これは必要な時間。
「日向くんは私たちと仲良くなりたいらしいよ。」
「ちょっと雨宮さん。」
僕はあんな小っ恥ずかしいことを彼女は八雲くんに聞かれては生きてはいけないと阻止をしようとするが八雲くんにヘッドロックされてしまった。
「雫、それに関して詳しく。」
彼女が雨宮さんとの距離をグッと近づけた。
しかし意外なことに雨宮さんは彼女がグッと近づけた距離に比例するように距離をあけた。
「え!なになに!教えてよーー!」
「やだよーだ。聞きたければ自分で聞きなよ。」
「そうやって気になるところまで言って結論を言わないんだから!」
「それが私のスタイルだから。」
「俺には聞かせろよ!」
次は八雲くんが僕の黒歴史を聞こうと交渉に出た。僕にかけたヘッドロックを解き、雨宮さんに近づいた。
「嫌だよー。空に言うくらいなら月に言うよ。笑」
「もったいぶるなよ!」
八雲くんはまた一歩雨宮さんとの距離を詰めたけど雨宮さんは彼女の時と同様、いやそれ以上の反応を見せた。
「それ以上近づいたら痴漢として追放します。」
「なんでだよ!」
頑固として吐こうとしない雨宮さんを見て2人は諦め、僕に直接交渉してきた。結局雨宮さんの口から言わないのなら、その話題を出す必要はないんじゃないかと思った。当然僕の口から真実を語る気なんてさらさらないので、雨宮さんが言わない限り、この話が外に出ることはないだろう。僕の言った黒歴史級の言葉を聞いた人物がもう1人いたけれど、その人物が口外することはないだろう。その人物というのも先ほどまでここで雨宮さんや僕と話していた恩田くんなんだけれど、彼がそのことを話すにはことの顛末を全て話さないといけない。そうなると彼自身の悪事までも話さなくてはならないので彼の口から口外することはないだろう。
それからリレーの招集がかかる直前まであはは、おほほ教室で話していたけど、僕の緊張や不安の類はいつの間にか吹っ飛んでいた。
この時間がなかったら、最悪の結果になっていたし、直前で逃げ出すことだってあったかもしれないと後の僕は語った。