第16話 普通の朝ごはんのくせに……
おはけろー
よんでねんー
そして僕は、6時間ほど眠り、その後起きたのだが、まだまだ空には星空が広がっていたのを確認すると、彼女にぎゅっと抱きついて眠った。
その2時間後ぐらいだろうか、ようやく太陽が顔を少しづつ出し、それにつられて僕の瞼も開いていったのだった。
隣に眠っていたはずの彼女は、僕よりも一足早く起床しており、なにやら火を起こして料理を始めたみたいだ。
パチパチと卵やウインナーが焼け上がる心地の良い音と香ばしく焼けた匂いを感じながら僕はまだゴロゴロと、だらだらとねころんでいる。
そして僕はそんな彼女の後ろ姿を見ながら、まだかまだかと待っていた……ごろごろしながら。
まさにクズである……起きたのなら手伝えばいいのだろうけど、僕の下半身がそうはさせてくれなかったのだ……男はつらいよと、そんな風に心の中で囁き終わり、20分ほどしてからようやく僕は地面に手をつき体をゆっくりと起こした。
そして折りたたみ式のテーブルの上には先程焼いていたであろう目玉焼きやウインナーに、こんがりと焼かれたバケット、それに鮮やかな色をしたサラダが用意されていた……「とても美味しそうだ……」
ゴクリと唾を呑み僕はそんな風に思っていた。
そして僕は折りたたみ椅子を2脚用意し、腰かけ軽く挨拶を交わし食事をはじめた。
「うめぇーな半熟の目玉焼きの黄身をパンにつけて食うのってマジで神だと思うんだけど、そこんとこどう思う?」
僕が彼女に、そう質問すると彼女は僕を小馬鹿にするようにフッと鼻で笑うと、反論してきた。
「何を言ってるのかな?エルノーラくん?本当に美味しいバゲットの食べ方はこうだよ」
彼女は少し先生っぽく言うと、ウインナーを一口かじりサラダに軽くマヨネーズをかけ、それをそのままバケットの上に乗っけると、口一杯に幸せそうな表情をして、おほばっていた。
幸せそうな彼女の表情見た僕は、ゴクリと息を飲んで彼女の食べ方を真似た。
「な、なんだ……おかしいぞ……シャキシャキと冷たいサラダの感覚にジューシーで温かいウインナーそしてそれら全てを調和させようとする、マヨネーズ!
それらのエキスやらが、パンにドンドンしみていく……
うま、うま、うままままま、美味すぎるぅぅぅぅう!」
そして僕は荒れ狂いながら言葉を発すると、そのまま白目をむいて、昇天してしまった。
そんな僕を見て彼女は、机に肘をつきその手で顎を触りながら、ニタニタニヤニヤと勝ち誇った笑みを浮かべて、僕の事を見下しながら言った。
「あらあらエルノーラさん、あなたの味覚にはちょっと刺激が強すぎたみたいね!
これに懲りたら、料理で私に口答えしない事よ!
わかったかしら?」
何やらいつもと全く口調の違う……お嬢様みたいな口調に少し違和感を感じながらも、僕は、彼女に料理で逆らわない事を再び知ったのだった。
そして、10分ほどしてようやく僕の意識は、現世へと帰ってきた。
恐らくだが、彼女のオススメの食べ方に僕は感動して、呼吸する事を忘れていたのだろう。
そしてその後、僕が綺麗に全て後片付けをし、再び準備を整えて森の中に冒険に出かけたのだった。
今日もがんばろ!