第15話 ナー・イー・ショ
気が向いたらよんでねんー
そして猛スピードで、障害物を巧みにかわしながら、森の中を全速力で駆け抜けていくと、10分ほどで、ファギーの前に着いたのだった。
そして時刻は午後の9時あたりだろうか、空には満天の……そう満点の星空が見えた。
僕たちはご飯を作る前に、空を眺めながらそのまま柔らかな雑草に身を預け、倒れ込んで、僕は言った。
「すごく綺麗だな……一緒に少し寝転ぼうよ?」
すると彼女も大きく手を広げ、僕の隣で寝転んで答えた。
「えぇ……すごく綺麗ね、本当に綺麗だよ……
隣に私の大切な人もいるし、すごくなんかロマンチックね」
彼女はそう言うと僕の方に体を向け、にっしっしと真っ白な歯を僕に見せながら笑っている。
そんな彼女の、いたずら含みな笑顔をみながら、僕は、彼女の言う大切な人の事はわかってはいたが、直接名前で呼んでほしいとおもっていたので、わざとらしく、本当にわざとらしく、知らないフリなど通用しないのに、知らないフリをして、聞き返した。
「なぁー大切な人って誰だ?」
そう聞かれると、彼女は少し頬を染めて、そんな表情を隠す様に、両手で顔を覆いながら答えた。
「あなたよ……」
僕の聞きたい答えとは違ったみたいだったので、首を横に傾げてニヤニヤととぼけた。
「ん?あなたって?」
そう言われると彼女はさらに顔を赤くし答えた。
「だから……あなたはあなたよ!
バカ!アホ!死んじゃえ!
私になんてこと言わせようとしてんのよ……このくず!」
そう言われると僕の顔は、えーーっと、驚いた表情をしていた。
そしてその後も、しつこく、とてもしつこく聞き返すと流石に彼女の恥ずかしがりの尾が切れてしまったのか、僕の腹に寝返りを打つかのように綺麗に裏拳を腹に決め込んだ……とても鮮やかだ!
「いってーな……いいじゃんか、教えてくれたって
けちだなぁー」
僕がそう言うと彼女はニコッとして僕に言った。
「ナー・イー・ショ」
そんな彼女の表情に、この言い方……なんて、なんて可愛いんだと、なんてあざといんだと、マジ天使ですね、と、僕は思いながら、それ以上は深く聞かないことにしたのだった。
なんたって彼女のあんなに可愛い笑顔を、観れたのだ。
そして僕はそれで満足してしまっていた……チョロい男だなと、僕は、自分自身の事をそう思いながら、満天の星空を眺めて目を瞑ると、疲れていたのかそのままご飯も食べずに、目を閉じたり、ハッとなって開いたり。
そんな感じにうとうとしていた僕を、彼女はそっと優しく抱きしめて何か言っていたが、僕の耳はもう何も聞こうとしていなかった。
彼女はなんて言ってるのだろうと、気になりながらも、眠気に負けてしまった僕は、そのまま彼女の腕の中で眠りについたのだった。
さー今日も1日がんば!