室に入ると教室がザワついてる。


僕が教室に入ると、クラスの視線の8割が集まる。


「ラブラブカップルの登校だぞー。」


名前も知らないクラスの中心人物であろう彼はそう言った。


僕は目立ちたくもないし、人との関わりも持ちたくない。

感じ悪いとわかってはいるが聞こえないふりをした。


「2人はそんな関係じゃないよ。友達なのかも怪しい。」


雨宮さんは「ね?」と僕に賛同を求めてきたのでコクリと1度頷いた。


「いや超仲良しだから!!」


そういうなり彼女も「ね?」と僕に賛同を求めてきたが、僕は視線をそらした。


このとき目立ちたくないの一心で彼女の賛同から視線をそらしたことで彼女が怒るなんてこのときの僕は微塵も考えなかった。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ