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太陽と月  作者: 高槻博
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俺の目的と俺の目的

雨の中の練習ということもあって今日の練習はお昼の3時ごろには切り上げられた。


「ふう。」


俺は雫の家に向かう前にアポを取るために連絡を入れようと思っていたんだが、中々LINEを送れずにいた。

もちろん好きな女に連絡するのが緊張するというのは当たり前のことだが、それ以上に雫の家に行けるかもという期待が心の中で踊っていたからだ。今は誹謗中傷の張り紙のことに集中しなければいけないとわかってただけに邪な気持ちが先にたった自分が許せなかった。


「おーい!空今から牛丼くいに行くから行こーぜ!」


「わりー!今日予定が!」


「そっか!また今度な!」


「おーう。」


同じ野球部の部員からの誘いであり、練習後の牛丼は至高であったが後回しにできない予定(まだ確定してない。)があったので丁重に断った。もちろん邪な気持ちではなく、友を思ってこその行動だ。


普段、雫に話しかけるときなんか微塵の緊張もしないものだが、今回ばかりは緊張でなかなか送信ボタンが押せなかった。普段LINEなんて中々送らないものだから長文になってしまったが、勇気を振り絞って送信した。

送ってしまったー!という気持ちになり心の中で変に悶えたが、とりあえず家に帰ろうと走り出した。走り出した理由は心の中の悶え解消のためだ。走り出して数秒後、携帯のバイブ音がなった。普段なら後で確認するもんだろうけど今回ばかりはすぐに確認した。予想通り雫からだった。


【長い。意味わかんない。じゃあ私の家集合。家はわからなかった連絡して。】


なんとも言えない気持ちになり、一瞬飛び跳ねそうにもなったが今回ばかりは目的が違うと自分に言い聞かせて急いで家に入り、シャワーにも入って服も決めて香水でバッチリ完備したのちに雫の家に向かった。


雫の家に着いたのち、またもや変な期待からインターホンを鳴らすのに躊躇いが生じたが、今回の目的はそんなんではないことと、雫に俺の気持ちが悟られないことを自分の中で言い聞かせてインターホンを押した。


「よ、遅かったね。」


「まぁな。練習上がりだったからな。」


「立ち話もなんだし暑いからとりあえず上がりなよ。」


本来ならここでも緊張だとかするだろうし、さっきまでの俺ならしてたんだろうけど、雫の表情から察するに雫も何か知っていてそれが雫にとっても気に入らないことであることが容易にわかったからそんな気持ちの余裕すら生まれなかった。



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