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太陽と月  作者: 高槻博
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自分が誇れる友達に誇ってもらえる人間になる為に

助けられてばかりじゃいられない、自分の口では言わなければ、声を大にして「自分がやるんだと。」そう僕は覚悟を決めた。


「黙ってないでなんとかいったらどうなの?これじゃ俺がいじめてるみたいじゃないか。」


たしかにこれは、いじめではないかもしれないけど、彼は好意で僕にかわって出場してくれるといっているんじゃない。確実な悪意から言ってきている。それはそれは重い圧力をかけるように。でも僕はそんな圧に負けてはいけない。


「気を利かしてくれたところ悪いけど、僕が自分で出るよ。」


「君じゃ無理だと言ってるのがわからないの?」


「たしかに僕1人じゃ無理かもしれないけど、運がいいことにはこれは個人戦じゃないから。雨宮さんがいて、彼女がいて、八雲くんもいる。僕はひねくれていて友達がいるような素晴らしい人間じゃないけど、良い方向に変われるとしたら今しかないんだ。今ここで簡単に諦めるようなことがあればきっと僕がこの先大成することはない。すぐ限界を決めて「無理だ。」「イヤだ。」と投げ出すことになると思う。だから今なんだ。いつかは自分1人で歩けるようにならなきゃいけないし、君が言うように女の人に守られるんじゃなくて守れるような男にならなきゃいけないと思う。でも今はなりふり構ってられない。情けない自分とさよならするために、少しでも誇れる自分になるために、自分が大切に思う友達くらいには誇ってもらえるような人間に近づくために自分でやるよ。」


物心ついたときから家族以外の人と話すと言うことをしてこなかった僕は何かを伝えようと思ったとき、長々と話してしまう。できることなら短くわかりやすく伝えたいものだけどそんなの上手くいくことはなく、結果、語り人みたいになってしまう。


「誰かの助けがあるからってできると思うことが思い上がりなんだよ。こっちは親切心で言ってあげたんだ。君は絶対に恥をかく。恥をかいて後から後悔しても知らないから。」


僕の長々の語りを黙って聞き、恩田くんの発言を聞いた雨宮さんは口を開いた。


「恥をかかない為に私たちがいるし、恥をかいても私たちがいる。」


そう僕はこんな風に自分の気持ちをわかりやすく短くて伝えたいんだ。こんな状況だけど雨宮さんのことをさらに尊敬し、自分の話し慣れしていない感じにショックを受けた。


僕のひかない態度を見てか、恥をかけと思ってか、雨宮さんの言葉を聞いてか、彼は苛立ちを隠せない表情をし、舌打ちをしながら教室を出て行った。出て行ったのち、ドン!!!と壁を叩く音がした。怒りが漏れ出した恩田くんが壁を殴ったのだろう。そのとき雨宮さんがどんな表情をしているのか気になったので雨宮さんを見ると何とも言い難い顔をしていた。けれどその顔がマイナスの顔ではなく、プラスの幸せ?そうな?顔をしていた。

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