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太陽と月  作者: 高槻博
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僕は雨宮さんの自慢の友達

僕を助けにきてくれたであろう雨宮さんに悪魔ヅラのヒーローだなんて印象を抱いた僕は相当罰当たりな人間だろう。


「また雨宮さんか。そんなにつっかかってきて俺のこと嫌いなわけ?」


「友達に害を及ぼしてる時点で嫌いの範疇にあるのは間違いないよね笑」


「友達?本気で言ってるわけ?雨宮さんは少なからずクラスのなかでは容姿も優れてる方で頭だってキレるから俺の中では高評価だったんだけどな。日向くんをかばうなんてちょっと残念だよ。」


「自己評価の高い恩田様に評価していただいてたようで何よりですけど、失礼を承知で言うけどその目は節穴のようだね!」


「そんなあからさまな挑発に乗るわけないだろ。」


「挑発?そんなわけないじゃん笑、思ってることをいってるだけだし。私は贔屓目なしに恩田くんより日向くんの方がずっと素晴らしい人だと思ってるし。」


余裕の表情をかましていた恩田くんは今の雨宮さんの発言により顔を一気に怖ばらした。それは今にも噛み付いてきそうな、または文句を撒き散らしそうな顔だった。

僕も心の中で雨宮さんに言わせてもらいたい。たしかに僕は恩田くんほど性悪ではないだろうけど、恩田くんより素晴らしい人間だなんて言いすぎだ。恩田くんが顔を怖ばらした理由もわかる。


「日向くんはさ、本当にカッコ悪いね。女子に守られてさ。恥ずかしくないの?」


僕は自分でも感じていたことを言われ、心に刺さった。


「話してたのは私でしょ?何勝手に話すり替えてるの?その話題にも反論させてもらうけど女の私からしたら女は守られるもの、男は守るもの。そんな考え戯言とでしかないと思うよ。男女関係なく、自分が大切に思っている人だったら助けたいと思うのは当然の話でしょ。」


「雨宮さんの持論なんて俺にとってはどうでもいいことだけど、つくづく見る目がないと思うよ。日向くんなんかにそこまで思い入れがあるなんて。」


たしかに僕は大して関わり合いもなかった人に「なんか」呼ばわりされる人間だけど本人の前でボロカスに言う恩田くんも大概だと思う。


「たしかに日向くんは冴えなくて優柔不断で頼りがいがなくて男前じゃなくて、弱々しくて、何考えてるかわからなくて、鈍感で面白くないボケをかましてきて、自らのことを多くは語らないけど、言葉じゃ表せないくらい、いい人だよ。いつも相手をちゃんと思ってる。思ってる方向が180度違うことなんてザラにあるけど日向くんは必ず相手を思ってる。そんな日向くんを私は自慢の友達だと思う。思い入れとかそういう話の問題じゃない。」


最初の方の雨宮さんの言葉に僕のライフはかなり削ぎ落とされ、空っぽになる寸前まで行った。その言葉の内容が事実しか述べてないだけに心をえぐられたけどその後の言葉だけで雨宮さんがどれだけ優しいか、どれだけ僕のことを思ってくれているかを感じた。




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