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太陽と月  作者: 高槻博
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僕にとってはありえない出来事、それは1日限りの魔法

信じられないことが起こった。それは夢ではないのかと思うくらい僕には衝撃なことで初めての出来事に僕は驚きを隠せないでいる。


「日向は運動部にも入ってねぇのになんで足はえーの?」


「日向くんって月とどういう関係なの?」


「今日の顔面からのヘットスライディングのご感想は?」


今まではクラスメイトに名前を覚えられていたかさえも怪しい僕が謎の質問責めにあっていた。初めての出来事ということでSOS信号を送ろうかと雨宮さんに視線を送るが謎のグッとポーズが返ってきた。どういう意味あいかはわからないけどみんなと仲良くするチャンスだよと言われてる気がした。いくら僕が自分自身成長していくことを決めたって成長スピードには限度があり、段階を踏んでいくのが基本だと思う。つまりこれは僕にとってハードルが高すぎるということだ。次に八雲くんにSOSの視線を向けると彼からも謎のグッとポーズが返ってきた。これは僕の憶測でしかないのだけれど、同じポーズでも雨宮さんとは違う意味合いのような気がした。最終手段として空気を読んで救助に来るということが明らかに不向きな彼女に視線を送るが、僕のSOS信号をキャッチすらしてくれていないようで流石の1言だ。そして僕は腹をくくり、僕の答えられる範囲で数々の質問をさばいていった。


それから数十分もしたところで質問ぜめは終わった。内容はどれも似たり寄ったりで、運動のこと勉強のこと彼女との関係を聞かれた。こう言った質問の場合はウケを取りに行ったりするのが定石なんだろうけど、スベった時のことを考えるとそんなことをできるわけがなかった。だから運動のことに関しては走るの以外てんで駄目、勉強は家ですることがなかったから、彼女との関係は友達だと言い続けた。色恋沙汰が大好きな女子たちは「本当は好きなんじゃないの?」「気になってるんでしょ?」「協力するよ?」「せっかくの高校生活恋愛しないと駄目!」などと洗脳されてしまいそうなくらい語られた。僕は「そんなことないよ。」の一辺倒だったが、名も知らないクラスメイトたちはそれを信じてはくれなかった。


「えーー日向くんが月のこと好きじゃないなら私が彼女候補に立候補しちゃおうかな!」


これまた名も知らないクラスメイトがとんでもないことを言い出した。けれど僕がその言葉に動揺することはなかった。なぜなら本気で言っている可能性が限りなく0%に近いからだ。0%だと言い切らない理由は僕が自身の自己評価が高いとかそういうことではなく、僕の理念として物事には100%はない。その逆の0%もない。故に0%ではなく、限りなく0に近いのだ。


それからその子を中心に長々と色恋の話をされた。多数の人たちに囲まれて気疲れはしたけど嫌ではなかった。毎日こんな生活が続くのなら勿論断固拒否だけど、これは体育祭優勝に貢献したという1日限りの魔法だと知っていたからだ。

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