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太陽と月  作者: 高槻博
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大事なことは大事な人を大事にすること。

体育祭の写真撮影も終わり、勝利という喜びに浸かり終えた私たちは打ち上げに向けて帰宅の準備をしていた。私も帰ろうと思ったが、月の姿が見えなかったので探しに行くことにした。校舎内を探し回っても月を見つけることはできなかったため、どこかで入れ違いになったのかと思い、教室に戻ろうとしたが、校舎裏の方から校舎に入ってきた恩田の姿を見かけた。恩田の右頬は赤くなっていた。それは誰かに叩かれたような跡だった。自分の中である程度の考察を立てはしたけど直接聞くようなことはしなかった。それはもちろん野暮だということもあるが、何より私は彼にそこまでの興味がない。これ以上、私の親友や友達に害を与えようものなら一切の容赦はしないが、そうでもない限り、私が自発的に話しかけることはない。私はそんなことを思っていたけど数秒後には彼に接触を図っていた。


「その右頬はどうしたのよ。」


「雨宮さんはどうしてだと思うの?」


「そういうまどろっこしいのはいいから。めんどくさいよ。」


めんどくさい。心の底からそう思う。


「相変わらず俺にだけはあたりが強いね。」


「そりゃあそうでしょ。私たちに害しか与えてないもの。気になることさえなかったら恩田なんかに話しかけないよ。」


「本当に嫌われてるんだね。残念だよ。」


その心のこもってない残念だよに私は心底イラついた。

けど私の気になることを確認するためにイラつきが表に出ないように用心した。


「それで何があったの?」


「それより、雨宮さんは俺に対して何か気になる事があったから話しかけてきたんでしょ?何が気になったの?まさか俺の赤くなってる頰が気になるわけではないだろうに。」


「質問をしてるのは私でしょ。」


「別に俺に答える義務はないし、雨宮さんが答える気がないなら話はこれでおしまい。」


言ってることは屁理屈だし、ムカつく、この先社会に出た際などに使える言い分では全くないけど筋だけは通ってるのが私を非常にイラつかせた。


「それもそうね。私が気になったのはそのノート。それ恩田のじゃないでしょ?」


「俺のじゃないよ。」


「じゃあ本来あるべきところに返しなよ。」


「それに関しては月には返さないってさっき言ってあるから大丈夫。」


「そういう問題じゃないでしょ。」


「そういう問題だよ。そもそもこんなくだらないもの無くなったって別に困らないだろ。どうしてもやりたいなら新しいの作れよって話だ。」


「それは月と日向くんのものであってあんたのものじゃない。それは日向くんが前に進もうと決意したことの要因になったもので、とても大切なものなの。月にしたってそう。それは毎週楽しみにしていたものなの。新しいものを作ればいい?恩田はこういう体験をした事がないからわからないだろうけど、どんなに書き始めのものだろうとどんなに買いたてのものだろうと、その物には少なからず思い出や愛着があるの。それを恩田のくだらない企みのために自分のものにして言い訳ないでしょ。それは2人が大切にしてたものなの?わかる?わからないでしょうね。性根から腐ってるあんたには。」


「さすがの俺でもそんくらいはわかるよ。例えば親の形見にしていたものが壊れて新しいものを買ったとしてもそれはあくまで親の形見と同じものってだけで親の形見ではない。そんなことはわかってる。でもこのノートは俺にとってなんの思い入れもない。つまり2人にとって大事なものだろうと俺にとっては関係のない話だ。俺は欲しいもののためにこのノートを有効活用するだけだよ。」


「あんたさ、そんな赤く腫れた顔で決めたって逆にダサいだけだよ?人にされて嫌なことはしちゃいけないって教わらなかった?小学校、いや、幼稚園からやり直せば?」


「欲しいものがあるならなんとしても摑み取れとも教わるだろ?雨宮さんがどんな価値観を持つのも自由だけど自分の考えを周りに押し付けるのはやめなよ。雨宮さんにとっては俺が醜く見えるだろうけど、俺からしたら雨宮さんの方が十分醜いよ。君は周りを守ってるつもりだろうけど、全く守れてない。現にこのノートは俺の手にあって月も日向くんも俺に害を及ぼされてる。友達を守ろうとする自分、友達の理解者である自分に酔ってるだけだよ、雨宮さんは。」


「そこだけは意見が一致するね。私も私のこと醜いって常々思ってるよ。」


「それなら君に守られ続ける日向くんは君以上に醜、、、、」


それ以上は何もいうな。私は心の底でそう願って彼の左頬をビンタした。


「いきなり何をすんだよ。このヒステリック女。」


彼を叩くと私の中の何かが吹っ切れた。


「あーごめんね。そのダサい顔は左右非対称だからかなぁと思って左も腫らして見ちゃった♫ダサい要因はそれじゃなかったみたい。思い違いでごめんね。その右頬は話の流れ的に月に叩かれたんでしょ?うけるね。あ、左右対称になったおかげで不自然さは無くなったよ。感謝してね。それじゃ。」


私はその場を去っていったわけだけど、クラス会にも出席していない恩田を見てやり過ぎたかな?なんて思ったけど、のちに全く反省していないことを知り、恐ろしいと思った。

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